妊婦さんが気になる妊娠前、妊娠期の歯やお口のQ&A

近年、母子手帳に歯やお口のケアの重要性が記載されるようになりました。今まではあまり気にされることもなかったお口のケアについては、情報が少ないかもしれません。そこで、ここではよくある質問を取り上げて、妊婦さんが気になることを解消していきます。気軽な読み物と思って読んでみてくださいね。
- 妊娠前に歯のことで気をつけることは?
- 妊娠中に起こりやすい歯のトラブルを知りたい
- 妊娠中は歯医者さんに通ってもいいの?
- 虫歯って遺伝するの?
- 歯の治療で赤ちゃんに影響がある薬などはある?
- 赤ちゃんの歯みがきはいつから?
妊娠前のQ&A
まずは妊娠前の気になることについてです。
虫歯は遺伝するの?

虫歯は遺伝しません。ただ、虫歯になりやすい歯の質というのは遺伝します。虫歯は歯の質や食事、細菌などによって発生することが分かっています。食事の時間やお口のケアなど生活習慣も関係します。

虫歯は色々な要素が絡み合ってできるんです。
そうなんですね。だから、虫歯ができやすい人とできにくい人がいるんですね。
妊娠前からママやパパが注意することは?

子どもの虫歯の多くは、大人から感染します。生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には、虫歯の原因となるミュータンス菌がいません。生後、大人からの飛沫やキスなどによって伝染ることが多いのです。そのため、ママやパパも日頃からお口のケアをして、虫歯や歯周病を作らないことが重要です。
大人から感染するなんて、ちょっとショックです。

そうですね。歯の質が柔らかくても、きちんとした歯磨き習慣や、日頃から歯石を定期的に取っていれば虫歯になりにくくなりますよ。
妊娠中の歯の治療のQ&A
妊娠中に歯の治療が必要になる人もいるでしょう。妊娠中の歯の治療についての質問もよくあります。
妊娠中でも歯の治療をして大丈夫?

基本的には大丈夫です。ただ、歯の治療は仰向けになって口を開けている時間が長いので、安定期に入った4〜7ヶ月くらいの時期に受けるのがベターです。
つわりが収まってお腹がすごく大きくなるまでの間ということですね。

そうですね。それと、体調がいい時を選んで通院できるといいですね。
歯のレントゲンは赤ちゃんに影響しない?

レントゲンを撮る時、必ず妊娠しているかどうか聞かれるので、歯のレントゲンについて不安を持つ人も多いでしょう。歯のレントゲンはごく少量の放射線量で、お腹からも離れているので比較的安全と言えます。妊娠していること伝えれば、防護用エプロンなどの配慮もしてくれます。

ただし、それでも不安な時は無理に受ける必要はありません。
妊娠中は精神的にナーバスになっていますしね。

緊急性がない場合は、出産後落ち着いてから通院するのがおすすめです。
歯の治療で麻酔を使っても大丈夫?

抜歯や根管治療などで麻酔を使う時、薬剤などが気になりますね。妊婦さんにはお腹の赤ちゃんに影響が少ない薬剤を使いますし、そもそも局所麻酔なので使用量もごく少量です。
麻酔薬を使うのは痛みを抑えるためですので、麻酔を使わずに治療を受けるとなると、痛みが母体やお腹の中の赤ちゃんのストレスとなってしまいます。
じゃあどうすれば…。

担当医や産婦人科の先生とよく相談して、緊急性がない場合は出産後などに治療の時期をずらすのがおすすめです。
妊娠中に抜歯をしても大丈夫?

抜歯をする際は、局所麻酔や化膿止めを用います。局所麻酔は局所で分解されてしまうため、赤ちゃんへの影響はありません。化膿止めも影響が少ない最小限の量が処方されます。抜歯しないとかえって痛みを抱えながら過ごすことになるので、母体や胎児にストレスがかかってしまいます。
ということは、抜歯しても大丈夫ということですか?

基本的には大丈夫です。妊娠中期からは安全な薬剤を使いますが、不安な場合は産婦人科の先生や薬剤師さんに聞いてみてもいいと思いますよ。
歯が痛い時、鎮痛剤を飲んでもいい?

