歯科医院の感染予防とは?新型コロナウイルス禍で通院しても大丈夫?

歯科医院では口の中の治療をするので、長引く新型コロナウイルスの中、感染などは大丈夫だろうかと心配している人も多いのではないでしょうか。医療従事者の感染リスクが心配される一方で、ある知事からは歯科医院でのクラスターがないのは何か特別なことがあるのではないか?といった発言もありました。そこで、ここでは歯科医院が行っている感染予防について、詳しくご紹介します。
- コロナ禍で歯医者さんに行くのは正直不安がある
- 歯科医院でクラスターが出ないのはなぜ?
- 歯科医院の感染予防は医院ごとに違うの?
- 歯科医院の感染予防ってどんなことをしているの?
歯科医院の感染予防は標準が高い

歯科医院は長時間口を開けて治療したり、出血を伴う抜歯などを行ったりすることから、感染予防には十分注意を払っています。アメリカの医療施設で行っている標準予防策を取り入れている歯科医院も多いです。
標準予防策って、感染予防の法律みたいなものですか?

法律というか、ガイドラインです。
歯医者さんの”標準予防策”とは?

標準予防策とは、アメリカの米国疾病予防管理センター(CDC)が1996年に発表した、スタンダードプリコーションという感染症対策のガイドラインです。その内容は、「あらゆる人の血液、すべての体液、汗以外の分泌物、排泄物、損傷のある皮膚、および粘膜には感染性があると考えて取り扱う」というもの。具体的には、歯科医院のスタッフは以下の3つを徹底します。
- 手指の衛生
- 個人防護具
- 歯科医療機材の洗浄・消毒・滅菌
スタッフって、歯医者さんや歯科衛生士ですか?

その他受付などをする人も含む、全てのスタッフです。
手指の衛生

手指の衛生は、新型コロナウイルスやインフルエンザ予防などでもよく知られるように、手洗いを徹底するということです。手指が目に見えて汚れている時は、タンパク質汚れなども落とせるように石けんを使ってしっかり手洗いをします。汚れが目に見えていない場合でも、アルコール消毒をこまめにすることを徹底します。

やはり、手は色々なものを触るので、一番感染しやすい部分なんです。
歯医者さんで働く人は、汚れてても汚れてなくても、とにかく常に手洗いと消毒をしてるってことですね!

そのとおり。
個人防護具

個人防護具とは、歯科医師や歯科衛生士が着ているダウンやエプロン、それと手袋やマスクなどです。使い捨てにできるものはできるだけ使い捨てのものにし、ダウンやエプロンは消毒をしています。

ダウンやエプロンの着方や手袋を脱ぐ方法、順番も、細かく決まってるんですよ。
へぇ〜!本当に徹底してるんですね!

診察室に雑菌を持ち込まないように、身につけたものは脱ぐ時に肌に直接触れないように工夫しています。
お医者さんやスタッフから患者さんに感染しないための気遣いですね。

そうです。
歯科医療機材の洗浄・消毒・滅菌

歯医者さんには様々な機械や道具があります。固定されている大きな機械は常に消毒し、手で持つ器具などは洗浄してから滅菌する機械に入れて、殺菌・滅菌を行います。

滅菌器には高圧蒸気洗浄機という機械や、ガス滅菌機という種類などがあって、高温の蒸気や真空状態にして滅菌します。
薬剤で洗うっていうのは知ってたけど、そういういろんな機械があるんですね!

特に、手で持って患者さんを治療する器具は、1回ずつパッキングしているところも多いんです。
うわー、すごい手間だけど、患者としては安心ですね。
歯医者さんの感染予防に関するQ&A
上記に挙げたような事柄の他にも、感染予防に対して様々な疑問があるでしょう。ここでは、よくある疑問を取り上げて、Q&A形式でお答えしていきます。
どの歯医者さんでも標準予防策が行われているの?

アメリカの基準の「標準予防策」というのは、導入しなければならないという決まりはありません。しかし、意識の高い歯科医院では以前から導入しています。
特に新型コロナウイルスが問題になってからは、厚生労働省から「新たな感染症を踏まえた歯科診療ガイドライン」が出ており、標準予防策を基準にしたチェックリストが作成されています。
一般の人も3密とか感染予防の意識が高くなってますからねー。

そうですね。医師側だけでなく、患者さんの側でも意識が高まっているのはいいことだと思います。
歯医者さんのエアゾールで感染する可能性は?

歯科医院では、専用の機械で水を噴射して歯を削る時に水が飛び散ったり、歯石を削る時に歯石の微粒子が飛び散ったりということが起こります。そういった霧のような細かな微粒子のエアゾールからの感染を心配する方も多いですが、エアゾールの対策としては以下のような工夫をしています。
- 換気を行う
- 次亜塩素水などを使って院内の空気清浄を行う
- 吸引力が強力な口腔内バキュームや口腔外バキュームを使用する
- ダウンや白衣、エプロンの消毒を徹底する
- 診療の人数制限やパーテーションの設置
- 施術者はマスクやゴーグルを必ず着用する
見えないところでも、ものすごく徹底されてるんですね!

もちろん、患者さんが身につけるエプロンや、口をゆすぐコップなどは使い捨てです。
コロナ禍では通院も自粛したほうがいい?

コロナ禍では通院するのが怖くて自粛しようという人もいます。外に出ないことは感染予防において良い心がけではありますが、病気を放置しておくというのはよろしくありません。特に、治療中の人は、治療途中で間が空いてしまうと状態が悪くなる、治療期間が伸びてしまうといったことが起こります。
どうしても通院できない場合は、担当医とよく相談して決めましょう。
歯医者さんの中は感染予防が徹底されてるから安心だけど、行くまでの間が心配って人もきっといますよね。

そうですね。例えばちょっと遠い歯医者さんで何回も電車を乗り換えるような場合や、基礎疾患がある場合などは、医師とよく相談してください。
歯医者さんで院内感染することはあるの?

歯医者さんでは、院内感染の対策も十分に配慮しています。上記で述べた感染対策の他、外科手術の際には外科用グローブをつける前には抗菌剤入の石けんで手指を洗い、乾燥後にはアルコール剤を擦り込んで消毒するなど徹底しています。
新型コロナウイルスに対しては、あるディーラーが調査したところによると2020年5月時点の都内の開業歯科医院のコロナ発生率は0.04%という結果が出ました。これは、1年間の日本全体で交通事故の確率(0.09%)よりも低いそうです。
日本中の交通事故より少ないって、相当低いですね!

そうですね。感染には本当に気をつけているので、安心して頂いていいと思います。
歯科医院の感染予防はとても厳密です
口の中の病気に携わるだけに、歯科医院の感染予防はとても厳重です。治療者が患者さんに感染させないことはもちろん、治療者が感染しないようにすること、院内感染を防ぐことなど、様々なことを念頭に置いて細心の注意を払っています。治療中の歯をそのままにしておくと、どんどん症状が悪くなってしまうので、治療中の人はしっかりと通院しましょう。また、治療の必要がある人も、心配なら一度電話で相談した上で通院のタイミングなどをはかり、治療を受けるのがおすすめです。
- ほとんどの歯科医院で標準予防策に基づいて対策している
- 手指の衛生、個人防護具、歯科医療機材の洗浄・消毒・滅菌を徹底している
- エアゾールからの感染予防にも対策が工夫されている
- 通院を自粛すると症状が悪化するので担当医に相談する
