【歯科医監修】インプラントに向かない人やできない人の特徴とは?

インプラントは根元から歯を失っても、まるで自分の歯が戻ったように過ごすことができる治療法です。しかし、インプラントを希望しても、なかには歯医者さんに断られてしまう人がいます。この記事では、インプラントに向かない人の特徴やインプラントができない病気とその理由をご紹介します。
- インプラントは誰でもできるものではないの?と思っている。
- 持病があるけどインプラントができるかどうか知りたい。
- 歯周病がある人はインプラントに向かない?と思っている。
- 子どもでもインプラントができるかどうか知りたい。
- インプラントをするにはタバコを辞めなければならないと聞いた。
- 骨粗鬆症だけどインプラントは難しい?と悩んでいる。
インプラントに向かない人の5つの特徴
インプラントに向かないのは、以下の5つの特徴を持つ人です。
1.骨の厚みが足らない・骨密度が低い

生まれつきの骨格などにより、極端に顎の骨が薄い人や骨が弱い人は、インプラントを埋め込む土台となる骨が不安定になる可能性があります。ただし、骨質はしっかりしているのに骨の量が足りないといった場合には、増骨手術をしてインプラントを埋めることが可能です。

インプラントは骨に埋めるので、土台が危ないとできません。
それはそうですね。
2.成長途中の人、妊娠中の人

成長途中の人は、将来歯並びが変わってしまう可能性があるため、インプラントを入れることはできません。ほとんどの歯医者さんでは、顎の骨の成長が止まった16〜20歳頃からインプラントの治療をすることができます。インプラントの治療には2回の外科手術が必要です。妊娠中の人はお腹に影響を及ぼすリスクがあることから、インプラント治療は出産後にしてください。
また、定期メンテナンスに通えなくなる可能性がある高齢者なども、できないと言われることがあります。

定期メンテナンスは治療後も続けて通う必要があるんです。
将来寝たきりになったり1人で動けない高齢者は難しいですね。
3.タバコがやめられない人

ヘビースモーカーの人は、インプラント治療を断られることがあります。タバコに含まれるニコチンが歯ぐきの血行を悪くし、インプラントと骨の結合を阻害するからです。仮に治療が成功したとしても、その後もインプラント周囲炎などのトラブルが生じやすいため、ほとんどの歯科医から禁煙してくださいと言われます。

タバコは虫歯や歯周病にもなりやすいですしね。
インプラントにも関係があるとは知りませんでした。
4.歯ぎしりや食いしばりがある人

ちょっと意外かと思うかもしれませんが、歯ぎしりや食いしばりはインプラントにとってよくありません。歯ぎしりや食いしばりをしたときにインプラントにかかる力は100kg超え。インプラントに相当なダメージを与えます。歯ぎしりや食いしばりのクセがある人は、事前に改善しておきましょう。

歯医者さんでも改善するプログラムなどがあります。
自分ではなかなか治せないので助かりますね。
5.口の中の衛生を保てない人

口の中が不衛生だと、インプラント周囲炎という病気にかかりやすいため、日頃から歯みがきなどを習慣化できない人は治療が難しくなります。インプラント周囲炎は通常の歯周病よりも進行が早く、骨に感染するため非常にやっかいです。

この病気にかかるとひどい場合は顎の骨がなくなっていってしまいます。
それじゃインプラントが抜けちゃうじゃないですか!

そうなんです。だから治療をお断りすることがあるんですよね。
インプラントができない病気や既往歴
インプラントは外科手術が必要になるので、服用している薬や出血を伴うことに問題がある重度の全身疾患を持つ人は難しいです。
骨粗鬆症

骨粗鬆症で骨密度が極端に低い人は、骨の量が足りないのでインプラントを埋めることができません。現在治療中の人のほか、過去に治療していた人も注意が必要です。また、骨粗鬆症の治療で「ビスホスホネート系」の薬を服用あるいは注射していた場合、インプラントの手術や抜歯をすると顎骨が壊死する恐れがあります。

ただし、薬の種類や投与期間によっては治療が可能な場合があります。主治医および歯科医師に相談してみてください。
聞いてみなければわからないということですね。
糖尿病

