インプラントにできたこの隙間って何?正しい知識とメンテナンス法

「インプラントにした歯の部分に隙間ができて困っている」という声を耳にすることがあります。
それが前歯だとしたら目立ちますし、どうしたものかと悩みますよね。
インプラントは、 骨に人工歯根を埋め込む治療です。時間が経つと骨にくっつくため、強度があってよく噛めるのが魅力です。
とはいえ人工物なので、リスクゼロとはいいきれません。
ここでは、インプラントを長く使い続けるためのメンテナンス法のほか、隙間ができてしまった原因や対処法について解説します。
正しい知識をしっかりと身につけて、インプラントを長持ちさせましょう。
- インプラントにした歯の部分に隙間ができている。理由を知りたい。
- インプラント治療の後で隙間ができてしまった。治療できるのか心配。
- インプラントは強度があると聞いたのに、隙間ができるのは、なぜ?
- インプラントを長年に渡り問題なく使えたのに、隙間ができてきた。
- インプラントに隙間ができた。治療に不安がある時はどうすればいい?
インプラントの隙間ができる2つの理由

先日、うちの店に来られたお客さんから「インプラントに隙間が出来た」という話を聞きました。そんなことがあるんですか?

インプラントに隙間ができる理由は、2つ考えられますね。
ほほぅ、どんな理由ですか?
インプラントの隙間ができてしまった理由は、2つ考えられます。
①インプラントが動いてしまった
インプラント治療を行った直後は、まだ人工歯根が不安定な状態です。これから時間をかけて骨とくっつき、固定されていきます。
そのため、手術の直後に舌や手で頻繁に触ったり、強い力が加わったりすると、インプラントが動いて隙間ができることがあります。
片側ばかりで噛んだり、歯ぎしりや食いしばりの癖があったりするのもハイリスクです。
なるほど。定着していないとき、気になって舌や手で触りすぎるとインプラントが動きやすいということか。
②歯肉や骨が痩せて退縮してしまった
もうひとつの理由は、口内環境の変化です。
インプラント治療をして何年か経った後、歯肉や骨が痩せて退縮してしまい、インプラントに隙間ができることがあります。
歳を取ると顔が変わる。口の中も同じということか。インプラントが合わなくなってくることもあるんだな。
インプラント治療のリスクを知っておこう

インプラントにしたら本当に快適で、メリットが大きい治療と実感しています。インプラントにデメリットはありますかね?

そうですね、インプラントが適用しない人もいることもひとつでしょう。それから、外科手術が必要であることですね。
あぁ、インプラントの人工歯根を埋入する手術ですね。

では、インプラントのデメリットをチェックしていきましょう。
外科手術
インプラントは、外科手術が必要な治療です。
一般的な歯の治療を行う歯医者と違う、インプラント専用の技術・設備が整っている医療施設あることが必須となります。
外科手術のため、止血しにくい人や、脳梗塞や糖尿病の既往歴がある人などは、内科医と相談しながら治療を進めなければいけません。
インプラント周囲炎
インプラントは天然の歯と違って虫歯になることはありませんが、歯周病と似た「インプラント周囲炎」にかかります。
インプラントの周囲の組織が細菌に侵されると、土台の骨が溶けて隙間ができ、インプラントを支える力が弱くなります。そして細菌が骨や血液に入り込むと、全身に広がって重大な疾患を引き起こすリスクが出てきます。
経年劣化
インプラントは、きちんとメンテナンスしていれば、何十年にも渡って長く使い続けられる優れた治療法です。
とはいえ人工物なので、経年劣化を起こす場合があります。
リスクとしては、被せ物やネジがゆるむ、欠ける、折れるといったことが挙げられます。
手術直後の出血やアザ
インプラントは外科手術のため、手術後、治療した部分からの出血や、アザができることもあります。
内出血によるアザの場合は、時間が経つと自然に消えるので心配いりません。
30分くらい経っても出血が止まらなかったり、大量の出血があるときは、医師に連絡しましょう。
また、手術後に腫れ・しびれがあるときは、適切な対処が必要です。
手術による一時的なものなら次第に引いていきますので問題ありませんが、腫れ・しびれが続くようなら医師に相談してください。
リスクを回避する方法を知っておこう

手術は快適さを得るためにはやむを得ないと思いますが、隙間や脱落などのリスクを回避する方法はありますか?

