フッ素とは何?安全なの?虫歯を防ぐフッ素パワーの秘密に迫ってみた

「虫歯予防には、フッ素が良い」と聞いたことがあっても、「フッ素って安全?」「そもそもフッ素って何?」という疑問をもっている人は、少なくないかもしれませんね。
フッ素は、市販されている歯みがき剤には必ずといっていいほど含まれています。フッ素の効果をPRしているTVCMがたくさん放送されていますから、このことは広く周知されているのではないでしょうか。
だからこそフッ素には、「なんとなく歯に良さそう」というイメージはあるものの、その正体は謎に包まれている…というのが、実際のところかもしれません。
そこで今回は、フッ素の歴史やその正体、安全性・有効性、なぜ歯に良い効果があるのかなど、フッ素についての基礎知識を紹介します。
- 「フッ素が虫歯予防に効く」というけれど、フッ素って何?
- 子供が学校検診で「フッ素塗布」を受けるらしい。安全なの?
- フッ素の正体を知りたい。自然界にも存在するというのは本当?
- 海外では、フッ素の効果で虫歯が半減した、というのは本当?
- フッ素の効果を活かした正しい虫歯予防の方法を知りたい。
フッ素って安全?危険?

フッ素って歯に良いっていうけど、安全なんですか?ぼく、前から疑問でした!

フッ素は、WHO(世界保健機関)・FDI(世界歯科連盟)・FAO(国連の食糧農業機関)・国際栄養学会、各国の歯科医師会など、世界的な組織で虫歯予防の効果が認められ、虫歯予防のために使用することを推奨されています。
そうなんですか!ということは、安全なんですね!だけど、そもそもフッ素って何なんでしょう?
フッ素の歴史は、19世紀の初頭から始まります。その頃、フッ素が多く含まれる水源を生活水として暮らす子供の歯に、虫歯が少なかったことがきっかけです。
それから研究が始まったのですが、紆余曲折あり、1930年代になってようやく歯への予防効果が認められました。
今では、フッ素による虫歯予防が、世界的に推奨されています。
ここでは、通称「フッ素」で統一します。
フッ素は自然界にも存在している
フッ素は、マグマに由来する、自然界にある元素のひとつ。他の元素と結びつき、岩石、海中、地表など、地球上のあらゆるところでミネラル成分となって存在しています。
フッ素が含まれる食べ物について

フッ素は、わたしたちが日頃から口にする農産物や海産物の中にも含まれています。
特に牛肉、魚介、海藻、野菜、くだもの、緑茶、みそ、塩、砂糖などには豊富です。
フッ素は歯を強化する!
じゃあ、フッ素は何が歯に良いんですか?よく耳にする「フッ素が効く」っていうのはどういう意味なのか、具体的に知りたいです!

フッ素は、虫歯の原因になる細菌が歯を溶かすのを防ぎ、歯の強化の促進に役立ちます。詳しくは下記をご覧ください。
フッ素には、虫歯予防に役立つ2つの作用があります。ひとつめは、虫歯の原因となるミュータンス菌が酸を出し、歯を溶かすのを防ぐ作用、もうひとつは、歯を強化する作用「再石灰化の促進」です。
再石灰化のしくみ
再石灰化とは、簡単にいえば歯が強化されることです。フッ素は、歯の強化を促進する働きがあります。
どういうことなのかというと、口の中は、食事のたびに酸性に傾き、歯の表面の層であるエナメル質がわずかに溶かされます。
歯が溶かされると聞くと驚くかもしれませんが、すぐに唾液に含まれるカルシウムイオンとリン酸イオンが補給され、表面のエナメル質を新しく健康な状態に保つので心配はいりません。
これが、再石灰化というしくみです。
再石灰化の働きが弱いと歯が溶かされる力に負けて弱くなってしまい、虫歯が進行するのですが、そこにフッ素のパワーが加わることで再石灰化を促進し、歯の表面のエナメル質が強化されます。
フッ素は虫歯予防に効果的!
フッ素のパワーが加わると、歯の強化に役立つというのは解りました!どんな方法でフッ素のパワーをプラスするのですか?歯磨きですよね!?

その通りです。市販の歯磨き剤にはフッ素が配合されていますので、それを効果的に使用して虫歯予防に役立てます。
やっぱりー!

歯科医院では、特にお子さんの虫歯予防のために、歯の表面にフッ素塗布の処置を受けられます。各自治体の学校検診で行われているケースもあります。
フッ素塗布は子供の時、学校で受けたことありますよ、ぼく!
虫歯が半減?水道水フロリデーションについて

予防歯科の先進国では、飲料水中のフッ素濃度をコントロールすることで、虫歯の減少に成功しています。
これは「水道水フロリデーション」といいます。飲料水にあらかじめ虫歯予防に有効な濃度のフッ素を添加しておく、自然界から得る恩恵からヒントを得た虫歯予防の方法です。
水道水フロリデーションは、アメリカをはじめオーストラリア・ブラジル・香港・アイルランド・マレーシア・ニュージーランド・シンガポー ル・英国など、予防歯科に熱心な国々に広がっています。
厚生労働省の健康情報サイト e-ヘルスネット(2020年1月16日更新の記事)によると、虫歯が半分以下に減ったという圧倒的な効果が確認されたことが報告されています。
自宅でもできるフッ素ケア

じゃあフッ素が配合された歯磨き剤を使って歯を磨くといいんですよね!そうですよね!

そうですね。歯磨き剤だけでなく、フッ素配合の洗口剤を併用すると、予防効果がさらに高まりますよ。
なるほど!食事の後に、フッ素配合の歯磨き剤や洗口剤を使うんですね!そうですよね!

食事の後はもちろん大事ですが、就寝前がもっとも大切です。寝ている間は、いちばん虫歯菌が活発になるんですよ。
寝る前が大事なんですか!意外ですね!
就寝中は口内が乾燥し、殺菌作用を持つ唾液が行き渡らなくなります。そのため、1日のうちでもっとも虫歯菌が活発化し、虫歯が進行しやすい時間帯なのです。
寝る前に必ず歯を磨き、フッ素配合の洗口剤でぶくぶくうがいをして、口内の細菌を減らしておきましょう。
歯科医院でできるフッ素ケア


歯科医院でもフッ素ケアができますよ。フッ素塗布はお子さんの虫歯予防におすすめですし、大人も歯のクリーニングの最後に希望すればフッ素コーティングで、歯垢や汚れが付きにくい状態になりますよ。
いいですね!気持ちよさそう!

歯がツルツルになって気持ちいいですよ。ぜひ虫歯予防に、歯のクリーニングを受けてみてくださいね。
- フッ素は自然界に存在していて、肉・魚介・野菜などにも豊富。
- フッ素には、虫歯の原因菌が歯を溶かすのを防止する働きがある。
- フッ素は、歯の再石灰化を促進し、歯を強化をサポートする。
- 海外では、水道水にフッ素を添加して、虫歯の半減に成功している。
- フッ素配合の洗口剤や歯科でのフッ素ケアを併用すると更に効果的。