歯医者さんに教わる「乳歯の歯磨き」なんでもQ&A

乳歯の歯磨きはいつからすればいいの?歯磨き粉を使うのは何歳から?など、子どもの歯磨きについては知っているようで知らないことも多いものです。ここでは、そんな乳歯のよくある質問をまとめ、歯医者さんの回答を一覧にしました。このページを見れば、乳歯の疑問が解消するでしょう。
- 乳歯は抜けるから虫歯になっても大丈夫じゃないの?
- 乳歯が虫歯になる原因は?
- 哺乳瓶虫歯って何?
- 正しい歯磨きの仕方を知りたい
- 子どもが仕上げ磨きを嫌がる…
乳歯の虫歯について
毎日の歯磨きは虫歯予防のために欠かせません。まずは虫歯について説明しながら、乳歯のしくみや役割についてご紹介します。
1.乳歯は永久歯より虫歯になりやすいって本当?

歯垢の中にいる虫歯菌は糖分を酸に変える物質を持っています。虫歯は、その物質で作った酸で、エナメル質を溶かして歯の内側に侵入していくというしくみです。乳歯は永久歯よりも柔らかく、歯の表面にあるエナメル質と象牙質が永久歯よりも薄いので、虫歯になりやすい上に進行も早いのです。
象牙質も薄いんじゃ、虫歯がすぐにひどくなっちゃいますね。

そのとおり。できれば痛みを感じる前に発見してあげたいですね。
2.虫歯になりやすい歯ってあるの?

虫歯になりやすい場所は、年令によって異なります。
- 0〜3歳頃まで:上の前歯の付け根や歯と歯の隙間
- 3歳〜:奥の歯の溝や歯と歯の隙間
特に、6歳前後に生えてくる永久歯、六歳臼歯(一番奥の歯)の生え始めは乳歯よりも背が低いので、注意して磨きましょう。
六歳臼歯って、生え変わらないで独自で生えてくる永久歯ということですか?

そのとおり。乳歯は永久歯より少ないので、生え変わらないでそのまま出てくる歯もあるんです。
3.哺乳瓶虫歯ってどういうもの?

哺乳瓶虫歯とは、前歯が溶けてなくなり、欠けたようになってしまう虫歯です。日頃から甘いジュースなどを哺乳瓶で与えたり、糖分の入った飲み物を与えながら寝かしつけたりしているとなりやすいので注意しましょう。
糖分ということは、果汁とかスポーツドリンクもよくないんですか?

そのとおりです。甘いものを頻繁に与えていると欲しがるので、あげすぎないことも大事です。
4.乳歯は抜けるものだから虫歯になってもいい?

虫歯がひどくなると痛みなどを生じてよく噛めず、顎の発達や食べ物からの栄養吸収の妨げになってしまいます。また、乳歯が虫歯になって抜歯などをすると、歯並びが悪くなる原因にもなります。乳歯は永久歯や体の成長のために必要なもの。しっかりと歯磨きをして虫歯を作らせないようにしましょう。

小さい頃からの虫歯や歯並びが原因で内向的な性格になったりすることもあります。
あ〜、そういう可能性も考えないとですね…。
5.乳歯には噛む以外に役割があるって本当?

乳歯は永久歯が正しく生えてくるための目印のような役割があります。虫歯になった乳歯を抜いた場合、永久歯は生えるべき正しい位置がわからなくなり、歯並びが悪くなる原因になります。
また、顎の発達は噛むことによって促進されます。乳歯でしっかり噛めないと、顎や脳の発達にもよくありません。
脳にも影響するんですか?

ものを噛むと顎の付け根から脳に刺激がいくんです。奥歯を噛みしめると、頭蓋骨にかすかに響きませんか?
あ、本当ですね!
乳歯の歯磨きについて
次は、乳歯の歯磨きについてご紹介します。
1.歯磨きはいつからすればいいの?

