インプラント治療後に不調が現れる人がいる?頭痛などの原因と対処法

インプラント治療後に不調が現れる人がいる?頭痛などの原因と対処法
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インプラント治療を受けた人は「人生が変わった!」「とても快適に暮らせるようになった」といいます。
それほど、よく噛めることや歯並びのコンプレックスが解消されること…つまり「歯が健やかであること」は、わたしたちの日々の暮らしの中で重要な位置を占めていることがわかります。
その一方で、インプラント治療を受けてから、頭痛など体の不調を訴える人もいるのも事実です。
インプラント治療を考えているなら、メリットだけでなくリスクについても事前に知っておくと良いでしょう。
INDEX
  1. インプラント後に体調不良が現れる人がいる?
    1. 健康被害相談は5年間で409件
  2. 頭痛などの不調が起こる原因は?
    1. 噛み合わせのバランスの乱れが生じた
    2. 細菌感染の可能性も
  3. 後悔しないために…体調不調やトラブルを回避する方法
    1. 医療機関や歯科医師によって治療レベルに差がある
    2. 格安セールに惹かれて購入しない
    3. 10年保証がある歯科医院も
  4. 気を付けよう!患者側に原因がある場合も
    1. 歯科医師の説明をしっかり聞く
    2. わからないことは理解できるまで質問する
    3. 飲酒を控える・禁煙して治療を受ける
    4. 生活習慣を改善して治療を受ける
    5. 治療後は安静にして口内を清潔に保つ
  5. インプラント治療後の不調症状を改善するために

インプラント後に体調不良が現れる人がいる?

インプラント治療は、たくさんのメリットがありますが、一方で国民生活センターにはインプラント治療後、不調が起きたという相談が毎年一定数寄せられています。
身体症状の内容(国民健康センター「あなたのインプラント大丈夫ですか」2019)より)
    • 項目1
    • 痛み
    • インプラントのぐらつき・脱落・要撤去
    • 腫れ
    • 化膿・炎症
    • 麻痺・しびれ
    • 噛み合わせが悪い・合わない
    • 埋入位置・深さ・角度などの不良
    • 出血
    • 神経への影響(吸収・貫通など)
    • インプラントの破損(欠け・折れ)
    • 顎関節症・顎関節への影響
    • 治療による天然歯への影響
    • 上顎洞への入りこみ・化膿
    • 口内炎
    • 歯肉炎・歯周疾患
    • 感染症
    • 審美性への不満
    • その他

健康被害相談は5年間で409件

2013 年~2018年までの約 5 年間で 409 件の相談が寄せられているという発表がありました(国民生活センターによる2019の報道発表資料より)。インプラント治療に関して、毎年 60~80 件程度の相談があるということです。
インプラント手術の実施件数は、厚生労働省により医療施設の調査・病院報告の概要(2017)によると、 2017年9月中の1カ月間だけでも2万7383件にのぼります。そのうち年間60~80件程度の相談があるということですから、月間平均5~6件、つまりインプラント実施件数のうち約1~2%のトラブルが起きていると読み取ることができます。
それでは、インプラント治療は成功率が95~99%と極めて高い手術であることを念頭に置きながら、実施件数のうち1~2%に当たるトラブル事例を見てみましょう。
事例①インプラントの使いまわしなど不正な治療によるトラブル
2010年、愛知県の歯科医院でインプラント手術後、頭痛、めまい、嗅覚の麻痺に悩まされ、食事や会話が困難になったのは「不適切な治療や、術後管理が原因」として、患者4人が、院長らに計約3400万円の損害賠償を求める訴えを名古屋地裁に起こした。豊橋市歯科医師会によると「インプラントを使い回すなど不正な治療があった」とのこと。愛知県などが立ち入り調査し、治療内容の説明や手術前の検査が不十分であったとされ、業務改善の指導が行われた。
事例②格安の治療を受けたが痛みが長引き、治療のやりなおしに
2012年、岡山県の60代の女性は、1本13万円という安価なインプラント治療をインターネットで見つけ、5本の歯のインプラント治療を行った。治療後は痛みが長引き、耐えきれず他の病院で診察を受けたところ、5本のうち2本と、まわりの天然歯1本を抜歯し、インプラント治療をやり直すことになった。

頭痛などの不調が起こる原因は?

