突然口が開かなくなった!顎関節症の治療法や自宅での注意点

「口を動かすと顎の関節からカクカク音がする」「顎の関節がなんだか痛い」「顎の付け根の違和感を放っておいたら、ある日突然口が大きく開けなくなった!」とお困りではありませんか?
それは、「顎関節症」の疑いがあります。顎関節痛は症状がひどくなると、ご飯も食べられないほどの痛みに襲われることがあります。そうなる前に、この記事を読んで対応してください。
顎関節症とは

顎関節症は、噛み合わせの不調によって起こる症状です。普段はあまり意識することのない顎の関節ですが、実は体全体に影響を及ぼす、とても大切な部分です。
なぜなら、顎関節は人間の体全体を支える要と言っても過言ではないからです。上顎から上が頭部、下顎から下が体を支える骨ですが、その継ぎ目となるのが、顎の関節です。
また、顎関節症は関節だけでなく、筋肉・神経も関係があります。物を食べるときや話す際に感じる違和感や、関節や筋肉に生じる痛みなども症状のひとつです。
顎関節症の症状

顎関節症の主な症状は、以下のようなものです。症状の重さには個人差があります。
- 顎が疲れやすい
- 口の開け閉めをするとカクカク・コツコツと音がする
- 顎の関節が痛い
- 口が開けにくい
- 口が大きく開けられない
口が大きく開けられない症状が進むと、1cm開けただけでも激痛が走る場合があります。また、二次的な症状としては、頭痛・肩こり・首のこり・耳鳴り・耳が詰まっているような感じがする・めまい・嘔吐感・手足のしびれなどがあります。
では、どうしてこのような症状になるのでしょうか。
顎関節症の主な原因
顎関節症になる原因は、様々です。
原因1.ストレス

ストレスとは、心因的なストレスです。急激なストレスで症状が出る場合もあれば、本人は自覚していなくても、日頃のストレスが溜まり結果的にある日症状として現れる場合があります。
また、顎関節症に伴う頭痛やこり、めまいなども、ストレスが原因で血流が悪くなって起こることが考えられます。血流が悪いと顎関節周辺の筋肉が強張ってしまい、顎関節症を引き起こすのです。
原因2.歯ぎしりや食いしばり

歯ぎしりや食いしばりは、無意識的にストレスを発散しようとして行う行動です。原因1とも重なりますが、長期に渡って昼夜問わず歯ぎしりや食いしばりをしているということは、長期間何らかのストレスを溜め込んでいるということです。
歯ぎしりや食いしばりが顎の関節に加える力は相当なものです。ちなみに、食事のときに加わる力は約40kg、歯ぎしりや食いしばりの重さは、100kg以上といわれています。
100kgもの力で左右に歯が擦り合わされば、噛み合わせがずれても不思議ではありません。
原因3.歯並びの悪さ

歯並びが悪いと、噛み合わせにも影響します。歯は口内だけでなく全身の骨にも関係しているので、噛み合わせが良くないと偏頭痛や姿勢、肩こりや腰痛など、顎の関節にも影響を及ぼすからです。
先述したように、全身は、骨だけでなく筋肉や神経でひとつにつながっています。したがって、歯並びを矯正治療することは、顎関節症の予防にもなります。
原因4.日頃の癖

癖とは恐ろしいもので、知らないうちに何気なくやってしまっている癖が、全身に影響を及ぼしたりします。
顎関節症になる原因で挙げられる癖は、以下のようなものです。
- 頬杖
- うつ伏せで寝る
- 長時間のスマホやパソコンの使用で首が前屈している
- 極端に固いものあるいは柔らかいものばかり食べている
- ご飯を食べる時、首だけテレビのある一方向ばかりに向ける
- 食べるときにどちらか片方で噛む
このような癖をなくすだけでも、顎関節症になる可能性を下げられます。
顎関節症の治療法

顎関節症は、症状の重さによって、治療方法が異なります。
歯科で行うマウスピース治療

マウスピース治療はスプリントとも呼ばれ、歯医者さんで行います。寝ている間に装着して、咀嚼筋(頬の筋肉)などの筋肉の緊張や歯ぎしり・食いしばりなどを防ぐ働きがあります。
なお、市販のマウスピースは自分専用ではないため、悪化する恐れがあります。歯医者さんで作ってもらうマウスピースを使用するのがおすすめです。
薬による治療

痛みが強い場合には、噛み合わせの矯正とともに、鎮痛薬を処方される場合があります。また、筋肉が緊張している場合には筋弛緩剤、ストレスなどが原因で歯ぎしりや食いしばりが起こっている場合には、抗不安薬や軽度の抗うつ薬を処方されることもあります。
外科的な治療

一般的な歯医者さんで治療できないような重症の場合や、骨格が原因などの場合は、手術して治すことがあります。
外科的な治療は一般的な歯医者さんでは行えないため、口腔外科医など専門的な医療機関にかかることになり、入院して行うケースが多いです。
ボトックス
ボトックスとはボトックス注射のことで、筋肉を緩める働きがあります。美容によく使われるイメージがありますが、症状によっては医療でも使われるもので、保険適用外になります。
マッサージ
痛みを軽減するには、マッサージも効果的です。親指の付け根か人差し指と中指をくっつけて顎関節に当て、ゆっくりと押し回すようにマッサージします。
ただし、痛みが出るほど強くもんだりつまんだりするのは逆効果ですのでご注意を。
顎関節症になったときの自宅での注意点

もし顎関節症になってしまい痛みがある場合は、安静が第一です。その他、気をつけたいことは、以下の7点です。
- 食事は柔らかいものにし、パンなどは1cm角くらいに小さくする
- 頬や全身の筋肉を柔らかくするマッサージを行う
- 顎を突き出す姿勢をしないようにする
- 首の牽引をしない
- 頬杖をつかないようにする
- 大きなあくびをしない
顎関節症の治療は歯医者さんへ
顎関節症は、口の開閉で顎の関節が鳴ったり、痛みを感じたりし、悪化すると口が開けず通常の食事も摂れないほどになります。
原因は様々で、ストレス・歯ぎしりや食いしばり・歯並び・日頃の癖などです。
顎関節症は軽度だからと放っておくと、突然症状が重くなることがあります。顎に違和感があったり音が鳴ったりする場合は、早めに歯医者さんに行くことをおすすめします。