歯磨きは、歯が生え始めた頃から開始します。といっても、最初は指にガーゼを巻き付け、ぬるま湯で湿らせてから歯の表面を優しく拭うだけで十分です。歯ブラシを使い始めるのは、奥歯が生え始めてきた頃からです。

乳歯は前歯から生え始めますが、その時点ではまだ歯ブラシは必要ありません。
でも、ガーゼでのケアは必要なんですね?

意外とミルクのカスなどがついているので、拭ってあげてくださいね。
2.歯みがき粉は使ったほうがいい?

歯磨き粉を使い始めるのは、子どもが自分でうがいをできるようになってからです。ブクブクうがいをした後、口の中の水をはき出せるようになったら、歯磨き粉を使い始めましょう。
それまでは水だけで歯磨きするということですか?

はい。その代わり、仕上げ磨きはしっかりしてあげてください。
3.歯磨きを嫌がる子どもへはどうしたらいい?

歯磨きをゲーム感覚や遊びの感覚で楽しい時間にしましょう。例えば、ママやパパと「どっちが先に洗面所に行けるか競争」をしたり、歌を歌ったり、男の子なら「歯磨きマン」に変身してもらうのも良いですよ。パパやママの仕上げ磨きを子どもにしてもらうのもおすすめです。

うまくできなくてもやったこと自体を褒めてあげるのも大事です。
たくさん褒めてもらったら嬉しいですよね。
4.自分で歯磨きさせるのは何歳ころから?

3歳くらいになったら、自分で歯ブラシを持たせましょう。まだ自分では上手に磨くことはできませんが、練習させ始めることが大事です。子どもが自分で磨いているときは、あれこれ口や手を出さず見守りましょう。できたら褒めて、「今度はママ(パパ)の番ね」と仕上げ磨きをしてあげてください。

最初にやり方だけ教えてあげてくださいね。
どんなやり方が正しいんですか?

端から順に1本ずつ丁寧に磨くようにすると、磨き残しをなくせます。特に、奥歯の凸凹や歯と歯の間もよく磨くように言ってください。
5.どうしたら歯磨きの習慣がつけられる?

子どもは何でも大人のマネをしたがるので、まずは大人が規則正しく歯磨きを習慣化することです。パパやママが食事の後に歯磨きをしていれば子どもを誘いやすいですし、自然に一緒に磨く習慣が身につきます。
家族の習慣にしてしまえばいいんですね。

そのとおり。一緒にやるということがポイントです。
仕上げ磨きについて
仕上げ磨きも気になるところですね。よくある質問は、何歳まで必要かということです。
1.仕上げ磨きにコツってあるの?

仕上げ磨きをするときは、ソファや床に座り仰向けにした子どもの頭を膝の上に置き、上から覗き込むようにして磨きます。

少し大きくなって仰向けを嫌がるようになったら、椅子に座らせて磨いてあげてください。
その子に合わせて臨機応変にということですね。

ただし、嫌がるのを無理に押さえつけたりせずに、機嫌がいいときにやるようにしてください。
2.仕上げ磨きは何歳まで?

小学生になると身の回りのことはほとんど自分でできるようになりますが、歯磨きに関しては、8〜9歳くらいまでは仕上げ磨きをしましょう。
そんなに大きくなるまでなんですね〜。

小学校中学年くらいまでは、意外と磨けていないことも多いんですよ。
乳歯は成長に必要な重要な歯です
乳歯は食べ物を噛んで栄養を体内に届け、顎や歯の発達を促す心身の成長に重要なものです。しっかりと歯磨き・仕上げ磨きをして、永久歯が生えてくるまで健康を守りましょう。歯医者さんでは予防方法の指導や、歯磨き相談などにも乗っているので、分からないことがあったら、気軽に歯医者さんに行くのもおすすめですよ。
- 乳歯は永久歯にくらべて柔らかく虫歯になりやすい構造
- 乳歯は噛むことで顎や脳の発達を促す
- 乳歯で噛むことで栄養を体内に送り込む
- 乳歯は永久歯が生えてくる目印。
- 歯ブラシを使っての歯磨きは自分でうがいができるようになったら
- 歯磨きを楽しい時間にすると歯磨きを嫌がらない
- 仕上げ磨きは8〜9歳程度まで必要