インプラント治療を受けたあと、頭痛やめまいといった身体の不調を訴える人がいます。インプラント治療を受けた人口の1~2%程度にそういった症状が現れていることがわかっています。
インプラント治療は外科手術です。手術の方法はさまざまですが、基本的に歯茎をメスで切開し、顎の骨に穴を開けてインプラント本体を埋入します。
手術後、麻酔が切れるとある程度の痛みや違和感が生じるのは、外科手術の中では小規模なインプラント治療とはいえ、他の外科手術と同様です。
また、現在では事前の診察でほとんど回避できますが、中には骨が予測よりも硬すぎて切開の際に摩擦熱が発生し、火傷を負ったような状態になることもあります。そうなると、術後に頭痛や耳鳴りが起こる可能性が高まります。

噛み合わせのバランスの乱れが生じた

インプラント治療では、噛み合わせのバランスを整えることが重要です。インプラントを埋入すると、天然歯よりもそこだけ噛む力が強くなりがちです。歯の高さを揃えたとしても、実際に噛んでみるとお口の周りの筋肉が引っ張られて歪みが生じることも起こり得ます。
こういったトラブルを回避するためには、インプラント治療の専門知識・技術に長けた歯科医院や歯科医師の治療を受けるようにすることが重要です。
各専門学会から付与されたインプラント治療に関する専門医・認定医・指導医といった資格を保有しているか、CTなど、専門的な治療を行える設備が整っているかなどを確認して治療を受けましょう。
CTとは?
通常の平面で撮影するレントゲンとは異なり、立体的に画像診断をして3Dデータが摂れます。歯の周辺組織には、重要な神経・血管・筋肉などが集っています。それぞれの位置をしっかりと把握し、事前にインプラント治療のシミュレーションを行ってから治療に臨むことができるので、より正確な手術が可能です。
なかには、3Dプリンターでガイドを作成し、ガイドに沿って手術を進められる安全性の高いインプラントシステムも存在します。
インプラント治療の際はCT撮影が欠かせません。インプラント治療に力を入れていて症例数が多い歯科医院なら、CTを導入している場合が多いといえます。ただし高価な設備のため、いずれはと考えていても、まだ導入できていない歯科医院もあります。そんな時は、近隣の大学病院や医療センターでCT診断を受けられるように提携しています。
インプラント治療は難易度の高い治療です。CT検査をせずにインプラント治療を行おうとする歯科医院は、何事も手抜きの可能性があります。そこでインプラントのような専門性を要する治療を受けるのは考えなおしたほうがいいでしょう。

細菌感染の可能性も

インプラント治療後、2~3週間たっても頭痛が続くという場合は、もしお口に歯周病菌などが残っているまま治療を受けていたら、細菌感染を起こしている可能性も考えられます。
インプラント治療の前に、虫歯や歯周病の治療を終えておくようにしましょう。

後悔しないために…体調不調やトラブルを回避する方法

インプラント治療を受けたあと身体に不調が出たり、せっかく埋入したインプラントがすぐダメになってしまったりしないように、事前にトラブルを回避する方法を覚えておきましょう。

医療機関や歯科医師によって治療レベルに差がある

インプラントは外科手術を伴います。虫歯の治療などの一般的な歯科治療とは異なり、専門的な知識・技術、そして経験を要する治療です。歯科医師なら誰でもできるというわけではありません。しかしながら、特に資格がなくても歯科医師であればインプラントの埋入はできます。驚く人もいるかもしれませんが、たとえ技術や知識が不足していたとしても、法的な縛りがないので出来てしまうのです。
つまり、インプラント治療を行っている歯科医院や歯科医師は、治療のレベルに差があるというのが現実です。安心できる治療を求めているなら、優れた治療を受けられる歯科医院・歯科医師を見極める必要があります。

