インプラントと併用する「オーバーデンチャー」とは?その構造や種類

インプラントと併用する「オーバーデンチャー」とは?その構造や種類

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柿木辰美先生
柿木 辰美 先生
専門:一般歯科
2013年 明海大学歯学部卒業。卒後は東京都内の歯科医院に常勤歯科医師として勤務。 現在は複数の歯科医院で非常勤歯科医師として、インプラントや歯内療法を軸に一般歯科診療を日々行なっている。

「オーバーデンチャー」はあまり聞いたことがない言葉です。しかし、従来の入れ歯に代わる優れた治療方法です。ここではオーバーデンチャーの構造や種類、どうやって治療をしていくかを詳しくご紹介します。オーバーデンチャーを勧められたけれどよくわからない…という人、オーバーデンチャーについて知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。

INDEX
  1. オーバーデンチャーとは
    1. オーバーデンチャーに向いている人
  2. オーバーデンチャーの構造
    1. ボールタイプ
    2. バータイプ
    3. マグネットタイプ
    4. ミニインプラントタイプ
  3. オーバーデンチャーのメリット・デメリット
    1. オーバーデンチャーのメリット
    2. オーバーデンチャーのデメリット
  4. オーバーデンチャーの治療の流れ
  5. オーバーデンチャーのまとめ

オーバーデンチャーとは

オーバーデンチャーとは、インプラントと入れ歯を組み合わせた治療法です。簡単に言うと、入れ歯をインプラントで固定するようなイメージと言えばわかりやすいでしょうか。

インプラントは失った1本の歯に対して、歯の根の代わりとなる人工物を骨に埋め、その上に人工歯を装着します。しかし、オーバーデンチャーは広範囲の失った歯に対して最低2本から行え、通常のインプラントよりとても経済的です。

また、入れ歯は留め金などを他の歯にかけて固定するので、どうしても口の中に違和感があります。そればかりか、留め金をかけると他の歯にダメージがあり、顎骨が痩せてしまうという難点があります。ですが、インプラントは歯に直接埋めてしまうのでとてもシンプルです。他の歯を傷つける心配がなく、もちろんガタつく心配もありません

オーバーデンチャーに向いている人

オーバーデンチャーに向いている人は、以下のような人です。

    • 虫歯や歯周病でほとんどの歯を失った
    • 総入れ歯にしたくない
    • インプラントは経済的に難しい
    • 入れ歯を使うと口の中が痛い・違和感がある

特に、病気や事故などでほとんどの歯を失ってしまった若い人には、オーバーデンチャーはおすすめです。入れ歯は噛む力が天然歯の半分程度になってしまうため、ふつうより柔らかめの食事を選ぶことを余儀なくされます。結果、食べたい欲求が満たせない可能性があります。しかし、オーバーデンチャーなら直接骨にインプラントを固定しているため、強い力で噛むことができ、なんでも美味しく食べられます。お手入れも簡単なので、旅行なども気兼ねなく行けるでしょう。

オーバーデンチャーの構造

オーバーデンチャーの構造は、顎骨にインプラントを2〜4本程度入れて、入れ歯の裏側のパーツと連結させるというものです。いくつかのタイプがあるので、タイプごとに説明していきます(上の画像はマグネットタイプです)。

ボールタイプ

ボールタイプとは、入れ歯との接触面になるインプラント上部がボール状になっているオーバーデンチャーです。入れ歯の裏側の金具とホックのようにつけて取り外すことができます。

バータイプ

顎骨に埋めたインプラントをバーで連結し、入れ歯の裏側にバーを挟むクリップがあるタイプです。バータイプは、クリップの他にマグネットを使用する場合があります。

マグネットタイプ

マグネットタイプとは、磁石で着脱するタイプです。インプラント上部に磁力のある金属(キーパー)があり、入れ歯の裏側にも小型の磁性金属を埋めて、磁力でくっつきます。磁力の力でピッタリと取り付き、簡単に取り外しを行うことができます。

