インプラントの増骨手術の種類・流れ・費用などを詳しく解説します!

インプラントの治療をする際、医師から「骨が足りないので増骨手術が必要」と言われることがあります。予想していなかったことに不安を覚える人もいるでしょう。また、「骨の高さがないからインプラントは難しい」と断られてしまう人もいますが、増骨手術を行えばインプラントが可能になる場合にもあります。ここでは増骨手術について詳しく説明していきます。
- インプラントするのに増骨手術が必要と言われたけど、不安…。
- どうやって骨を増やすのか知りたい。
- インプラントの前にするのか、同時にするのか知りたい。
- 増骨手術にはどのくらいの期間が必要なのか知りたい。
- 増骨手術の費用はどれくらいかかるのだろう?
- 手術後に痛みや腫れはあるのだろうか?
インプラントの増骨手術とは?

増骨手術は、人工的に骨を作って増やす手術のことです。具体的には人工骨(補填材)か自家骨(自分の別の部位の骨)を不足部分に入れて、顎骨と結合させます。
増骨手術が必要になるのは、インプラントの土台となる顎骨の量や高さが十分でない場合です。インプラントは顎骨に人工歯根を直接埋入する治療法ですが、骨の高さや厚みなどが足りないと人工歯を支えることができません。もし埋入できたとしても不安定になってしまいます。
骨が不足になってしまうのは、例えば歯周病や歯が抜けたままの状態を放置して骨が吸収されてしまったケースなどです。また、自家骨については、ほかの場所の自分の骨を削って補填材にします。自分の骨なので顎骨とも馴染みやすいというメリットがあります。新たに別の場所から削る場合もありますが、インプラントを埋入する穴をあける時に、ドリルで削られた細かい骨を集めておいて使うことも多いです。
もっと大仰なものを想像してましたけど、案外小さな手術なんでしょうか?

歯や顎自体が小さいものですしね。
増骨をするのはインプラントの前?それとも同日?

増骨手術のタイミングは、骨の状態や骨を増やす場所によって異なります。骨の量がどのくらい残っているか、増やす部位が上顎か、下顎か、奥歯か、前歯かによって、選択される増骨手術の種類が変わってくるからです。
骨の残量が多くインプラントをしっかり埋入できる場合は、インプラント手術と同日に行えます。しかし、骨が残っている量が少なくインプラントが支えられない場合には、補填材を入れて一旦縫合し、骨が作られて固まるのを待ってからインプラント手術に移行しなければなりません。
固まるにはどのくらいの時間が必要なんですか?

個人差もありますが、平均して2〜3ヶ月くらいです。
それからインプラントで3ヶ月以上かぁ。

増骨と治療を合せると半年から1年ほどかかります。でも、その後何十年も快適になるのですから。
そうですよね。
インプラントの増骨手術の種類と流れ

インプラントの増骨手術の方法は多数ありますが、今回は主な3つの手術法を取り上げて、流れをご説明します。
GBR法
GBR法は骨誘導再生療法とも呼ばれます。骨が足りない部分に人工骨や自家骨を入れ、メンブレンという特殊な膜を被せて補填したものが骨と同化するまで待つ方法です。
メンブレンには2種類あり、増骨量が少ない場合には吸収性のものを用いてインプラント手術を同日に行い、作る骨が多い場合には非吸収性のものを使います。非吸収性を使う場合には後で取り除きますが、この時にインプラント埋入を行うことが多いです。
- 骨が痩せている場所に補填材を入れ、上からメンブレンを被せる
- 融合して骨が再生されるまで4〜6ヶ月程度待つ
※(結合する期間には個人差があります)。
魔法の布みたいだな…。
サイナスリフト
サイナスとは上顎洞のことです。上顎洞とは、上顎のすぐ上で鼻の横にある空洞のこと。上顎洞と上顎とはシュナイダー膜という薄い膜で接していますが、上顎洞が下がって骨が薄い場合には、膜を持ち上げて骨部分を増やす必要があります。上顎の骨の厚みが足りないままインプラントを埋入すると、シュナイダー膜を突き破ってしまうので増骨を行います。
- 上顎の骨に小さな窓を開けてシュナイダー膜ギリギリまで骨を削って膜を持ち上げる
- 人工骨や自家骨を入れてインプラントを埋入し、縫合する
- 6〜8ヶ月ほど待って骨が安定したら、人工骨をつける

同日や数ヶ月待って行う方法があります。
ソケットリフト
ソケットリフトも上顎の増骨手術の一種です。サイナスリフトがシュナイダー膜を広範囲に広げるのに対して、ソケットリフトはピンポイントで持ち上げます。骨の厚みが5mm以上ある場合に用いられます。
- 骨の厚みが足りない場所のシュタイナー膜ギリギリまでドリルで穴を開け、膜を持ち上げる
- 持ち上げて出来た空洞に人工骨か自家骨を少しずつ入れる
- 器具で膜の底を押し込み、インプラントのスペースを確保する
- インプラントを埋入し、6ヶ月ほど経って安定したら人工歯をつける

ソケットリフトはほんのちょっと骨が足りない時に行う方法です。
骨が足りない分量で手術法も変わるんですね。
その他の増骨手術
他にも、自家骨でブロック状のものを作りネジで固定するブロック骨移植(ボーングラフト)、骨の先端に切込みを入れインプラントと共に人工骨を押し込むスプリットクレストなどがあります。

骨の量や部位によって適切な方法を選択します。
どれも難しそうだなぁ。結局は信頼できる医師かどうかってことかな。
増骨手術の費用はどれくらいかかるの?

増骨手術の費用は方法や範囲によって異なります。以下は、おおまかな費用相場です。
- GBR法:3万円〜10万円
- サイナスリフト法:5万円〜35万円
- ソケットリフト法:3万円〜5万円
- ブロック骨移植:5万円〜30万円
- スプリットクレスト法:3万円〜10万円
ずいぶん幅がありますね。

その人の状態によって手術の内容も変わるからです。
増骨にかかる期間は?

補填した人工骨が顎骨としっかりとくっついて融合するまでには、どの方法でも3ヶ月〜6ヶ月程度かかります。ただし、骨密度や範囲・深さなどによっても個人差があります。
同日と別日とでは倍くらい違う可能性があるということですね?

そういう場合もありますね。
増骨手術の後に痛みや腫れは出るの?

増骨手術はインプラント手術と同様に外科手術を伴います。手術中は麻酔がきいているので痛みはありませんが、ほとんどの場合、手術後は腫れや痛みが生じます。手術の大小によって痛みや腫れの大きさは異なりますが、我慢できないほど激しい場合は病院に連絡して受診しましょう。

手術後は鎮痛剤が処方されます。
とすると、病院に連絡するのは鎮痛剤がきかない場合ですか。

そうですね。そういった時は我慢せずにすぐに電話をください。
増骨手術はインプラントを可能にする方法!
増骨手術を行っている医療機関では他院で「骨が足りない」と断られてもインプラント治療ができる可能性が高いです。骨密度や骨量に不安のある人は、ぜひ増骨手術についても相談してみましょう。
- 増骨手術とは人工骨や自家骨を補填して骨を増やす手術
- 骨の状態によってはインプラント手術と同日でできることがある
- 増骨とインプラント手術を別日に行う場合はそれだけ治療日数が延びる
- 増骨手術には複数の方法があり、費用も異なる
- 増骨手術を受けてから骨が固まるまで3〜6ヶ月かかる