妊娠中に歯が痛い時でも鎮痛剤を飲んで大丈夫です。ただし、鎮痛剤には色々な成分のものがあるので、妊娠時でも比較的安全な「アセトアミノフェン」が主成分の薬を選びましょう。
パッケージの成分表をよく読んで選べば大丈夫ですね。

はい、解熱剤も同じです。授乳中もアセトアミノフェンなら大丈夫ですよ。
妊娠中のその他のQ&A
妊娠中全般のお口について、よくある質問をまとめました。
妊娠時は歯周病になりやすいって本当?

妊娠中は女性ホルモンの急激な変化によって、歯周病にかかりやすくなります。歯周病を放置したままにしておくと、早産や低体重児出産の恐れもあります。歯茎の腫れや出血が見られたら、歯科医師に相談しましょう。

できれば妊娠前に一度、検診を受けることをおすすめします。
妊娠する可能性がある人は、日頃から歯科の定期検診を受けておいたほうがいいんですね。
つわりが酷くて歯磨きができない時はどうすればいいの?

つわりがひどい人は、歯ブラシなどの硬いものを口の中に入れただけでも吐き気を催すことがあります。つわりで歯磨きができない時は、食後は水でうがいをするにとどめ、気分が良い時に歯磨きをするのがおすすめです。

せっかく歯磨きをしても、戻してしまったらまた口の中が不衛生になっちゃいますからね。
あー、そうですよね。
妊娠中の食べ物や飲み物で歯に良くないものは?

ママの食べるものは、良くも悪くも赤ちゃんに影響します。妊娠中に気をつけたい食べ物は、以下のものです。
- 甘いお菓子やジュース
- 酸っぱい食べ物
- 炭酸飲料
- 食品添加物
- マーガリン(リノール酸、トランス脂肪酸)
- 食品保存材
- 農薬を使っているもの
甘いものは糖分が虫歯の原因に、酸っぱいものや炭酸飲料は歯が溶けやすく、虫歯ができやすくなります。ただ、全く摂らないとストレスになってしまうので、食べたり飲んだりした後は、歯磨きで虫歯予防をしましょう。

食品添加物や保存料も、赤ちゃんの歯の形成によくないんです。
そうなんですね。摂りすぎるとよくないものと、摂らないほうがいいものを見極めるのが大事みたいですね。

そのとおり。
お腹の赤ちゃんのために食べたほうがいいものは?

バランスの良い食事は基本ですが、赤ちゃんの歯胚(歯の芽)を形成するのに役立つのは、カルシウム、リン、タンパク質、ビタミンA、C、D、Eなどです。
やっぱりまんべんなく食べれていればいいってことですよね。

そうですね。牛乳だけ、肉だけなどに偏らないように食べましょう。
牛乳をたくさん飲むと赤ちゃんの歯が丈夫になる?

牛乳はカルシウムが豊富に含まれており、丈夫な歯を作るのに必要な栄養の一つです。ただ、カルシウムを摂るのに必要なビタミンD不足になる母子が増えています。食品や適度な日光浴などで、ビタミンDを上手に摂るように心がけましょう。
ビタミンDって日光浴でも摂れるんですね!日焼けしない程度にするのも大切ですね。

そうですね。バランスの取れた食事やお散歩は、思っているより大切ですね。
歯やお口についてよく知り不安を解消しましょう
はじめての妊娠は、何かと不安が多いものです。特に母親世代との情報のギャップなどもあり、何が正しいのかと悩んでしまうかもしれませんね。お口のことで分からないことがあれば、歯医者さんに気軽に相談してみましょう。ほとんどのクリニックでは、治療をしなくても相談だけにも対応していますよ。
- 虫歯は遺伝しないが虫歯になりやすさは遺伝する
- 赤ちゃんの虫歯は大人から感染する
- つわりの時期は気分の良い時に歯磨きをする
- 妊娠中の歯科治療は安定期のタイミングで受ける
- 安定期に歯科健診を受けておくと良い
- レントゲンや麻酔薬は基本的に大丈夫
- 鎮痛剤や解熱剤はアセトアミノフェンが主成分のものを選ぶ
- ママの食事は赤ちゃんの歯の形成に影響する