インプラント手術に入院は必要?インプラントでよくある10の質問

インプラント手術に入院は必要?インプラントでよくある10の質問

この記事の監修医師一覧

櫻井祐弥先生
櫻井 祐弥 先生
所属:エムズ歯科クリニック下落合
専門:デジタル
東京都出身。東京医科歯科大学を卒業し、インプラント専門医の下で臨床研修を行った後に医療法人社団翔舞会エムズ歯科クリニックに入社。現在、エムズ歯科クリニック下落合院長として診療をする傍ら、子育てと趣味の読書と最近習い始めたゴルフに奮闘している。

インプラントを入れるには外科手術が必要だと聞いたけど、入院するのだろうか?どんな手術をするのだろう?痛くないのか、治療の具体的な方法は、リスクは?等々、様々な不安や疑問があるでしょう。そこで、ここではインプラントを検討する人から聞かれる「よくある質問10項目」を取り上げて、説明していきます。

1.インプラントに入院は必要ですか?

基本的に、インプラント手術に入院は必要ありません。手術にかかる時間は30分〜1時間程度です(個人によって差があります)。手術と聞くと、なにか大掛かりなものを想像してしまいがちですが、日帰りで行えるので心配いりません。

2.インプラント手術は痛くないですか?

手術中は局所麻酔を使用するため、痛みを感じません。ただ、メスを使って歯ぐきを切開するため、手術が終わった後に麻酔が切れると、痛みや腫れが生じることがあります。術後は鎮痛剤を処方されるので用法用量に従って服用し、様子を見てください。

痛みや腫れは自然に引いていきますが、処方された薬がなくなっても痛みや腫れが引かない場合は、なにかトラブルが起きている可能性があります。その際には病院に連絡し、受診してください。また、我慢できないくらいのひどい痛みがある場合も、すぐに医師に相談しましょう。

手術する際に、人によっては緊張や不安が大きく、パニックになってしまう人もいます。その場合には、静脈内鎮静法という点滴麻酔を用います。静脈内鎮静法は全身麻酔とは異なり、意識はありながらとてもリラックスした状態になるため、うとうとしている間に手術が終わってしまいます。

3.インプラントの手術の種類は?

インプラントの手術には、1回法2回法があります。1回法は1回の手術で歯ぐきを切開し、歯科用ドリルで顎骨に穴を開けてインプラント体を埋入し、アバットメントまで装着します。2回法は、1回目の手術でインプラント体を埋入して一度縫合し、日を置いて2回目の手術でアバットメントを装着します。1回法と2回法の違いは、歯ぐきを切開する手術の回数です。

インプラントにはワンピースタイプツーピースタイプがあり、本体とアバットメントが一体化しているのがワンピース、別々になっているのがツーピースタイプです。

1回法手術のメリット・デメリット

1回法は歯ぐきの切開が1度きりなので、患者さんへの負担が少なく治療時間も短縮できるというメリットがあります。ただ、1回法では、インプラント埋入後に歯ぐきを貫通して上部が露出している状態になります。そのため、切開した歯ぐきの治癒と骨への固定がしっかりとするまでは、細菌感染のリスクがあります。

メリット
    • 患者さんへの負担が少ない
デメリット
    • 顎骨がしっかりしていなければ行えない
    • 細菌感染のリスクがある
    • 固定するまでに力が加わるため骨の結合に影響を及ぼす可能性がある

2回法手術のメリット・デメリット

2回法は、1回目の手術でインプラントを埋入して歯ぐきを閉じます。そのため、インプラントが固定されるまでは細菌感染する心配や余計な力が加わることがなく、しっかりと固定できます。ただし、2回手術が必要で治療時間は1回法よりもかかります

メリット
    • 細菌感染のリスクが少ない
    • しっかりと固定できる
デメリット
    • 2度の手術で歯ぐきを切開しなければならない

4.インプラントの手術の流れは?

インプラント手術の流れは、1回法と2回法で異なります。以下は、あくまで一例です。日数や期間及び定期検診の回数は、医療機関個人の骨などの状態によって異なります。

1回法手術の流れ

    • 歯ぐきを切開する
    • 専用ドリルで骨に穴をあけインプラントを埋入
    • 歯茎の上まで出る仮のフタを取り付けて縫合する
    • 翌日検診・消毒
    • 1週間後抜糸
    • 仮のフタを外しアバットメント及び仮歯を装着
    • 1〜2週間後検診
    • 2〜6ヶ月ほど治癒期間
    • 型取りと人工歯の作成(約2週間)
    • 人工歯装着

2回法手術の流れ

    • 歯ぐきを切開する
    • 専用ドリルで骨に穴をあける
    • インプラントを埋入する
    • 仮のフタをし、歯ぐきを縫合する
    • 翌日検診・消毒
    • 1週間後抜糸
    • 3〜6ヶ月ほど固定期間
    • 2回目手術。歯ぐきを切開し仮のアバットメントを装着する
    • 仮歯装着
    • 翌日検診・消毒
    • 1〜2週間後検診
    • 型取りと人工歯の作成(約2週間)
    • 人工歯装着

5.インプラントは半永久的なものですか?

