【歯科医監修】インプラント治療するとがんになるって本当?

インプラントでがんになるかもしれないと聞いて、不安になっていませんか?
インプラントにして快適になったという話はよく聞くけれど、デメリットはないのか気になっている人も多いでしょう。
そこで、ここではインプラントとがんとの関係やインプラントのデメリットなどについてお伝えします。
より安全で効果的な治療を行えるように、インプラントについての知識を深めましょう。
- インプラントはがんになりやすいと聞いたが、本当?
- インプラント治療とがん発生率の関係について知りたい。
- 持病があるとインプラントできないというのは本当?
- インプラントできない人がいる?それはどんな人?
- インプラント治療後、健康を保つ方法を知りたい。
インプラントが原因でがんになることはありません

インプラントは発がん率が高いと聞いたのですが、本当ですか?

いえいえ、インプラントが直接的な原因となって突然がんになるということはありません。
そうなんですね。では、なぜそんな噂が出ているのでしょう?

おそらく、インプラント手術後の管理ができておらず、口内が汚れていて細菌が繁殖しやすい状態になるからでしょう。喫煙している場合もリスクが高まります。
なるほど。お手入れ不足による口内環境の悪化が問題というわけですね。
インプラント=がんになりやすい、という誤解をしている人もいるかもしれませんが、インプラントが直接がん発生の原因になるわけではありません。
インプラントを入れると、お手入れをきちんとしなければインプラント周囲炎という病気にかかりやすいのです。
これは天然歯の歯周病とよく似ていて、この病気を発症すると、重篤な全身疾患にかかりやすい傾向があるいう多くの調査報告があります。
お手入れをしっかりと行い、健康な口内環境を保っていればインプラント周囲炎を予防できますし、そこから全身疾患につながることもありません。
歯磨きや定期メンテナンスなど「正しいお手入れ」を継続しましょう。
口腔がんについての基礎知識

口の中のがんとは、どんなものですか?

口の中にできるがんのことを「口腔がん」といいます。舌・舌裏・歯ぐき・頬の内側など、口内のあらゆる粘膜にできる可能性があります。口腔がんの原因の多くは、口内の衛生状況の悪さや飲酒・喫煙ということが分かっているんですよ。
そうなんですね。口内衛生と生活習慣の改善が必要ですね。
口腔がんの確率は、がん全体の1〜2%ほどとされています。そして、粘膜に関係する扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)は、口腔がんの中で90%以上を占めます。
扁平上皮とは体の表面を覆っている組織のひとつで、口・喉・膀胱・肛門・子宮頚部など、内部が空洞になっている臓器の粘膜組織にみられます。
粘膜組織に強い刺激があると、細胞の遺伝子が傷ついてがん化するリスクが高まります。
けれどもインプラントは、骨にしっかりと埋め込まれて固定されていますので、口内で刺激の原因になることは考えにくいといえます。
インプラントのデメリット

では、インプラントそのもので考えられるデメリットは無いですか?

主に治療期間が長いこと、まとまった費用がかかること、そして外科手術を伴うことですね。そのほか、以下をご覧ください。
- 治療期間が長い
- 治療費が高め
- 外科手術が必要
- 腫れ・痛み・感染症のリスクがある
- 持病があると治療不可の場合がある
- ヘビースモーカーの人は受けられない
- 16歳未満は受けられない
- インプラント周囲炎のリスクがある
インプラントの治療期間は、一般的には3カ月〜6カ月です。
保険適用外の自費診療なので、治療費は比較的高めです。
外科手術で骨を削る手術を行うため、治療後に麻酔が切れると痛みや腫れが出ることがあり、感染症の予防にも配慮しなければなりません。
それでは、インプラントそのもので考えられる一つひとつ説明していきましょう。
喫煙者はインプラントにはできない

「ヘビースモーカーの人は受けられない」とありますが、喫煙者はインプラント治療できませんか?

そうですね。喫煙者がインプラントを希望する場合、ほとんどの歯科では禁煙が必須となります。
そうなんですね。健康のために禁煙が推奨されているからですか?

