インプラントにしたら頭痛やめまいがするようになった!原因と対処法

生活を豊かに、そして快適にするために受けたはずのインプラントで、頭痛やめまいを起こす人がいます。インプラント治療は成功率98%ともいわれる中で、なぜ体の不調が起こってしまうのでしょう。今回は、インプラントで頭痛やめまいが起きたときの原因と対処法、予防方法などをご紹介します。
- インプラント治療の後によく頭痛がするようになった
- インプラントを入れたら時々めまいが起こる
- インプラントで不調が出ることもあるの?
- インプラントを入れた後に起こるトラブルってどんなもの?
- インプラント治療後にもし不調が出た場合、どうすればいい?
インプラント治療後に頭痛が起こる原因って?

インプラントの治療後に起きた頭痛の原因としては、かみ合わせのバランスの崩れや細菌感染した可能性が考えられます。インプラント治療は事前に綿密な検査を行い、かみ合わせや神経・血管の位置などを十分にシミュレーションして治療計画を立てます。しかし、インプラントは1ミリでもずれるとトラブルにつながるとても繊細な手術。少しの計算違いや、予測より骨が硬いことなどによって起こる術中の摩擦熱などにより、体調不良を引き起こしてしまうこともあるのです。
かみ合わせのバランスが崩れた

インプラント治療では、術後のかみ合わせのバランスを整えることが重要です。インプラントは噛む力が強くなりがちなので、実際に噛んでみるとお口の周りの筋肉が引っ張られて歪みが生じることも起こりえます。
こういったトラブルを回避するには、インプラント治療の専門知識・技術に長けた歯科医院や歯科医師の治療を受けるようにすることです。インプラントにはいくつかの学会があります。学会から付与された専門医・指導医といった資格を保有していることや、CT検査など専門的な治療を行える設備が整っていることを事前に調べておきましょう。
資格とCT検査の他にはなにかありますか?

サージカルガイドという、手術をより安全に行える方法を採用しているところもおすすめです。
細菌感染した可能性がある

インプラントの手術中は感染対策に万全を期しますが、手術後2〜3週間たっても頭痛が治らない場合は、細菌感染した可能性が考えられます。また、治療前に虫歯や歯周病などがわずかでもあると、細菌感染することがあります。治療前には虫歯や歯周病の治療を終えるようにしておきましょう。
恐ろしいなぁ…。

手術当日はしっかりと歯をみがくことも忘れずに行ってくださいね。
インプラント後に不調になった人ってどれくらいいるの?

インプラント治療のあとに不調が起きたという相談は、毎年国民生活センターに一定数寄せられています。
健康被害相談は5年間で409件
国民生活センターが2019年に発表した資料によると、インプラント治療に関する相談は毎年60〜80件程度あり、2013〜2018年までの5年間では409件の相談があったとのことです。
インプラント手術の実施件数は、厚生労働省によると2017年9月中の1ヶ月だけで2万7383件にものぼります。そのうち年間60〜80件、月間にして平均5〜6件。つまり、インプラント実施件数のうち約1〜2%のトラブルが起きていることになります。
インプラントの成功率は98%程度という数字にもピッタリ合いますね。

できれば残り1〜2%のトラブルもなくしたいものです。
インプラントのトラブル例
他にはどんなトラブルがあるのかな…?
頭痛やめまいの他に、以下のような相談が寄せられています。
- 痛み、腫れ
- インプラントのグラつき・脱落・要撤去
- 化膿・炎症
- 麻痺・しびれ
- かみ合わせが悪い・合わない
- 埋入位置・深さ・角度などの不良
- 出血
- 神経への影響(吸収・貫通など)
- インプラントの破損(欠け・折れ)
- 顎関節症・顎関節への影響
- 治療による天然歯への影響
- 上顎洞への入り込み・化膿
- 口内炎
- 歯肉炎・歯周疾患
- 感染症
- 審美性への不満
- その他
体調不良やトラブルを回避するには
せっかくインプラントを入れたのに体に不調が出たり、インプラントが台無しなったりしないように、事前にトラブルを回避する方法を覚えておきましょう。
医療機関や歯科医師によって治療レベルが違うことを知る

インプラントは一般の歯科治療とは異なり、外科手術を伴います。専門的な知識や技術、経験を要する治療です。しかし、誰でもできるような治療ではないにもかかわらず、現状では歯科医師であれば特に資格がなくてもできてしまうのもインプラント治療です。驚く人もいるかもしれませんが、法的な縛りがないので容易に「インプラント」の看板を掲げることができてしまうのです。
インプラント治療を行っている歯科医院や歯科医師は、レベルに差があるという現実があります。安心・信頼できる治療を求めるなら、優れた治療を受けられる歯科医院・歯科医師を見極める必要があるのです。
どうやって見極めればいいんですか?