ミニインプラントタイプ

下顎のみに可能なオーバーデンチャーです。4本の小さなインプラントを埋め込んで入れ歯を支えます。

オーバーデンチャーのメリット・デメリット

オーバーデンチャーをしようと決める前に、メリットとデメリットを把握しておきましょう。

オーバーデンチャーのメリット

オーバーデンチャーのメリットを以下にまとめてみました。

メリット
    • 取り外しが簡単
    • 手入れが簡単
    • 既存の歯や歯ぐきにダメージを与えない
    • 入れ歯より強い力で噛める
    • 骨量が少なくても治療できる場合が多い
    • すべてをインプラントにするより経済的
    • バネなどがないため審美性に優れる

今まではすべての歯を失うと、総入れ歯しか選択の道がありませんでした。しかし、インプラントと併用するオーバーデンチャーなら、入れ歯では不可能だった硬いものでも食べることができ、既存の歯や歯ぐきダメージを与える心配がありません。また、シンプルな構造なので、手入れが簡単でいつまでも清潔に使い続けることができます。

また、入れ歯は歯ぐきに留め金が当たるため、次第に顎骨が痩せていってしまいます。すると、顔の印象が変わったり、入れ歯も作り直したりしなければなりません。その点、オーバーデンチャーは他の歯に影響を与えないので顎骨が痩せません。オールオン4という最低4本のインプラントを入れる治療と比べ、骨量が少なくても治療できるのもメリットです。もちろん、すべてをインプラントにするよりかなり経済的です。

MEMO
オールオン4とは、最小4本(上顎と下顎の場合は8本)のインプラント体ですべての歯を支えるインプラントの治療法です。治療には、インプラントを埋める箇所に十分な骨量が必要となります。

オーバーデンチャーのデメリット

続いてオーバーデンチャーのデメリットです。
デメリット
    • インプラント埋入時に外科手術が必要
    • 入れ歯に比べると費用がかかる
    • 強く噛みすぎると義歯が破損する可能性がある
    • 既存の歯にかぶせる場合虫歯になりやすい

インプラントは骨に埋入するため、外科手術が必要です。また、自由診療のため保険診療が可能な入れ歯と比べると、どうしても価格が割高になります。ただ、入れ歯もしっかりとした材質を選ぶと保険外診療になるため、一概にどちらの方が高いとは言えません。

また、インプラントは顎骨にしっかりと固定されるため、強い力で噛むことができます。しかし、入れ歯部分の義歯は人工物なので、あまりにも硬いものを噛むと人工歯が欠損する恐れがあります。カチカチのフランスパンや硬さがウリのせんべいなどは、避けるほうが賢明でしょう。

既存の歯が残っている場合は、オーバーデンチャーを上からかぶせることになります。そのため既存の歯が虫歯になりやすいので、日頃からの既存歯のメンテナンスも重要です。

オーバーデンチャーの治療の流れ

治療の流れ
    • CT検査
    • 治療方針を決める
    • 手術
    • 義歯作成
    • 装着し確認

まずは精密検査をします。CT検査をするのは、骨や粘膜などの状態を立体的・総合的に調べるためです。次に、検査の結果を分析し、患者さんと相談しながら治療方針を固めます。

インプラントの埋入は手術によって行われます。インプラントを埋入した後、骨としっかり結合するまでに少し期間がかかります。インプラントと骨が結合したら、義歯との接着する土台を取り付けます。

最後に義歯を作り、装着して不具合がないか微調整して終了です。

オーバーデンチャーのまとめ

オーバーデンチャーは、通常の入れ歯とは異なる方法噛む力を取り戻すことができる治療法です。シンプルな構造なので手入れが簡単で、留め金なども見えないので見た目にもスッキリします。

また、既存歯や歯ぐきを傷つけないので顎骨が痩せることもありません。手術が必要で保険診療の入れ歯に比べると費用はかかりますが、骨が痩せて何度も作り直すという必要がないので、長い目でみれば経済的です。