【インプラントの基礎知識】構造や種類、治療法をわかりやすく解説

インプラントが快適と聞いて興味をもったものの、骨に埋める手術をするとと聞いて、「インプラントってどんな構造?」「どんな手術をするの?」と疑問を持つ方は少なくないでしょう。
インプラントは、一般的な歯科治療とは異なります。
ここでインプラントの基本的な知識を身につけて、安心して診療に臨みませんか?
治療前のカウンセリングで、歯科医とスムーズに会話ができるようになりますよ。
- インプラントをしてみたいけれど、どんな手術をするのか疑問。
- 骨に埋め込むインプラントとは、どんな構造なのか知りたい。
- インプラントの手術は、いったいどんな内容なのか知りたい。
- インプラントの治療法にも色々あると聞いた。詳しく知りたい。
- おすすめのインプラント・治療法・歯科医について知りたい。
インプラントとは?

最近は「インプラント」というと誰でも知っていますが、そもそもどういう意味ですか?

インプラントの言葉の意味は、「物をしっかり埋め込む」ですね。歯のインプラントだけではなく埋込式の医療機器、心臓のペースメーカーなどもインプラントです。
なるほど、そういうことなんですね。
歯科のインプラントは、正式には「デンタルインプラント」といいます。
心臓のペースメーカーや人工関節などの医療機器、美容整形を目的としたシリコン材料などもインプラントです。
デンタルインプラント(以下インプラント)は、失った歯の代わりに歯の機能を補うため、顎の骨に埋め込む人工歯です。
インプラントは人工歯根がある
他の義歯と一線を画すインプラントの特徴は、人工歯根があることです。
人工歯根にどんな効果があるかというと、骨にしっかり固定されているので頑丈です。よく噛めるという点は、圧倒的な強みといえます。
虫歯になっても歯根が残っていれば、差し歯という治療方法がとれます。けれども、歯が完全に抜けていれば差し歯にはできません。
歯根の損傷がひどい場合も、抜歯してインプラントにする選択が適しています。
歯を失ったときの治療の選択肢には入れ歯やブリッジがありますが、それらと比べても、インプラント治療は、天然歯に近い噛む機能と美観の回復ができます。
まわりの健康な歯に負担をかけない
入れ歯やブリッジは、まわりの残存歯に何も悪いところがないのに削ったり、金具をひっかけたり、何らかの負荷をかけなければ支えられない構造です。
そのため、まわりの健康な歯の寿命まで縮めてしまう恐れがあります。
その点、インプラントは独立した構造なので、そんなリスクがありません。
インプラントは、歯全体の健康維持のためにも、おすすめの治療といえます。
金属アレルギーリスクが低く身体に優しい
インプラントの人工歯根に使われるチタンには、金属アレルギーリスクが少なくて、骨と融合しやすいという特徴があります。
これを歯科用語でオッセオインテグレーションといいます。
チタンに似たオッセオインテグレーションの特性を持つことから、近頃は人工歯根に金属ではないジルコニアが使われたメタルフリーインプラントも出てきました。
こういった優れた点が多いことから、近ごろでは失った歯の治療法として、入れ歯やブリッジではなくインプラントが選択されることが増えています。
インプラントは自分の歯がよみがえったかのような噛み心地が得られるすばらしい治療法ですね。

そうですね。ですがインプラント手術をするには、いくつか条件があります。
条件とは、どんなものですか?

「土台となる歯槽骨の健康状態」「神経との位置関係」「歯周病の進行程度」これらが、インプラント治療に問題がない場合に限られます。まずは歯科で診断を受けてくださいね。
インプラントの構造は?

