インプラントに影響を与える「食いしばり」のリスクや予防法とは?

食いしばりや歯ぎしりのクセがあると、インプラントの寿命を縮めてしまう恐れがあります。「食いしばったくらいで?」と驚くかもしれませんが、食いしばりによるインプラントにかかる圧力は想像以上のものです。
食いしばりがクセになっている人は、寝ている間だけでなく、なにかに集中している時や考え事をしている時などにもしている可能性があります。今回は、食いしばりがインプラントに与えるリスクと食いしばりを予防する方法について説明していきます。
- 食いしばりはよくないと聞くけどどんなリスクがあるの?
- 食いしばりがあるとインプラントはできないの?
- 食いしばりが起こる原因って何?
- 食いしばりや歯ぎしりを予防する方法が知りたい
- 歯医者さんでも食いしばりを治せるの?
食いしばりがインプラントに与える悪い影響
食いしばりのクセがインプラントを傷める元になるのは、以下のような理由からです。
食いしばりが歯に与える圧力の大きさ

歯は骨と同じ成分でできていて、直接外に出ている気管の中ではとても硬い部位です。歯が食いしばる威力は大きく、一度に100kgの力がかかることもあります。100kgといえば、お相撲さん級の体重と同じ。そのような力が一度にかかれば、いくら硬いインプラントや骨でもダメージを免れることができません。

ちなみに歯ぎしりは60kgといわれています。
それでもすごい圧力ですね。
インプラントは食いしばりや歯ぎしりに弱い

インプラントは天然歯と違い、クッションとなるものがありません。天然歯は土台となる顎骨との間に歯根膜という柔らかい組織を挟んでいます。この歯根膜がクッションの役目を果たし、圧力を受け止めるので強い力がかかっても天然歯を守ってくれるのです。
しかし、インプラントは歯根膜というクッションがないので圧力がダイレクトに伝わってしまい、インプラント体や骨に直接強い力がかかってしまうというわけです。
顎骨がダメージを受けるとどうなるのですか?

骨が痩せたりヒビが入ったりしてインプラントを支えられなくなります。
インプラントが破損することもある

長年にわたってインプラントに100kgもの圧が頻繁にかかり続けると、経年疲労が重なってインプラントが破損することがあります。
骨に埋まったままインプラントが割れるなんて怖いなぁ。

大抵は上の被せものが欠けたり割れたりします。
食いしばりが起こる原因とは?
現在、食いしばりの原因ははっきりとは解明されていません。原因がわからないものを治すのはなかなか難しいですが、食いしばりが起こる要因はある程度分かっています。
過度なストレスによるもの

日中、精神的なストレスを感じていると、就寝中に歯ぎしりが発生することが分かっています。食いしばりのクセが起こる原因のほとんどがストレスや疲労、睡眠不足と推測されています。
疲れを取るために寝るのに、食いしばって寝てたら疲れちゃいそうだなぁ。
顎のズレ・かみ合わせの乱れによるもの

上下の顎のかみ合わせが悪く、バランスが崩れているせいで食いしばりや歯ぎしりが起きているケースがあります。

このケースはけっこう多いんです。
食いしばりで余計かみ合わせが悪くなりそうですね。
睡眠中の歯ぎしりは体温を上げるため?

食いしばりと同時に歯ぎしりのクセが出ることがありますが、一節によると体を冷えから守るため、体温を上げようとして歯ぎしりが起こっているとも言われています。食いしばりや歯ぎしりを防ぐには、寝具を整えたり冬場は湯たんぽを入れたりして、体が冷えを感じないように環境を整えて寝ることも大切です。
確かに寒いと歯を食いしばっていることがあります。

早朝に寒くなる季節はエアコンのタイマーなどで室内温度を一定に保つなどの工夫をするといいですね。
なるほど!
食いしばり・歯ぎしりを予防する方法
食いしばりや歯ぎしりは無意識の時に起こりがちです。起こさないようにするには、以下の方法を試してみてはいかがでしょうか。
根を詰めない

集中して根を詰めすぎると食いしばりが起こりがちです。根を詰めず、休憩をこまめに挟むなどしてリラックスしましょう。口の周りの筋肉がこわばっているようなら、マッサージをして軽くほぐすのもおすすめです。ストレス緩和のためには、深呼吸をして酸素を胸いっぱいに取り入れることも大切です。

1時間作業したら10分休憩するなど設定しておくと良いですよ。
ルーティーンにすると忘れませんね。
深酒や喫煙をやめて睡眠の質を改善する

過度なアルコールやタバコは、睡眠の質を著しく下げます。眠りの質が悪くなると、歯ぎしりや食いしばりが起こりやすいため、深酒や寝る前の喫煙はやめて深く眠れるよう心がけましょう。

寝酒は寝付きは良くなりますが、睡眠を浅くしてしまうんです。
眠りが深くないと脳が休まりませんね。
歯並びやかみ合わせを改善する

治療後の被せものの高さが合っていない、上下のどちらかの歯を失ってかみ合わせる歯がないといった状況も、食いしばりや歯ぎしりが起きる原因です。矯正治療で全体のかみ合わせを調整すると、食いしばりが治る場合があります。

実はこのパターンも意外に多いんです。
被せものって入れても時々チェックが必要ですね。
上下の歯がくっついていないか意識する

本来、無意識の状態では上下の歯はくっついていません。緊張状態やストレス時になると、人は無意識のうちにいつでも歯を食いしばって大きな力が出せるよう臨戦態勢に備えるといいます。
舌を下の歯の付け根につけるように日頃から意識すると、上下の歯がくっついたり食いしばるクセを回避することができます。

舌の位置は歯に関係があるのです。
舌の位置なんて意識したことなかったです。
ナイトガードでインプラントを保護する方法もある

歯科医院では、ナイトガードというマウスピースで食いしばりや歯ぎしりを改善する治療を行っています。ナイトガードはアクリル製でつるつるとしているので、歯にかかる力が分散されます。もし食いしばってもマウスピースが削られるので、インプラントを守ることができるのです。
ナイトガードは歯形をとり、その人にピッタリのものを作ります。かかりつけの歯科医院で作ることができるので、インプラントが破損する前に相談してみましょう。

自分でなかなか改善できない場合は歯医者さんに相談するのも手です。
食いしばりや歯ぎしりからインプラントを守って長持ちさせよう!
食いしばりは思ったよりもインプラントにダメージを与えてしまいます。食いしばりのクセがある人は、今すぐにでも改善する必要があります。ご紹介した方法で改善できない場合は歯科医師に相談し、しっかり治してインプラントを長持ちさせましょう。
- 食いしばりや歯ぎしりがインプラントに与える圧力は100kg以上
- 食いしばりはインプラントが破損する原因の1つ
- 食いしばりは心身のストレスなどが原因と考えられる
- 食いしばりをなくすには質の良い睡眠やリラックスが必要
- 逆流性食道炎や歯並びを改善すると治ることがある
- 歯科医院ではナイトガード(マウスピース)を用いて食いしばりを治せる