妊娠中に起こりやすいお口のトラブルとは?対処法やお口のケアの注意点

昔から妊娠すると1本歯を失うというくらい、妊娠時にはお口のトラブルが発生しがちです。ホルモンの急激な変化によって、口の中も激変するのです。この記事では、妊娠中に起こりやすいトラブルの対処法や、お口のケアについてご紹介します。
- 妊娠したら歯が悪くなると聞いたことがある
- 妊娠中に口の中に起こりやすいトラブルを知りたい
- 妊娠中に歯のことで気をつけることは?
- 歯医者を受診する時に気をつけることは?
妊娠中に起こりやすいお口のトラブル

妊娠中に起こりやすいトラブルは、以下のようなものです。
- お口のネバつき
- 歯茎の腫れや出血
- 冷たいものや熱いものがしみる
- 気持ち悪くて歯磨きができない
- 口臭が強くなる
妊娠中はホルモンバランスの変化で歯垢が溜まりやすくなり、ネバつきや歯周病の初期症状のようなことが起こりやすくなります。妊娠時には食事やつわりなど通常とは違う生活環境になりますね。そのようなことが、上記のようなトラブルを招きやすいというのも一因です。

妊娠中はお腹にばかり注意が行きがちですが、歯茎が腫れたり出血したりという体験をする人も多いんです。
必ずなるわけではなくて、個人差があるんですね。
妊娠中の口内に起こっていること
妊娠中のお口の中では何が起こっているかということを、初期、中期から安定期に分けて詳しく説明していきますね。
妊娠初期はホルモンバランスの変化で不安定

妊娠初期(4〜15週目)は、女性ホルモンの分泌が急激に増え、唾液量が激減し口内が不衛生になります。そのため、口臭やネバつきが起こったり、歯垢が増えて虫歯や歯周病になりやすくなったりするのです。もともと虫歯や歯周病がある人は、症状が悪化してしまいます。

つわりがひどいと歯ブラシを口に入れると気持ちが悪くて歯が磨けないという人もいます。
歯磨きしたいのにできないっていうジレンマが起きちゃいますね。
安定期は食事回数が増減する

妊娠中期(16〜27週目)にはお腹の中の赤ちゃんの臓器の形成も終わり、つわりが峠を超えて食欲が回復します。お腹が大きくなる分、一度に食べる量は少なくなりますが、食事の回数や間食が増えて、口内に食べカスが残りやすい状態です。
後期(28週目以降)にはお腹がかなり大きくなり、身体が重いので歯磨きがおろそかになりがちです。虫歯や歯周病の原因菌は女性ホルモンが大好き。それに加えて口内に食べカスが残っていると、虫歯や歯周病にかかりやすくなります。妊娠中の歯周病は糖尿病にもつながるとされており、早産の可能性も高くなります。
妊娠中はいつもよりお口の中を清潔にしないとダメなんですね。

そうなんです。早く済ませる必要はないので、できればゆっくりと時間をかけて丁寧にケアしてください。
妊娠中のお口のトラブルを防ぐには?
何かとお口のトラブルが起こりがちな妊娠中。必要なのは、口内を清潔に保つことです。トラブルを予防するには、以下のことに気をつけましょう。
歯磨きの回数を増やす

つわりや食事の回数の変化などで、口内は不衛生になりがちです。食事回数に合わせて、歯磨きの回数も増やすのがおすすめです。
歯磨きは朝昼晩っていう固定観念がありますけど、それ以上やったほうがいいんですね。

用心に越したことはありません。
磨けない時は含みうがい

つわりなどで歯ブラシを口に入れられない時は、含みうがい(ぶくぶくうがい)だけでも効果があります。

水流で口の中の汚れを落とせます。
水もいいですけど、マウスウォッシュを使うのもいいのでは?

そうですね。薬用のマウスウォッシュなら、口内を殺菌してくれるのでおすすめです。
糖分や酸性のものをダラダラ食べない

虫歯や歯周病の原因菌は、糖分を餌にします。また、柑橘類や梅干しなど酸っぱいものは歯を溶かすので、虫歯や歯周病になりやすくなります。食べたままのお口を放置しておくのはよくないので、糖分や酸っぱいものを食べた後は、最低でも水で口をゆすぎましょう。

つわりの時期は、意外と糖分ばかり摂りたくなるという人も多いんですよ。
あ、私もそうでした!
歯科検診を受ける

妊娠して母子手帳が発行されると、一緒に歯科健診の受診票が交付されます。歯科検診はお住まいの自治体で、妊娠中に1回無料で受けることができます(受けられる歯科医院は役所などにお問い合わせください)。
昔は検診に歯科は入ってなかったですよね。

そうなんです。ごく最近追加されました。とてもいい傾向です。
妊娠時の歯科治療の注意点

妊娠中に歯科治療が必要になった場合は、以下のことに注意しましょう。
歯科検診を受けるタイミング
ママのお口の環境は、お腹の中の赤ちゃんにも影響します。大人の虫歯や歯周病は、自分では気づきにくいので、できればつわりが収まる4〜5ヶ月くらいになったら受けましょう。

つわりの時は、無理に行かなくて大丈夫です。
外出するのも辛い時もありますものね。
受診する時の注意
受診する時は、母子手帳を提示しましょう。産科の方から注意されていることがあれば、それも必ず伝えてください。

受診中に気分が悪くなったら、すぐにスタッフに伝えてくださいね。
我慢するのは良くないですよね。
レントゲンについて
妊娠中はレントゲン撮影をしてもいいの?と不安になると思いますが、歯科のレントゲンはごくわずかな放射線量ですし、お腹とは離れています。ほとんど影響はありませんし、防護用のエプロンも着用するので心配いりません。

妊娠していることを必ず伝えてくださいね。
それ、大事ですね。
麻酔薬について
もしも治療で麻酔薬が必要になった場合、妊娠していることが分かっていれば、影響のない安全な麻酔薬を使うのが一般的です。麻酔を使わずに治療を進めると、痛みがあり母子や胎児にストレスを与えてしまいます。ただし、麻酔がききにくい人は、担当医とよく相談してください。
麻酔がききにくいと大量の麻酔が必要になるんですか?

麻酔薬にもいくつか種類がありますので、トラブルがないものを選ぶと思います。ただ、薬剤やレントゲンに不安がある人は、可能なら出産後まで治療を待ってもらうのも方法です。
妊娠中の口内ケアは大切です
妊娠中は、ホルモンバランスや食事の変化などで口内のケアが通常より必要になります。できればいつも口内を清潔にして、ご自分の身体とお腹の赤ちゃんを守りたいですね。日頃からこまめに水うがいをして意識的に口内ケアに努めましょう。重度の歯周病は赤ちゃんにも影響を及ぼすため、治療して改善するのがおすすめです。
- 妊娠中は口内のネバつきや口臭、歯茎の腫れ、出血などのトラブルが多い
- 妊娠初期はつわりなどで口内が不衛生になりがち
- 安定期は食事回数が増えて口内が不衛生になりがち
- 妊娠中はこまめに歯磨きをする
- 歯磨きができない時は水うがいでもOK
- ダラダラ食べをしない
- 歯科検診は安定期に入ってから体調の良い時に受ける