歯科で定期メンテナンスを続けることですね。何か異常があっても早期発見できますから、長くインプラントを使い続けるためには、メンテナンスは必須といえますね。
なるほど。インプラントを長持ちさせる秘訣といえそうですね。
定期メンテナンスを行う
インプラントを入れたら、定期メンテナンスは欠かせません。
口内は生活習慣などによって変化していくものなので、インプラントが骨とくっついた後も、細菌感染していないかなど経過をチェックします。
特に、インプラントが骨とくっつくまでには、約3カ月かかります。それまでは不安定な状態なので、トラブルが起こりやすくなります。
正しい歯磨きを行い、硬いものを食べたり、偏った力を加えたりしない、歯ぎしりや食いしばりを改善するなど、医師の指導をしっかりと守りながら経過を診ていくことが大切です。
セカンドオピニオンを利用
インプラントに問題が起こり、どうしても納得できないとき、セカンドオピニオンを利用するのも手段のひとつです。
「他院に相談するなんて、今かかっている医師に悪い気がする」と思いがちですが、セカンドオピニオンについては、医師としても、患者に納得のいく治療を受けてもらうために必要な制度だと認識しています。
そのため、現在かかっている医師に相談すれば、セカンドオピニオンを紹介してくれます。
そうはいっても、どうしても相談しにくいという場合は、自分でインターネット検索して探してもいいでしょう。
なるほど、歯科でセカンドオピニオンを利用することなんて、考えたこともなかったですね。

より良い治療を受けることは、患者さんの当然の権利ですからね。遠慮なく利用してください。
歯科医院を選ぶ時のポイントを知っておこう

技術や設備は歯科医院によってさまざまですね。治療を受ける医院を選ぶポイントを教えてほしいです。

実際にインプラント治療をした実績の多さや、医師からの説明が親切であることに注目して選ぶといいですね。
なるほど。丁寧に説明してくれるところなら安心できそうです。

隙間や脱落などのリスクを回避するには、以下のポイントを意識して歯科を選ぶといいですよ。
- 信頼できるインプラントのメーカーを採用している
- 口内をトータルに診断・治療している
- 事前にCT撮影を行うなど丁寧な診療を行っている
- 診断に解析用のソフトを使用している
- インプラントだけでなく、全身の安全管理をしている
- インプラント関連学会の認定医・専門医である
信頼できるインプラントメーカーや、インプラント治療を安全に行うシステムについての詳細は、下記の記事も参照してみてください。
インプラントはメンテナンスが長持ちのコツ!


インプラントに隙間をつくらせないためには、歯科での定期的なメンテナンスと毎日のセルフメンテナンスの継続が大切です。
2つのメンテナンスを行って、インプラントを長持ちさせてくださいね。
なるほど。インプラントを長持ちさせるコツは、毎日の歯磨きとプロによるメンテナンスにあるというわけですね。

そうですね。インプラント手術後は、タバコとアルコールも控えてください。インプラントが骨とくっつくのを妨げ、腫れや痛みが出やすくなります。口内環境が悪化し、細菌感染を起こしやすくなってしまうリスクもあります。
そうですね、手術後の飲酒はほどほどにしましょう。
- インプラントにした部分に隙間ができる理由は、2つ考えられる。
- 1つは手術直後、触りすぎる、圧力を掛けると動くことがある。
- 長年使っているうちに、歯肉が痩せて隙間ができることがある。
- インプラント手術直後は、患部を触る、力を加えるなどは避ける。
- リスク回避・長持ちさせるために、歯科で定期メンテナンスを。