歯科心身症とは?慢性的な歯の痛みや舌の痛み、お口のネバつきも

歯科心身症とは?慢性的な歯の痛みや舌の痛み、お口のネバつきも
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「歯が痛いので歯医者に行ったら虫歯ではないと言われた」
「治療してもなかなか治らない、ましてや症状がひどくなった」
という場合、歯医者さんに不信感を持ってしまうかもしれませんね。しかし、もしかしたらそれは歯科心身症かもしれません。最近では歯科心身症という分野が注目されています。
ここでは、歯科心身症とはどのようなものを言うのか、また歯科心身症はどのような治療をするのかについて、詳しくご紹介します。

この記事がおすすめな人
    • 歯の痛みがあるのに歯医者に虫歯や歯周病がないと言われた
    • 咬み合わせや顎に違和感がある
    • 歯科心身症は心の病気なの?
    • 歯科心身症の症状は?
    • 歯科心身症の原因はストレス?
    • 歯科心身症はどこで治せるの?
INDEX
  1. 歯科心身症とは
  2. 歯科心身症の症状
    1. 歯以外の原因で歯が痛む|非歯原性歯痛
    2. 舌の痛みやヒリヒリ感|舌痛症
    3. お口の不快感や味覚異常|口腔内異常感症
    4. 顎が痛い、口が開かない|顎関節症
    5. 実際にはない口臭が気になる|口臭恐怖症
    6. 歯科の治療が過度に怖い|歯科恐怖症
  3. 歯科心身症はメンタルが原因ではない
  4. 歯科心身症の治療法
    1. 薬物療法
    2. 認知行動療法
    3. 無痛治療
    4. 心療内科や精神科を紹介する場合も
  5. 歯科心身症に詳しい歯医者さんを受診しよう

歯科心身症とは

歯科心身症はとても幅広く、以下のような事柄が当てはまればその可能性があります。

歯科心身症の特徴
    • 歯や舌が痛いのに歯医者で異常なしと言われた
    • 実際は正常なのに、どうも咬み合わせがおかしい感じがする
    • 歯医者で治療したら痛みがひどくなった
    • どこに行っても原因不明と言われてしまう
    • 1日中痛みや違和感について考えてしまう
    • 痛みや違和感が原因で生活に支障をきたす
    • 自宅より学校や職場にいる方が、症状が強くなる
    • 口臭が気になるのに検査したら口臭がないと言われた
    • 歯医者のことを考えただけで体調不良になる
患者さん

んー?ちょっと掴みどころがないというか…。

鈴木先生

そうですね。ただ、共通しているのは、本人はしっかりと自覚があるのに検査してもわからないという点です。

歯科心身症の症状

症状としては、痛みや異常を感じるタイプと、恐怖からくるタイプがあります。詳しく見ていきましょう。

歯以外の原因で歯が痛む|非歯原性歯痛

歯以外の原因で歯の痛みを感じるものを非歯原性歯痛といいます。多くの場合神経が関係しているので、歯の痛みの場所があちこちに移動する、頭痛時のズキンズキンという脈拍に連動するなどの特徴があります。また、痛みの出方も慢性的に起こる場合や、疲労やストレスがたまった時にだけ起こる場合など様々です。

鈴木先生

非歯原性歯痛がまだあまり知られてなかった頃は、本人の訴えるままに治療して余計な歯を削ってしまうということがありました。

患者さん

今はもうそういうことはないんですよね?

鈴木先生

90年代から研究されるようになったので、ほとんどの歯医者さんが分かっているはずですよ。

舌の痛みやヒリヒリ感|舌痛症

舌の縁や舌の先などにピリピリとした痛みや強烈な痛みを感じる症状です。歯科心身症の約半数は、舌痛症といわれています。原因は舌の粘膜の病気口内の乾燥、義歯の不具合、舌癌など広範囲にわたります。

鈴木先生

口内炎や舌苔が原因になっていることもあります。

患者さん

心身症っていうから心が原因だと思ってたけど、違うんですね。

鈴木先生

そうですね。本当に様々な原因があります。

お口の不快感や味覚異常|口腔内異常感症

口内に病気や異常がないにもかかわらず、お口のネバつきやザラつき、咬み合わせの違和感、食べ物の味を感じられないなど口内に異常を感じます。加齢や生活習慣によるドライマウス、薬の副作用、口腔カンジタ症などが原因になることが多いです。

鈴木先生

特に味覚障害は神経や脳、腎障害や肝障害など内蔵の病気が関係していることもあるので、検査して識別鑑定する必要があるんです。

患者さん

口の中ってセンサーみたいですね!