糖尿病で血糖値のコントロールがうまくいっていない人は、治療中の血糖値が不安定になる・免疫力低下で細菌感染しやすい・傷の治りが悪くなるなどのリスクがあります。また、骨との結合もしにくくなります。
ただし、糖尿病の場合も血糖値のコントロールがうまくいっていれば、インプラント治療をすることが可能です。医師とよく相談し、慎重に進められるケースもあります。

治療後も定期メンテナンスの間隔を狭めたりセルフメンテナンスを徹底すれば大丈夫です。
可能性があるならやりたい人はいるでしょうね。
高血圧

インプラント治療を行う際には多量の局部麻酔を用いますが、高血圧の人は血圧によって使用量の制限があるため、インプラント手術ができないことがあります。ただ、アドレナリン無添加麻酔などに変更してできるケースもあります。

ただし、正しく薬を服用していない人は治療中に合併症を起こす危険があるため、インプラント治療は行なえません。
合併症は怖いですね。
心臓病

心臓弁膜症で人工弁置換手術を受けた人や、体内に埋め込むタイプのペースメーカーを利用している人は、感染性心内膜炎のリスクが高いため、インプラント治療はおすすめできません。また、日頃から階段を登る際に息が続かない・常に足がむくんでいる・仰向けになると苦しいなどの心不全がある人も避けたほうが良いでしょう。

ただ、心筋梗塞や狭心症の人は、術後の経過次第ではインプラント治療ができる場合もあります。
あきらめずに、まずは相談してみることが大切そうですね。
肝臓病・腎臓病

肝硬変や急性肝炎、重度の肝臓病がある人は、肝機能障害により手術中に出血が止まらなくなる恐れがあります。術後も投与された薬をうまく代謝できない・薬によって肝機能が低下するなどのリスクも考えられます。
人工透析を受けている人や重度の腎臓病がある人も、インプラント治療は危険です。免疫機能が低下しているので細菌感染の恐れや出血が止まらない・傷の治りが遅いなどが考えられます。また、腎臓病にかかると骨がもろくなるので、顎骨とインプラントが結合しない可能性も高いです。

肝臓と腎臓の病気の人は、残念ながらインプラントは難しいです。
そもそも手術に耐えられる体力があるかどうかも問題ですね。
がんの治療中

がん治療で放射線治療をしている人、または過去にがんの治療をしたことがある人は、炎症が起こりやすく唾液量も少なくなるというリスクがあります。特に顎骨に放射線治療を受けた人は、インプラント治療は行なえません。麻酔による骨髄炎を起こす可能性も考えられます。
また、骨転移の可能性がある場合、ビスホスホネート系の薬が用いられています。ビスホスホネート系の薬は骨や歯の手術との相性が良くないので、そういった意味からもインプラント治療は難しいでしょう。
唾液量の話は、唾液の殺菌作用とか免疫力が術後にも関係するということですか?

そのとおりです。
インプラントに向くのはこんな人

今までご紹介してきたような要素がなく、かつインプラントに向くのは以下のような人です。
- 顎骨がしっかりしていて十分な厚みや密度がある
- ブリッジで歯を削りたくない
- 入れ歯を使うのはイヤ
- 何でも美味しく食べたい
- 味覚が必要な職業である
- 既存の健康な歯を長持ちさせたい
- 笑ったときに銀歯が見えるのはイヤだ
- 毎日の歯みがきや歯間ケアは欠かさない
インプラントは入れ歯みたいに急に外れたりしないのがいいですね。

そうですね。咀嚼力が落ちないのも魅力です。
自己判断であきらめず、まずは相談してみよう!
インプラントを入れたいと思っても、この記事を読んで向かない人やできない人に当てはまってしまったという方もいると思います。しかし、個人の状態などを総合的に判断し、治療可能になるケースもあります。あきらめる前に、まずは信頼できる歯科医師に相談してみてください。
- インプラント治療に向かないのは骨が足りない人や子ども、妊婦
- タバコや歯ぎしり、歯みがき習慣など生活習慣で向かない人もいる
- 重症な全身疾患がある人は基本的に難しいが、相談するとできる場合も