歯医者さんが教える子どもの乳歯が生え始めた時のケア方法と注意点

「乳歯のケアはいつからすればいいの?」
「どんなふうにケアすればいいの?」
など、はじめてのことに疑問もいっぱいという人も多いことでしょう。
乳歯は永久歯にも大きく影響するので、生え始めからのケアはとても重要です。ここでは、生え始めた乳歯のケアの仕方や注意点をご紹介します。
- 子どもの乳歯ってケアが必要なの?
- 乳歯のケアは歯ブラシを使ってもいいの?
- 生え始めの乳歯は柔らかくてケアするのが怖い。1日何回ケアすればいい?
乳歯が生えてきたらガーゼでケアしましょう

基本的には、乳歯が生えてきたらガーゼを使ってケアします。
- 手指をよく洗う
- ガーゼで人差し指を包む
- ガーゼで包んだ指をぬるま湯で濡らす
- 乳歯の表と裏を優しく拭う
ガーゼはどんな物を使うといいですか?

市販のガーゼを切るのでもいいし、100%コットンのガーゼハンカチを使ってもいいですよ。
歯が生え始める前(生後〜5、6ヶ月くらい)

ここからは、歯医者さんが推奨するケアの仕方です。実は、口内ケアは歯が生え始める前からするのがおすすめです。というのも、歯が生え始めてから急にケアをし始めると、びっくりしてイヤがる赤ちゃんもいるからです。歯が生え始める前からお口の周りを触ることで、その後のケアにも自然に移行できます。
歯のお手入れの注意点
歯が生える前でも粘膜などにミルクが残っていることがあるので、ガーゼと反対の指で上唇を優しくめくりながら拭うと良いでしょう。
なにかコツはありますか?

お風呂上がりに身体を拭く延長でやると、ご機嫌でやってくれるという声が多いですよ。
歯が生え始める(生後6ヶ月頃〜)

乳歯が生え始めても、ミルクやペースト状のごく柔らかい離乳食への移行期なので、まだ歯を使って食べません。ガーゼでのケアで十分です。
歯のお手入れの注意点
歯茎が傷つきやすいので、優しく拭いましょう。ガーゼでのケアや授乳後に湯冷ましを飲ませるなどをして、食事の後はケアをするという習慣をつけます。
歯磨き用の滅菌シートなどもありますね。

そういったものを使ってもいいですよ。ただし、ひんやりしないように、パッケージの上から手のひらで包んで、常温に戻してから使ってくださいね。
前歯が成長してくる(生後10ヶ月頃〜)

離乳食は形のあるものになり、栄養の中心がミルクから食品へと移る時期です。ハイハイやつかまり立ちを始める赤ちゃんもいるでしょう。そろそろベビー用の歯ブラシを使って磨き始めます。
歯のお手入れの注意点
もしもイヤがったら無理に続けず、一旦やめて時間を置いてチャレンジしましょう。
歯磨きが嫌いになったらダメですもんね。

そうですね。それと、ベビー用歯ブラシは、時々専用の消毒液で殺菌するのがおすすめですよ。
前歯が生え揃う(生後1年前後)

この頃になると、たっちやあんよをするなど行動範囲も一気に広がります。何でも自分でやりたがり、大人のマネもしたがります。自分で歯磨きしたがったら、自分で持たせてあげましょう。自分ではまだ歯磨きできないので、ママやパパがしっかりとケアします。
歯のお手入れの注意点
食後に大人が歯磨きしている場にいることで、子どもも自然に歯磨き習慣が身につきます。時々ママやパパの歯も磨いてもらったり、たっぷりと褒めてあげたりすることも大事です。また、リング付きの歯ブラシは口の奥まで歯ブラシが入るのを防げます。
歯磨き粉は使ったほうがいいんですか?