インプラントは基本的には何十年ももちます。確かにインプラントは骨としっかり固定されれば、自分の歯と同じように長年生活することが可能ですが、インプラントは人工物なので、100%ということはありません。人工歯の部分は耐久性に優れた素材でできていますが、あまりにも強い力がかかれば欠損することもあります。

また、メンテナンスを怠っていると口内にある細菌に感染し、インプラント周囲炎になる可能性があります。インプラント周囲炎は一度かかると非常に厄介で、放置しておけば骨がどんどん吸収され、最悪の場合、ある日スルッとインプラントが抜け落ちてしまうという事態にもなりかねません。

インプラントを入れたら、毎日の歯磨きや歯間ブラシでのセルフメンテナンス定期メンテナンスは欠かせません。

6.インプラントの材料はなんですか?

インプラントはインプラント体(フィクスチャー)・アバットメント・人工歯の3構造から構成されています。

    • インプラント体:チタンやジルコニア
    • アバットメント:チタン、ジルコニア、合成金など
    • 人工歯:表面にセラミック、芯の部分にジルコニアや合成金

チタンは金属ですが骨との結合がとても良く、他の金属のように溶け出すことが少ないため古くから使われてきました。体内に溶け出さないので、金属アレルギーにもなりにくいのが特徴です。ジルコニアは、人工ダイヤモンドと呼ばれる非金属です。チタンよりも強固ですが、価格はやや割高です。

セラミックは陶器と同じで、ツルッとした仕上がり優れた耐久性を持っています。微妙な色の違いを出すことができるので、個人の歯に合わせた人工歯を作ることができ、経年変色もありません。

人工歯で芯部分と表面が異なるのは、強度を増すためです。表面にセラミックを用いるのは、審美性と耐久性の強さからです。芯部分がセラミックでできた、オールセラミックもあります。

7.インプラントは保険適用できますか?

インプラントは、自由診療なので保険は適応されません。保険が適用される治療は、生活に必要な最低限のものです。そのため歯を失った場合に保険適用内で治療しようとすると、入れ歯やブリッジという選択になります。ただし、病気や怪我による以下のような場合には、保険適用でインプラント治療ができます。保険適用されるかどうかは、医師の診断が必要です。

    • 先天的に顎骨の1/3以上を連続して欠損している場合
    • 上顎が連続して1/3以上欠損し、かつ副鼻腔や鼻腔につながっている場合
    • 病気が原因で下顎の1/3以上を連続して欠損している場合
    • 顎骨の形が不完全な場合
    • 骨移植によって顎骨が再建された場合

8.インプラントの費用はどれくらいですか?

インプラントの費用は自由診療なので、病院やクリニックによって設定金額が異なります。扱っているメーカーや、設備などによっても左右されるでしょう。インプラント費用の内訳は、以下のとおりです。

    • CT検査、レントゲン検査などの諸検査
    • サージカルガイド費用
    • インプラント自体の費用
    • 被せものの費用
    • 手術費用
    • 骨が足りない場合は造骨手術

相場は1本あたり総額で40万円ほどといわれています。もちろん、分割払いが可能です。反対に、あまりにも安い価格を提示しているところは、注意しなければなりません。提示金額は総額なのか、取り扱うインプラントは粗悪品ではないか、5〜10年保証はついているかなどが注意するポイントです。

9.インプラントは誰でもできますか?

インプラントは、まるで自分の歯のように使うことができ、メンテナンスも簡単です。しかし、残念ながらインプラントができない人不向きな人もいます。インプラントができない人・不向きなのは、以下のような場合です。

    • 骨の高さや厚みが足りない
    • 骨密度が足らない
    • 重度の歯周病がある
    • 重度の全身疾患がある
    • 16歳未満
    • 定期メンテナンスに通えない
    • 喫煙者

インプラントができない人・向いていない人に関しては、以下の記事で詳しく説明しています。

歯科医が教える「インプラント治療に向かない人・できない人」

10.インプラントのリスクは?

インプラントにもリスクがあります。一般的な歯科治療に比べて、高額だということがまずひとつです。その他、手術中と術後のリスクについてまとめました。

手術中のリスク
    • 誤って神経を傷つけると麻痺になる可能性がある
    • 誤って血管を傷つけると出血多量になる可能性がある
    • まれに、誤って上顎洞を突き抜けることがある
手術後のリスク
    • 痛みや腫れが出ることがある
    • インプラント周囲炎になる可能性がある
    • 強すぎる力がかかると欠けや割れが起こる

最近では、手術中の医療ミスを防ぐために、サージカルガイドを導入する病院が増えてきました。サージカルガイドとは、手術用のマウスピースです。事前にCT撮影をして骨や口内の状況、血管や神経の位置を確認し、シミュレーションを行ってオーダーメイドのガイドを作成します。

ガイドはマウスピースにドリルを導く穴が開いたようなもので、ドリルは設定された角度・深さにしか進まないようになっています。これにより、他の場所を傷つけず、より正確にインプラントを埋入することが可能です。

インプラントでよくある質問のまとめ

インプラントでよくある質問について説明してきましたが、少しは不安が取り除けたら幸いです。取り上げた項目は、以下のものです。

    • 1.インプラントに入院は必要か
    • 2.インプラント手術は痛くないか
    • 3.インプラントの手術の種類
    • 4.インプラントの手術の流れ
    • 5.インプラントは半永久的か
    • 6.インプラントの材料
    • 7.インプラントは保険適用できるか
    • 8.インプラントの費用
    • 9.インプラントは誰でもできるか
    • 10.インプラントのリスク

もし、まだ不安があるようであれば、いくつかの病院に相談して比べてみるのも1つの方法です。医師選びのポイントは、症例や実績の豊富さ、設備が整っているか、丁寧に説明してくれるかに注目しましょう。