格安セールに惹かれて購入しない

インプラント治療に興味を持っている人なら、インプラントの価格が歯科医院によって異なることにお気づきではありませんか?
インプラント治療は健康保険が適用しない自費診療なので、歯科医院が自由に価格を設定できます。
インプラントの価格は、1本25万円~55万円といわれています。
価格に違いが生じるのは、それだけの知識や技術、安心・安全な設備を整えているといった理由が第一でしょう。
中には、大量にインプラントの歯科材料を仕入れて、企業努力で格安に提供している歯科医院もありますので、低コストだから技術が伴っていないとは一概にはいえません。
とはいえ、インターネットを検索していて、驚くほど格安なインプラントを見付けたとしても飛びつくのは危険です。
どうして安いのか、本当に安全な治療を受けられるのか、しっかりと見極めてから治療するかどうか決めるようにしましょう。

10年保証がある歯科医院も

インプラントシステムや歯科医院によっては、10年間の保証がついてくるケースもあります。というのも、インプラントは基本的に10年程度は保つものだからです。もちろんメンテナンスをしっかり行った場合です。
お手入れをきちんと行えば、埋入してから亡くなるまで40年間、インプラントを使い続けたという人もいます。
とにかくたくさんのインプラントを埋入することばかりに注力し、メンテナンスについての説明をしない歯科医院は、要注意です。そこでインプラント治療を受けても、長持ちしない恐れがあります。

気を付けよう!患者側に原因がある場合も

治療後の不調やトラブルが起こる原因について、これまでは歯科医院や歯科医師の実力に差があるからというお話をしてきました。
けれども実のところ、患者さん側に原因があるというケースも少なくはないのです。
患者さんにとっては初めての経験であることがほとんどですから、無理もないともいえますが、せっかく高価な費用をかけて治療を行うのですから、トラブルにならないように治療を受けて、長持ちさせたいですね。
そのためには、以下の項目について、ご注意ください。

歯科医師の説明をしっかり聞く

歯科医師の説明をしっかりと聞きましょう。
基本的なことですが、一番できていないといえるのではないでしょうか。

わからないことは理解できるまで質問する

専門用語が多いので、理解できないこともあるでしょう。そんな時は、歯科医師の話をさえぎっても構いませんので、どんどん質問しましょう。わからないまま治療を受けて、後でトラブルになるほうがドクターを困らせてしまいます。
説明をしっかり行うことをモットーとしているドクターがほとんどですので、疑問があればどんどん聞きましょう。

飲酒を控える・禁煙して治療を受ける

飲酒・喫煙は、傷の治癒を遅らせます。特に喫煙は、インプラント本体と骨との融合を阻害するため、せっかく入れたインプラント治療のクオリティーを著しく下げてしまいます。
優れた治療を受けられても、タバコの成分がインプラントの固定を妨げ、早い段階からグラつき、脱落しやすい状態にすることもあるのです。インプラント治療を受けるなら、禁煙しなければ最悪のケースではインプラントのやりなおしになることもあるのでといえます。
飲酒についても、血行がよくなって治癒が遅れてしまうといけないので、歯科医師の許可がでるまで待つようにしましょう。

生活習慣を改善して治療を受ける

糖尿病、貧血、歯周病など、生活習慣病を患っていると、インプラント周囲炎にかかりやすくなります。インプラント治療を受けても、周囲炎を発症してインプラントを早い段階からダメにしてしまうリスクが高まります。
生活習慣病を改善してからインプラント治療を受けるようにしなければ、こちらもをする可能性大といえます。

治療後は安静にして口内を清潔に保つ

インプラントの治療後、傷口を指や舌で触ったり、ぐちゅぐちゅとうがいをしたりしないで、安静にしてください。
手術直後のうがいは禁物ですが、傷口が治ったら口内を清潔に保つためにしっかりと歯磨きを行います。歯磨きなどのケア不足が、最もインプラントの寿命を縮めてしまう原因になります。

インプラント治療後の不調症状を改善するために

インプラント治療後に身体に不調が出るのは、他の外科手術と同様に普通のことではありますが、あまりにも症状がひどいと感じたり、期間が長引いたりするようなら何らかのトラブルが起こっている可能性がないとはいえません。
我慢しすぎることなく、早めに歯科医師に相談するようにしましょう。