口ゆすぎがまだできないので、基本的には不要です。
奥歯が生え始める(生後1歳半前後)

離乳食がそろそろ完了に向かいます。奥歯(第一乳臼歯)も生え始め、本格的な歯磨きが必要になります。
歯のお手入れの注意点
歯ブラシは軽く持ち、ゴシゴシとこすらないようにしましょう。歯にブラシの先端を当てて、小刻みに揺らすようにして汚れを落とします。歯ブラシも自分で持たせますが、仕上げ磨きは大人が行ってください。

ソファの上など足元が不安定なところでは歯ブラシで口の中を怪我する危険もあるので、歯磨きは安全な場所で行ってください。
歯磨きは洗面台の前で、と決めておくといいですね。
奥歯が生え揃う(2歳前後)

2歳前後になると、奥歯(第二小臼歯)が生え揃う子が多くなってきます(歯の生え揃いや順番には個人差があります)。生活面では何でもイヤイヤの”イヤイヤ期”に入る頃。歯磨きもなかなかしてくれないこともあります。
歯のお手入れの注意点
奥歯が生え揃う頃には食べる食品の種類も増えて、虫歯にもなりやすくなります。第一反抗期ではありますが、無理にさせるのではなく、「ママとどっちが早く歯磨きを始められるか競争」など遊びを取り入れたりして上手に誘導しましょう。
ママがやるのもイヤ、自分でやるのもイヤなんですよね〜。

歯ブラシもかわいいキャラクターなど子どもが好きそうなものにしたりして、工夫してみてくださいね。
乳歯が生え揃う(3歳前後〜)

多くの子どもが3歳前後には乳歯が生え揃います。歯磨き習慣もついてきた頃でしょう。自分でゆすぐこともできるようになるので、歯磨き粉を使い始めます。歯磨き粉はジェルタイプの子ども用が良いでしょう。飲み込んでも大丈夫な成分のものもあります。
歯のお手入れの注意点
自分でできるとはいえ、まだまだ磨き残しなどが多いので、仕上げ磨きはしっかりと行います。ママがソファなどに座り、子どもの頭を膝の上に乗せて上から覗いて磨きます。
じっとできなくて仕上げ磨きが苦手なお子さんもいますね。

そういう場合は時間を決めて行うのが効果的です。歌を歌っている間や、30数えるまでと決めて、その間じっとできたら褒めてあげます。
8歳頃は仕上げ磨きが必要

「仕上げ磨きは何歳までやればいいの?」という質問も多いのですが、仕上げ磨きは8〜9歳頃までは必要です。何でも自分でできて思春期にも入るので、恥ずかしがるかもしれません。しかし、まだまだ大人のようにはしっかりと磨けないことが多いので、仕上げ磨きを行ってください。

大きくなるにつれてスキンシップが少なくなるけど、仕上げ磨きの時はママの膝で甘えられるっていう子も多いみたいですよ。
確かに!その時だけは正々堂々と甘えられますね。
歯磨きの1日の回数は食事に合わせて柔軟に

先生、歯磨きの回数はいつ頃から毎食後にすればいいんですか?

離乳食が終わって大人と同じものを食べるようになるくらいからです。
唾液には自浄作用があり、赤ちゃんの頃は唾液もたくさん出るので、それほど歯磨きに神経質になることはありません。しかし、お菓子やジュースなどを飲食するようになると、虫歯になりやすくなってきます。ダラダラ食べをさせず、毎食後はしっかりと歯磨きをする習慣をつけさせましょう。
乳歯のケアは一生を左右する
乳歯は抜けるからケアはしなくていいと思っている人も多いのですが、それは誤解です。乳歯の状態は、あとから生えてくる永久歯にも影響を及ぼします。歯は生涯の全身の健康を大きく左右する大事な器官。生え始めからのケアと歯磨き習慣は、大事な我が子へのプレゼントと言えるでしょう。
- 乳歯は生える前からケアするのがおすすめ
- 奥歯が生えるまではぬるま湯とガーゼで優しく拭う
- 奥歯が生えてきたらベビー用歯ブラシに変える
- 歯磨き粉の使用は自分で口をゆすげるようになってから
- 仕上げ磨きは8歳頃まで必要