タバコに含まれるニコチンやタールの影響で、インプラントと骨が結合しなかったり、傷の治癒が遅れたりするリスクがあるからです。
なるほど。手術がうまくいかない恐れがあるというわけですね。
タバコの成分は、インプラントと骨との結合も阻害し、顎骨や歯ぐきを巡る細かい血管を収縮させる作用があります。つまり、せっかく手術しても失敗に終わるリスクが高まるのです。
また血流が悪いことで、インプラント周囲炎になりやすいのも問題です。
多くの歯科では、禁煙してからインプラント治療を行うことをおすすめしています。
全身疾患とインプラントの関係

持病があるとインプラント治療ができない、という話を聞いたことがありますが、そうなんですか?

そうですね。糖尿病や心臓病、高血圧、腎臓病、骨粗鬆(こつそしょう)症といった血液や骨が関連する全身疾患がある人は、インプラント治療をするのが難しいですね。中にはできないケースもあります。
インプラントは外科手術を伴うため、全身疾患がある人は感染症のリスクが高くなることから治療できないケースがあります。
ただし、内科のかかりつけの医師の管理がゆきとどき、症状が安定していれば治療できるケースもあります。まずは主治医に相談しましょう。
詳しくは以下の記事もご覧ください。
放射線治療をしている人は原則として受けられない
がんなどで放射線治療を受けている人は、骨髄炎になるリスクがあるため、インプラントの外科手術を避けた方がいいケースがあります。
放射線治療をしていると絶対にインプラント治療をできないわけではありませんが、あまりおすすめできません。
また、放射線治療を受けていると唾液の量が少なくなります。唾液の殺菌・防菌作用は口内の衛生環境の維持に非常に役立ちます。
治療が成功しても、唾液が少ないとインプラント周囲炎を起こしやすくなるのも、おすすめできない理由のひとつです。
特定の薬を服用している人は受けられない
ビスホスホネート(ビスフォスフォネート)系とステロイド系の薬を飲んでいると、インプラント治療はできません。骨の結合の阻害や顎骨壊死を起こす恐れがあります。
骨粗鬆症の人が飲むビスホスホネート系の薬は、以前は3カ月間の休薬を挟めば治療できた時期もあったのですが、最新の情報では休薬してもリスクは変わらないとされています。
ステロイド系の薬を飲んでいる喘息やリウマチなど自己免疫疾患の病気の人は、手術などのストレスで発作を引き起こすリスクが高いためです。免疫力が落ちていて細菌感染のリスクを招くのも問題です。
高血圧や脳梗塞などの人が飲む、血液を流れやすくする薬「ワーファリン」(抗凝固薬や抗血小板薬)も、手術中に血が止まりにくくなるため危険です。

どの全身疾患がある人も、免疫力が低下していて感染症にかかりやすいリスクは同じです。それでもインプラント治療を希望する場合は慎重に進める必要があります。主治医と相談しながら検討してください。
以下の記事でも、インプラントと薬の関係が確認できそうですね。
インプラントはその後のケアが最重要!


インプラントを入れたからといってそれが原因でがんになることはありません。ですが、全身疾患がある人は慎重に治療を進める必要があります。そして治療後は、インプラント周囲炎にならないよう十分にケアしてください。
どんなケアをすればいいですか?

食後と寝る前などにこまめな歯磨きを行うことが、もっとも効果があります。歯間ブラシやフロスを使用して、歯と歯の間などに残った食べカスを徹底的に除去してください。歯科へ定期メンテナンスにも通ってくださいね。
なるほど。歯磨きという基本的なことが大切なのですね。口内衛生を保つように気を付けます。
- インプラントを入れたことが原因でがんになることはない。
- 歯磨きなどのケア不足による口内環境の悪化が原因と考えられる。
- インプラントは外科手術を伴うため、全身疾患があると難しい。
- 主治医に相談し、指示に従って進めるなら治療可能なケースも。
- 治療後は歯磨きなどケアを徹底と、定期メンテナンスが必須。