【医師監修】ズバリ解決!サルでも分かるインプラント関連用語集

インプラント関連には専門用語や聞き慣れない言葉がたくさんあります。医師からの質問でつい聞き流してしまい、後から「どういう意味だろう?」と首を傾げることも多々あります。また、質問したくても、専門用語がわからないために、何をどう質問していいかわからない…そんな人もいるでしょう。ここではインプラント関連の用語のなかでも比較的よく見聞きする用語を取り上げて、簡単に説明します。インプラント用語で分からないことがあれば、まずはこのページをご覧ください。
構造に関する用語

インプラントの構造は複雑です。ここでは、インプラントの構造に関する用語について説明します。
インプラント体
インプラント本体のことで、骨に直接埋入する部分を指します。インプラントは大きく、インプラント体・アバットメント・上部構造の3構造になっています。
アバットメント
インプラント本体と上部構造を連結するパーツです。上部構造の土台でもあります。
上部構造
咬み合わせる部分、いわゆる「歯」の部分のことです。被せもの、クラウンなどとも呼びます。
ツーピースインプラント
ツーピースとは、1回目の手術でインプラント体を顎の骨に埋入し、2回目の手術でヒーリングアバットメントという仮のアバットメントを入れる手術法のことです。2回目の手術の後、治癒を待ってからアバットメント・上部構造を装着します(2回法手術→「手術に関する用語」参照)。
ワンピースインプラント
インプラントの種類の1つです。インプラント体とアバットメントが一体化しているインプラントです。1回法で用いられます。
インプラントオーバーデンチャー

インプラントを併用する入れ歯のことです。基本的には2本〜4本のインプラントで入れ歯を支えますが、部分入れ歯に用いられることもあります。
アタッチメント
インプラントオーバーデンチャーで用いられる、インプラントと義歯部分を連結させるパーツです。
手術に関する用語

次はインプラント埋入時に行う外科手術についての用語です。
1回法
1回の手術で、インプラント体埋入とアバットメント接合までを、同日に行う手術のことです。1回法は1度の切開手術で済むため、患者さんへの負担が軽減されます。ただし、インプラントの一部を口腔内に露出するため、感染のリスクがあります。
2回法
インプラント手術を、2回に分けて行う方法です。一次手術で歯ぐきを切開してインプラント体を埋入し、歯ぐきを縫合します。日を置いた二次手術で再び歯ぐきを切開して、インプラントの固定が確認できたらアバットメントを装着します。
一次手術
2回法手術での1回目の手術を指します。インプラント体埋入手術のことです。
ヒーリングアバットメント
一次手術でのインプラント埋入後、術後の保護および治癒を促進するために装着するネジのことです。ほとんどの場合ヒーリングアバットメントを装着した上から歯ぐきを縫合します。ヒーリングキャップとも呼びます。
二次手術
2回法で、2回目に歯ぐきの切開を行う手術のことを指します。
GBR法

インプラント埋入にあたり骨が足りない時に、人工骨や自家骨を補填して新たに骨組織を形成する方法です。造骨手術とも呼びます。
サイナスリフト・ソケットリフト
骨再生手術のひとつで、上の奥歯にインプラントを埋入する際、骨が少ない場合に用いられます。骨の量によってサイナスリフト・ソケットリフトどちらの術式を用いるかが変わります。
ガイデッドサージェリー

CT撮影で立体的に検査した結果を元に、サージカルガイドという手術用マウスピースを使って手術する方法です。医療ミスの防止や上部構造の設計が適切にできるなどのメリットがあります。
初期固定
インプラント埋入後、インプラント体と骨組織が機械的に安定する(しっかりとした位置に収まる)ことを指します。
早期荷重
通常の治癒期間よりも、早めにインプラントの上部構造を装着することです。通常のインプラントは埋入から3〜6ヶ月程度の固定期間が必要ですが、早期荷重は1週間〜2ヶ月後程度で行います。骨の状態が極めて良く、初期固定が十分に得られている場合にのみ用いられます。
即時荷重
インプラント埋入と同時(48時間〜1週間以内)に上部構造を装着することを指します。埋入と同時にアバットメントと仮歯を入れることで、インプラントがしっかり固定するまでの数カ月間、硬いもの以外なら通常に食事ができます。他人の目からも治療中とわかりづらいというメリットがあります。骨量や骨の性質が一定条件を満たしている場合のみ可能です。
オッセオインテグレーション
骨とインプラント体が、光学顕微鏡レベルで直接結合することを指します。骨とインプラントの生体的結合のことです。
その他のインプラントに関連する用語

その他のインプラントに関連してよく耳にする用語をまとめました。
動揺(どうよう)
歯やインプラントのパーツがグラグラと動く様子のことです。
骨吸収(こつきゅうしゅう)
骨の細胞によって、骨中のカルシウムやコラーゲンが壊され、退縮することを指します。
アナログ
インプラントアナログのことで、インプラントを模倣したパーツです。インプラントレプリカともいいます。治療計画時にシミュレーションを行う際の、作業用模型です。
睡眠時ブラキシズム
寝ている間の歯ぎしりのことです。起きているときより寝ているときのブラキシズムの方が、はるかに歯に力がかかると言われ、インプラント上部にダメージを与えます。上部構造の欠損、咬合面の咬耗、インプラント周囲骨の吸収、インプラント体の破損などの原因にもなります。
ブラックトライアングル
歯と歯の間や、歯とインプラントの間の根本にできる、小さな黒い三角形の隙間のことです。
インプラント周囲炎
インプラント周囲の組織が歯周病にかかる病気です。通常の歯周病と同じく、口腔内の細菌が原因で生じます。これを防ぐためには、インプラント治療後の自身での十分な口腔内の清掃と、歯科医院でのメンテナンスが重要です。
抗凝固薬

血栓の生成を抑さえ、血流を良くする薬のことです。動脈硬化や梗塞疾患などに用いられ、代表的な薬にワルファリン(ワーファリン)があります。抗凝固薬を服用していると、インプラント治療を行う上でリスクとなります。
抗血小板薬
血小板は傷ができた際に傷口をふさいで止血する働きがあり、この働きを抑制することで血流を良くする薬です。代表的な薬にバイアスピリン、アスピリンがあります。服用しているとインプラント治療を行う上でリスクになります。
ビスホスホネート(ビスフォスフォネート)
骨粗鬆症、癌の移転防止などで使われる薬です。ビスホスホネートが投与されている場合にインプラント治療を行うと、顎骨壊死という病気が生じるリスクが高いため、注意が必要です。
チタン
インプラント体やアバットメントの主な素材として用いられる金属です。生体親和性が高く、アレルギーが非常に出にくい素材です。
ジルコニア
人工ダイヤモンドとも呼ばれ、セラミックをさらに焼成して粉状にしたものです。高い耐久性があり、価格がやや高いですがインプラントのほぼすべてのパーツで使用可能です。
セラミック
陶器と同じ素材です。天然歯とほぼ変わらない見た目の美しさと耐久性があり、経年変化しないため上部構造などでよく使われます。ガラス系のものやジルコニアなどの種類があり、症例によって使い分けされます。
インプラント用語集のまとめ
たくさんあるインプラント関連の用語の中で、よく耳にするものをご紹介しました。医師からの説明中に、何かひとつわからない言葉があると、そこにひっかかってその後の説明が頭に入ってこないということもあります。わからない用語があったら、「分からないことが恥ずかしい」などと思わず、医師に質問しましょう。
