妊婦さんの口腔ケアって何をすればいいの?妊娠時期別のケアの仕方

妊娠すると、身体や心の変化とともに、お口の中も大きく変化します。でも、具体的に何がどう変化するのか、お口のケアの仕方を知らない人も多いと思います。そこで、ここでは妊娠中の口腔ケアについて詳しくお伝えしていきます。
- 妊娠したらふつうの歯磨きができなくなるって本当?
- 妊娠中は歯磨きだけじゃダメなの?
- つわりで歯磨きができない時の対処法を知りたい
- 妊娠中に歯のことで気をつけることは?
妊娠初期(0〜3ヶ月)のお口の状態

妊娠初期には、女性ホルモンが急激に増えて体の中のいたるところで出産の準備に入ります。女性ホルモンが増えると、お口の中は唾液の分泌が減っていきます。唾液には細菌を抑える働きがあるのですが、分泌量が減るために様々なトラブルが起こりやすい状態になってしまうのです。
- 虫歯や歯周病になりやすい
- 虫歯や歯周病が悪化しやすい
- お口の中が粘つく
- 口臭が起きやすくなる
- 知覚過敏が起こりやすい
- 口内炎になりやすい

つわりがひどくて歯が磨けない場合、口内が不衛生になって余計に口内環境が悪くなります。
たしかに、気持ち悪くて磨けない時もありますよね。私は歯磨き粉をつけた歯ブラシの臭いがダメでした。
妊娠初期の口腔ケアのポイント
妊娠初期の口腔ケアのポイントは、体調や気分が良い時に歯磨きをすることです。歯磨き粉は臭いが強すぎないものを使い、下を向いて歯磨きをすると良いでしょう。
妊娠初期の妊婦さんにはどんな症状がよくありますか?

特に、歯ぐきに違和感や腫れなどが出る人が多いようです。それは、歯周病の症状なんです。
口腔ケアで治るんですか?

症状は歯磨きである程度落ち着きますが、改善しない時は安定期に入ったら歯医者さんに行くことをおすすめします。
妊娠中期(4〜7ヶ月)のお口の状態

お腹が大きくなり始め、内臓が圧迫されて一度に食べる量が少なくなります。間食などが増えるので、お口の中も不衛生になりがちです。その上、唾液量が減っているので自浄作用も働かず、細菌は活動しやすくなっています。
やっとつわりが落ち着いたと思っても油断できませんね。

そうなんです。常にお口の中に食べカスがある状態だと、虫歯や歯周病の原因菌が活発になります。
妊娠中期の口腔ケアのポイント
間食後に毎回歯磨きをするのは大変なので、こまめに含みうがい(ぶくぶくうがい)をするのがおすすめです。もちろん、毎食後の歯磨きも忘れずに行いましょう。

お腹が大きくなると仰向けで診察を受けるのが難しくなるので、歯医者さんに行くならこの時期がおすすめです。
歯科検診もこの時期に行くといいですね。

そうですね。
正しい歯磨きの仕方

この機会に、正しい歯磨きの仕方もおさらいしておきましょう。歯磨きの基本は、以下の4つです。
- 歯の表面:歯ブラシを表面に密着させる
- 歯と歯ぐきの境目:歯ブラシを45度に傾ける
- 歯ブラシは軽く持つ(ペン持ち)
- 歯ブラシは小刻みに揺らすように動かす
力を入れてゴシゴシ磨かないということですね。

そうですね。ゴシゴシやると、かえって歯や歯ぐきを傷つけて出血の原因になってしまいます。
妊娠後期(8〜10ヶ月)のお口の状態

お腹がだいぶ大きくなり、動きもゆっくりになります。下を向いて歯磨きをするのが難しいという人もいるでしょう。動くのがおっくうになり、口内ケアもおろそかになりがちです。
身体が重いといちいち「よっこらしょ」って感じになるんですよね。

そうですね。一つ一つの動作に時間がかかるので、歯磨きも1日に1回にしちゃう人もいるようです。
妊娠後期の口腔ケアのポイント
毎食後の丁寧な歯磨きは欠かせません。細菌が増えるのは就寝時なので、特に寝る前にはゆったりとした時間を取って、じっくり歯磨きをましょう。マウスウォッシュを併用するとなお良いです。
いよいよ出産が近づいてきて、そわそわしちゃいますね。

そうですね。でも、できるだけいつもと同じ生活を心がけるのが重要です。
ママの口腔環境は赤ちゃんに影響する

どうしてこれだけ歯磨きをすすめるのかというと、ママのお口の環境はお腹の赤ちゃんにも影響してしまうからです。特に重症化した虫歯や歯周病は、早産や低体重児出産のリスクが高まります。
口の中の状態がお腹の中にも影響するなんて知りませんでした。

そうですね。最近すごく注目されるようになってきたんです。
妊娠時期全般で気をつけること
ここからは妊娠中の全ての時期において、お口のことで気をつけたいことをご紹介します。
糖分や酸性のものをダラダラ食べない

糖分は虫歯や歯周病の元となります。酸っぱい食べ物は歯を溶かし(う蝕)、虫歯や歯周病を進行させやすくし、知覚過敏の原因にもなります。食べても良いですが、食べたらできるだけ早めに口をゆすぐ・歯磨きをするなどして口の中に残さないようにしましょう。

ダラダラ食べ続けると、常にお口の中に糖分や酸がある状態になってしまいます。
食べたらすぐ歯を磨くということを心がければいいんですね。
バランスの良い食事を摂る

ママの摂る食事は赤ちゃんの歯の形成にも大きく関係します。赤ちゃんの歯を丈夫にするために必要なのは、良質なタンパク質、カルシウムを摂るのを助けるビタミンDとE、歯の質を良くするビタミンAやCなどです。つまり、色々な食品をまんべんなく摂取することが大切なのです。
歯を丈夫にするためには牛乳が一番だと思ってました。

牛乳ばかり飲む必要はありません。牛乳だけではカルシウムはそれほど摂れないんですよ。
歯科検診も忘れずに

母子手帳には歯科検診の重要性が記載されています。歯科検診は妊娠中に1回、無料で受けることができます。各自治体で受けられる歯医者さんの案内があると思うので、安定期に入ったら早めに受診しておきましょう。

つわりの時期とお腹が大きくなりすぎるまでの間に受けるのがいいですよ。
そうですね。受けられる時に受けておくと安心ですね。
赤ちゃんのために口腔ケアに気をつけよう
赤ちゃんの歯が歯ぐきの中で形成され始めるのは、すでにお腹の中からはじまっています。妊娠中の口腔ケアは、丈夫な赤ちゃんを生むために、そして生まれてきた赤ちゃんの歯を丈夫にするためにとても重要です。妊娠したら、それぞれの時期に合った口腔ケアをして、自分と赤ちゃんの健康を守りましょう。
- 妊娠初期は体調の良い時に歯磨きをする
- 妊娠中期はこまめに歯磨きや含みうがいをする
- 妊娠後期は口腔ケアをおろそかにしない
- 糖分やすっぱいものをダラダラ摂らない
- 重度の虫歯や歯周病は早産などのリスクが高まる
- 歯科検診は安定期に入ったら早めに済ます