インプラントは、どんな構造になっているんですか?根っこの部分、白い歯の部分があるのはわかるのですが。

インプラントの構造は、大きく3つのパーツから成っています。
なるほど、3つですか。

顎骨に埋め込まれるインプラント体「フィクスチャー」、これが歯根です。そして、人工歯を固定するための「アバットメント」を被せ、その上に白い人工歯の「被せ物」を装着します。
アバットメントと人工歯の被せ物の接着方法には、スクリュー(ネジ)固定式とセメント(接着剤)固定式の2種類あります。
ツーピース
歯根部分に当たるインプラント体と、アバットメントが別々に分かれていて、上記で説明したように3つのパーツで構成されているインプラントをツーピースインプラントといいます。
- 手術は、歯根埋込とアバットメント取付の2回(1回で済むこともある)
- 2回手術をするので、ワンピースより治療期間や費用がかかる
- パーツが分かれているので、修理の際はアバットメントだけで済むことが多い
ワンピース
インプラント体とアバットメントが一体になっているタイプのものは、ワンピースインプラントといいます。
- 手術は一体化パーツ埋込の1回のみ。手術費も1回分のみ
- 修理の際は、パーツまるごと取り替えが必要になる
- ツーピースより衝撃に弱く、炎症が起きやすい
インプラント治療の流れとは?

インプラント手術は、1回する方法と、2回する方法があるようですが、どう違うのですか?

では、インプラントの手術の1回法と2回法、それぞれの流れを説明していきましょう。
1回法
- 歯ぐきを切開し、骨を露出させます。
- 歯科専用ドリルで、骨に穴を開けます。
- フィクスチャー(人工歯根)を、埋め込みます。
- ツーピースの場合は、フィクスチャーとアバットメントを連結した形で埋め込みます。
- 歯ぐきが治癒したら、人工歯を装着します。
2回法
- 【1度目の手術】ドリルで穴をあけるまでは1回法と同じです。
- カバーをつけて歯ぐきの下に閉じることで、骨と安全に結合するようにします。
- 歯ぐきを縫合したらインプラントが骨としっかり結合するまで3〜6ヶ月ほど待ちます。
- 【2度目の手術】結合が確認できたら、2度目の手術で再び歯ぐきを切開します。
- カバーを除去し、仮のアバットメントを入れて歯ぐきを治癒させます。
- 歯ぐきが治癒したら、本物のアバットメントと人工歯を装着します。

現在では、歯ぐきを切開しなくてもいい方法もありますよ。フラップレス法という新しい手術法です。
それはいいですね。どんな手術ですか?

パンチのようなもので穴を開け、フィクスチャーを埋めます。インプラント手術をより正確にできるサージカルガイドを使うので、痛みや腫れが少ないのも特徴です。
すばらしいですね。インプラントもそうですが、医療技術は日々進化していることを感じさせてくれますね。
定期メンテナンスは必須

インプラント手術後の注意点はありますか?

手術が終わっても、インプラントは定期的にメンテナンスに通う必要があることです。
そうなんですね。インプラントは人工の歯だから虫歯になりませんよね?メンテナンスが必要ですか?

インプラント周囲炎という歯周病に似た病気にかかりやすいため、定期検診とクリーニングをする必要があります。
また、インプラントには、歯科医院やインプラントメーカーが定めた保証期間があります。
インプラントの保証制度は、「定期メンテナンスに通っていること」を適用条件と定めています。
保証期間内は、無償に近い形で修理ができますが、条件を守っていない場合は保証制度を利用できず、高額な治療費を支払うことになるため注意が必要です。
インプラント治療は安心して任せられる歯科で!

インプラントには、いろいろな種類や治療法があるとわかりました。結局のところ、どれがおすすめですか?

どれが良い悪いということはないですね。歯科医が検査・診断を行い、患者さんのお口の状態に合った適切なインプラント治療を提案します。
なるほど。一人ひとり、口の中は違いますからね。治療法はオーダーメイドというわけですね。

その通りです。だからこそ、手術から治療後まで安心して託すことができる、経験や知識が豊富な歯科医に任せるのがベストの方法と言えるでしょう。
なるほど、そうですね。よくわかりました。
- インプラントの手術には1回法と2回法があり、一長一短。
- インプラントの種類には、ワンピースとツーピースがある。
- インプラント治療はオーダーメイド。一人ひとり異なる。
- インプラント治療後は、歯科での定期メンテナンスが必要。
- インプラント治療は、経験・知識が豊富な歯科医に任せよう。