日本口腔インプラント学会などの専門医や指導医になっている人なら間違いありません。
格安セールに引かれて購入しない

「インプラント10万円!」など、ちまたには格安インプラントの広告が溢れています。インプラント治療は健康保険が適用しない自費診療のため、歯科医院が自由に価格を設定できます。
しかし、インプラント治療には、外科手術費用・検査料・材料費などが含まれるため、相場は1本25万円〜55万円くらいといわれています。あまりにも安すぎるインプラントは、粗悪な材料を使っていたり、すぐに壊れてしまったりする恐れがあります。企業努力によって低コストを実現している歯科医院もあるので一概にはいえませんが、驚くほど格安なインプラントに飛びつくのは危険です。

壊れやすい材料を使っているのにアフターフォローをしない悪質なところもあると聞いたことがあります。
それは本当に注意しないといけませんね。
保証期間が長い歯科医院を選ぶ

インプラントシステムや歯科医院によっては、10年間の保証がついているものがあります。一方、保証がついていないインプラントもあるので、治療を始める前によく確認しておきましょう。

インプラントはメンテナンスをしっかりやれば、基本的に10年もつといわれています。
だから10年なんですね。
自分で気をつけて回避できる方法
治療後の不調やトラブルが起こるのは、歯科医院や歯科医師の実力の差だけとは限りません。患者さん側に原因がある可能性もあるので、よく注意しましょう。
歯科医師の説明で分からないことはそのままにしない

歯科医師の説明はしっかりと聞きましょう。分からないことがあれば、どんな些細なことでも質問してクリアにしておくのが賢明です。

説明は患者さんに安心してもらうことが目的なので、聞いてくれるとこちらとしても安心です。
なるほど、たしかにそうですね。
禁酒・禁煙して治療に臨む

タバコの成分は骨とインプラントの融合を阻害するため、手術の2週間前くらいから止めましょう。お酒も血行が良くなりすぎて治癒が遅れるので、医師の許可が降りるまで待つようにしてください。

タバコは治療後もインプラントをダメにする原因のひとつです。
インプラントを入れるならタバコは止めるくらいの覚悟が必要ですね。
生活習慣を改善して治療を受ける

糖尿病、貧血、歯周病などの生活習慣病を患っていると、インプラント周囲炎にかかりやすくなります。インプラント周囲炎はインプラントを早い段階からダメにするリスクがあるため、生活習慣病を改善してから治療に臨むのがおすすめです。

最初の問診で全身病があるかどうか聞かれるので、よく相談してください。
インプラントは全身にも関係があるんですね。

その通り。決してお口の中のことだけではないんです。
治療直後は安静にして患部を触らない

手術直後は激しい運動や入浴は控えて安静にし、傷口を指や舌で触らないようにしましょう。

つい気になってしまうと思いますが、少しでも傷を早く治すためです。
そうですね。ジッと我慢します。
治療後は口内の清潔を保つ

術後すぐのうがいは禁物ですが、傷口が治ったあとは歯みがき・歯間ケアは必要不可欠です。口内の汚れがプラークを作り出し、インプラントの寿命を縮めてしまいます。

インプラント周囲炎は頭痛なども引き起こす原因になります。
インプラント治療後の不調はがまんせず医師に相談しよう
インプラントで頭痛やめまいが長く続く時は、なにかしらのトラブルが起こっている可能性があります。2週間程度待っても収まらない場合は「もう少し様子をみてみよう」などと思わず、医師に相談しましょう。
- 食いしばりや歯ぎしりがインプラントに与える圧力は100kg以上
- インプラント治療後にかみ合わせのバランスが崩れると頭痛が起こる
- 細菌感染した可能性も考えられる
- インプラント治療での不調は1〜2%程度
- トラブルやリスクを回避するには医院・医師選びが重要
- 医師の説明で分からないことがあったら分かるまで質問する
- トラブルやリスクを回避するにはセルフメンテナンスも重要