唾液の働きは虫歯予防だけじゃない!全身に関係する唾液のすごい役割
唾液の量が少ないと虫歯になるというのは、少し前に話題になりましたね。しかし、唾液にはお口の健康や全身の健康にもっと大きく関与していることをご存知ですか?ここでは、唾液の働きについて詳しくご紹介していきます。唾液が少なくなると起こりうるダメージなどについてもお伝えしますので、健康に少しでも関心がある人はぜひ最後までお読みください。
- 唾液ってどんな働きがあるの?
- 唾液ってただの水分じゃないの?
- 唾液がなくなるとどうなるの?
- 唾液を増やす方法はある?
1.口内の健康を守る
唾液の成分の9割は水分で、1割が様々な有効成分です。そんな唾液は、以下のような作用を発揮して口内の健康を守っています。
汚れを洗い流す

口内には食べカスや粘膜から剥がれた古くなった角質、細菌の死骸などがあります。唾液はたくさんの水分で、口内にあるそれらの汚れを常に洗い流しています。
もし1日でも洗い流されなかったらと思うと、ゾッとしますね!

そうですね。唾液は自然のシャワーと言えるでしょう。
虫歯菌を抑制する

唾液には口内のpH値を中和する働きがあります。飲食をすると口内が酸性に傾いて、虫歯菌や歯周病菌が増えやすい環境になりますが、唾液でpH値を中性に戻すことで虫歯菌や歯周病菌が活発化するのを抑制しています。

つまり、口の中をコントロールしているんですね。
フル稼働してる警備員みたいだなあ。

ただ、就寝中は唾液が出る量が減るので、寝る前にコップ1杯程度の水分補給をするといいですよ。
わかりましたー!
歯のエナメル質を修復する

口の中では、飲食をすると歯の表面が溶け出す「脱灰」と、唾液によって溶けた部分を修復する「再石灰化」が繰り返されています。歯の表面のエナメル質はハイドロキシアパタイトという結晶で、口内が酸性に傾くとミネラルが溶け出してしまいます。しかし、唾液には歯の表面に対してカルシウムイオンとリン酸イオンを補給し、ハイドロキシアパタイトの結晶を新しく形成する働きがあるのです。
今度は大工さんみたいですね!

そうですね。脱灰と再石灰化は食生活にすごく左右されます。間食などを頻繁にしていると、脱灰ばかりになって再石灰化が追いつかなくなるので注意しましょう。
それで虫歯になっちゃうんですね!
粘膜を保護・保湿する

唾液の中にはムチンという成分が含まれています。ムチンはタンパク質の一種で、唾液の水分で口内に広がり粘膜を覆って保護したり保湿したりしています。

ムチンはネバネバした昆布やうなぎの皮膚などにも含まれています。
あー、あのネバネバと一緒なんですね!唾液って、ぼーっとしてるようで実は相当やる奴だなあ!
2.栄養摂取のサポートをする
唾液は栄養を摂取するためのサポートも行っています。
飲み込みやすくする

口内に入ってきた食物は、唾液が混ざることで柔らかくなり飲み込みやすくなります。

食べ物を柔らかくすることで、さらに食道や胃まで滑りやすくしてくれます。
唾液が混ざると飲み込んだあともスムーズに運ばれるんですね!
消化を助ける

私達の身体は、食べ物が消化されることで栄養を吸収することができますが、唾液にはアミラーゼという消化酵素が含まれています。食べ物に含まれるデンプンはアミラーゼで分解されて麦芽糖になり、栄養として取り込めるようになるのです。

つまり、消化はもう口の中で始まっていると言えます。
それってすごく面白いですね!口も消化器官の一部ということですね!
食べ物の味を感じやすくする

食べ物の味は、舌にある味蕾で感じ取ることができます。食べ物の味成分は唾液に溶けだすことで味蕾に取り込まれ、甘みや苦味、塩味などを感じる各部分がキャッチできるのです。
つまり、唾液がなければ美味しさがわからないってことですか!

そのとおり。食事を美味しく感じられるのは、唾液のおかげでもあるんですね。
3.身体の健康をサポートする
最後に、身体の健康のサポートに関する唾液の働きについてご紹介します。
インフルエンザなどのウイルスから身体を守る

唾液には免疫グロブリンやラクトフェリン、リゾチーム、ペルオキシダーゼなどの複数の抗菌物質が含まれていて、ウイルスや細菌から身体を守っています。

具体的には風邪のウイルスやインフルエンザなどです。
体の免疫力を上げると口の中の免疫力も上がるってことですか!

そのとおり。口と体は血液やリンパなどでつながっていますからね。
若返りホルモンが老化を防ぐ

顎をよく動かして唾液がたくさん出ると、パロチンという成長ホルモンが分泌されます。パロチンは皮膚の新陳代謝や修復をするホルモンで、若返りホルモンとも呼ばれています。

このホルモンはとても大切で、更年期障害や白内障の薬としても使われているんですよ。
へー!また勉強になっちゃったなあ!
唾液が減ると起こうる悪影響

唾液には上記のようにたくさんの働きがありますが、唾液の分泌量が減ると、以下のようなことが起こる可能性があります。
- ドライマウスになりやすい
- 虫歯になりやすい
- 歯周病になりやすい
- 疲れやすくない
- 風邪やインフルエンザにかかりやすい
- 太りやすい
- 成人病にかかりやすい
- 体内の酸化が進みやすい
- 骨や筋肉が衰えやすい
なんか、すごく体が悪い人のイメージですね。

そうなんです。唾液が減っただけで、こんなにも色々なダメージがあります。
唾液ってすごく大事なものなんですね!
唾液を増やす方法

唾液を増やすには、顎をよく動かすことや顎を刺激することがおすすめです。食事の際に意識的に噛む回数を増やすだけでも違いますし、事務仕事などであまり喋らない人は、こまめに休憩を取って人との会話を増やしたり飲み物をちょびちょびと飲んで絶えず口内を潤したりすると良いでしょう。

他にも、ガムを噛んだり顎の周りをマッサージしたりするのもおすすめです。
顎の周りってどこですか?

顎の付け根の下に親指を入れると、少しくぼんだところがありますね。そこを押すとすぐに唾液が出てきますよ。
わ、ほんとだ!
唾液を増やして口内と身体の健康を維持!
唾液には驚くべき様々な働きがあり、私達の口内や身体を守ってくれています。日頃から意識的に唾液を増やすと、虫歯や歯周病、全身の病気にかかりにくくなります。唾液の働きを見直し、健康を維持しましょう。
- 唾液の水分が口内の汚れを洗い流す
- 口内のpH値をコントロールして細菌の増殖を抑える
- ミネラル成分を補給して歯の表面を修復する
- ムチンが粘膜を保護・保湿する
- 食べ物が唾液と混ざることで飲み込みやすくなる
- 食べ物の味成分が唾液に溶け出して味を感じることができる
- 消化酵素アミラーゼがデンプンを分解する
- 複数の抗菌物質が風邪やインフルエンザウイルスから身体を守る
- 若返りホルモンのパロチンが老化を防ぐ