鈴木先生

そうなんです。異常が長引いたら気のせいではないので必ず受診してくださいね。

顎が痛い、口が開かない|顎関節症

口を開閉すると顎の付け根で音がする、ある日突然顎が開かなくなった、顎の付け根が痛むなどの症状があれば、顎関節症の可能性が高いです。顎関節症は、ストレスがたまったときなどによく起こります。

鈴木先生

顎関節症も、代表的な歯科心身症のひとつです。

患者さん

そうなんですか!知らなかったなあ。

実際にはない口臭が気になる|口臭恐怖症

実際には口臭がなく、病院で検査しても口臭が認められないのに、本人には確かに臭いが感じられる症状です。会話している相手が鼻や口に手を当てたり、顔をしかめたりすると、自分の口臭が原因で迷惑をかけているのではないかと感じてしまいます。

鈴木先生

歯医者で歯石除去やクリーニングなどをしても改善しないケースです。

患者さん

なるほど、歯医者さんで治療しても改善しないとなると、他の病気かもって考えちゃうかもしれないですね。

鈴木先生

そうですね。でも、他科で検査しても何も見つからないんです。

患者さん

それは本当に困るでしょうねー。

歯科の治療が過度に怖い|歯科恐怖症

虫歯や歯周病などで治療しなければならないと分かっているのに、歯医者さんに行くことを考えただけで怖くなる、あるいは身体的症状が出るのが歯科恐怖症です。身体的症状は、震えや動悸、めまい、大量の発汗、過呼吸、吐き気など人によって出る症状も重さも異なります。

患者さん

心と体はつながってるっていうけど、こんなに顕著に現れるものなんですね!

鈴木先生

麻酔の注射が怖いなど、場面的に不安や恐怖を感じる人もいますよ。

歯科心身症はメンタルが原因ではない

歯科心身症というと心の病と思いがちですが、実はそうではありません。歯科心身症の多くはストレスに密接に関係していますが、ストレスはメンタルの弱さから起こるものではなく、神経や脳から分泌されるホルモンや、自律神経などが関係しているのです。

鈴木先生

精神的、身体的なストレスがかかると神経にエラーが起こって、様々なことが心身に影響します。歯科心身症もそういったもののひとつなんです。

患者さん

そうなんですか!それじゃあ自分ではコントロールしようがないですね。

歯科心身症の治療法

歯科心身症は、症状に応じて様々な面からアプローチしていきます。

薬物療法

痛みや違和感を感じる場合は、鎮痛補助薬や抗うつ剤などの薬物療法を行うと和らぐことが多いです。

患者さん

抗うつ剤って、抵抗がある人も多いんじゃないんですか?

鈴木先生

確かにそうですね。ただ、ごく軽い効き目のものがありますし、恐怖やストレスを一時的に軽くすることで、痛みや感覚が改善されることが分かっているんですよ。

患者さん

抗うつ剤にもいろんな種類があるんですね!

認知行動療法

実際には歯や身体機能に異常がなく、思い込みや考え方で歯科心身症の症状が出ている場合は、認知行動療法で効果が出る可能性もあります。

認知行動療法とは、問題に関連した思考の癖を少しずつ変えていくことで改善していくものです。歯医者さんでも簡易的な認知行動療法を行っているところがあります。

鈴木先生

本格的な認知行動療法が必要な場合は、カウンセリングや心療内科を紹介することもあります。

患者さん

歯医者さんって、もはやただ歯の治療をする時代ではないんですね!

鈴木先生

そうですね。いろんな分野の知識が求められますね。

無痛治療

歯科恐怖症や麻酔恐怖、注射恐怖などでなかなか治療を受けられない場合は、無痛治療を行う歯科医院も多いです。無痛治療には、鼻につけたマスクから吸う笑気麻酔や、点滴で少しずつ麻酔を流す静脈内鎮静法などがあり、意識はありつつもリラックスした状態で治療を受けられます。

患者さん

これなら痛みを感じないから怖くないですね!

鈴木先生

あらかじめ無痛治療を行っている歯医者さんを選んで受診するといいですよ。

心療内科や精神科を紹介する場合も

心因的な問題が原因の場合は、心療内科や精神科を紹介される場合もあります。ただし、歯科を通さず最初から精神科などに行っても、異常なしと言われてしまうケースもあるので注意しましょう。

患者さん

歯医者さんからの紹介なら違うってことですか!

鈴木先生

他科からの紹介ならある程度の検査資料もあるので違います。こういった医療の流れを知っておくことも大事ですね。

歯科心身症に詳しい歯医者さんを受診しよう

歯医者さんにかかっても治らない場合は、歯科心身症を疑ったほうがいいかもしれません。もしも、自分で歯科心身症ではないかと思って受診した際、その歯医者さんが歯科心身症に詳しければ問題ありません。

しかし、歯科心身症の話が出ないようであれば、歯科心身症に対応している歯医者さんを探して、改めて受診するのがおすすめです。

記事の重要ポイントをチェック!
    • 歯科心身症とは口内に異常がないのに痛みや違和感などが感じられるもの
    • 歯科心身症は神経やホルモン分泌が大きく関係している
    • 非歯原性歯痛は虫歯や歯周病ではないのに歯が痛む
    • 舌痛症は舌がピリピリしたり強い痛みがある
    • 口腔内異常感症は口内乾燥やザラつき、ネバつき、味覚異常など
    • 顎関節症は顎の付け根の痛みや口が開かないといった症状
    • 口臭恐怖症は口臭がないのに臭いが気になってしまう
    • 歯科恐怖症は歯科が極度に怖く、身体症状となって現れることがある
    • 歯科心身症の治療は薬物療法、認知行動療法などがある
    • 痛みや治療自体に恐怖がある場合は、無痛治療を行える