バナナは虫歯になる?それとも虫歯予防になる?バナナと歯の関係

バナナは虫歯になる?それとも虫歯予防になる?バナナと歯の関係

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Doctorbook編集部
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所属:株式会社Doctorbook
株式会社Doctorbookに在籍する、3名の現役歯科医師。Doctorbookの業務を遂行しながら、それぞれが臨床現場で活躍中。

バナナはみかんと並んで国民的な果物です。価格が手頃で栄養も豊富なので、ダイエットや子どものおやつ、離乳食などに使っている人も多いでしょう。食べてすぐにエネルギーが吸収されるため、運動後の栄養補給として食べるアスリートなども多い果物です。

一方で、甘いバナナは虫歯になるのではないかと心配する人もいると思います。そこで今回は、バナナと虫歯の関係について説明していきます。

バナナの糖分

バナナには、果糖・ブドウ糖・ショ糖という3つの糖質がバランス良く含まれています。果糖はその名の通り果物に多く含まれる糖分で、3つの中でもっとも甘みが強いですが、血糖値が急激には上がらず虫歯にもなりにくい糖質です。ブドウ糖は点滴にも含まれる糖分で、全身の細胞を活性化させる他、脳の唯一のエネルギー源でもあります。

果糖とブドウ糖はそれ以上小さくならない単糖と呼ばれる最小単位の糖です。蜂蜜は果糖とブドウ糖からできていますが、虫歯にはなりにくいです。

一方、ショ糖は果糖とブドウ糖が結合したもので、砂糖の主原料となります。白い砂糖や三温糖など様々な種類の砂糖は果糖とブドウ糖の割合の差で、いずれも虫歯の原因となります。

バナナは虫歯になる?

結論から言うと、バナナは虫歯になりにくい食品です。バナナは他の果物より甘いと感じている人も多いのではないでしょうか。確かに糖質で見てみると、バナナに含まれる糖質は100kcal中23gで、他の果物よりはやや高めです。しかし、果物自体がどちらかというと虫歯になりにくい食物に分類されます。

バナナに含まれる「果糖」は、虫歯になりにくい糖質です。一方、上記で述べたように砂糖に主に含まれるのはショ糖で、虫歯の最大の原因はこのショ糖です。ただ、バナナに限らず果物全般は、全く虫歯にならない食物とはいい切れません。果物にはショ糖も多少含まれているからです。

虫歯になりやすい果物は水分が少ない果物

果物だけを見て言えば、バナナは他の果物より少し虫歯になりやすい果物と言えます。バナナは他の果物に比べて水分が少なく、粘度があって歯にくっつきやすいからです。

果物に含まれる水分量(100g中)
    • イチゴ:90.0g
    • すいか:89.6g
    • 桃:88.7g
    • みかん:87.4g
    • りんご:84.1g
    • 柿:82.2g
    • バナナ:75.4g

しかし、虫歯になりやすいというのは、あくまでも果物というカテゴリーの中での話です。繰り返しになりますが、天然の果物に含まれる糖分は、元来砂糖などよりも虫歯になりにくいとされています。

砂糖が原料に使われたクッキーやドーナツ、ケーキなどの菓子を食べるよりは、歯にとってよほど健康的です。そのため、バナナは虫歯になりにくいおやつとして勧める歯医者さんもいるほどです。

バナナにはキシリトールが含まれている!

虫歯予防に効果があると知られるキシリトールは、樫の木などの樹木などから採れる天然成分です。ガムに含まれるものは主に樹木から採取して加工されていますが、実はキシリトールは果物や野菜にも含まれていることが分かっています。

キシリトールが含まれる食物
    • イチゴ
    • カリフラワー
    • ほうれん草
    • 玉ねぎ
    • ニンジン
    • レタス
    • バナナ
    • くるみ

キシリトールは天然の甘味料で、砂糖と同等の甘みがあるにも関わらず虫歯菌の働きを抑制します。虫歯菌は歯のエナメル質を発酵させて酸で溶かしますが、キシリトールは細菌によってまったく発酵されないという性質を持つからです。

また、キシリトールは唾液の分泌を促すことも分かっています。唾液には口の中のpH値を中性に保って歯の再石灰化を促進し、虫歯になりにくくする働きがあります。

つまり、キシリトールを含むバナナを砂糖と並べて「虫歯になる」と考えるのは無理があるのです。

虫歯になりやすい食べ物

ここで、虫歯になりやすい食物をご紹介します。

虫歯になりやすい食物
    • チョコレート
    • クッキー
    • ケーキ
    • キャンディー
    • ポテトチップス

上記のように、虫歯になりやすい食物とは砂糖が含まれている食物、いつまでも口の中に残ってしまう食物です。砂糖が含まれている食物は、みんなが好きな市販の甘いお菓子全般です。

また、あまり噛まずに飲み込める食事も要注意です。口に入れてからすぐに飲み込める食事は、咀嚼回数が少ないため唾液があまり出ません。食事をすると口内のpH値は酸性に傾きます。弱アルカリ性の唾液には口内を中性に保って虫歯になりにくくする作用がありますが、唾液があまり出ないと口の中はいつまでも酸性のままになります。しかも、そこに食べカスが残っていると虫歯になりやすい条件が整ってしまうのです。

虫歯になる原因は口内の食べカス

歯が虫歯になるのは、虫歯の原因菌が歯に付着した食べカスを発酵させて分解し、酸性にするからです。歯の表面はカルシウムやリンなどが含まれたエナメル質で守られていますが、虫歯菌によって酸性のプラークが作り出されたり口内のpH値が酸性に傾いたりすると、カルシウムやリンが溶け出して表面のエナメル質が剥がれてしまうのです。虫歯菌はエナメル質が剥がれた部分から歯の内部に侵入し、どんどん増殖して穴を開けていきます。

とはいえ、通常は唾液の自浄作用によって虫歯菌は抑制されています。食事をした後は、唾液によって食べカスが押し流されたり、pH値が中性に戻されて虫歯菌の活動が弱められるからです。しかし、食べカスの粘度が高く唾液の力でも剥がれない場合は、虫歯菌の格好の標的になり、虫歯になりやすくなります。

つまり、虫歯ができる元々の発端は、口内に食べカスが残ることが原因といっても過言ではありません。バナナ自体が虫歯の原因になるというよりは、食べカスが口の中に残っていることが問題なのです。それはバナナに限ったことではありません。バナナを食べた後にもきちんと歯磨きをすれば、虫歯になるのを防ぐことができます。

こんなに豊富!バナナの栄養素

これまでバナナの糖分にばかり焦点を当ててきましたが、バナナには他にも優れた栄養素がたくさん含まれています。

バナナの主な栄養素
    • カリウム
    • 糖質
    • ビタミン(B1、B2、B3(ナイアシン)、B6)
    • 葉酸
    • ポリフェノール
    • 食物繊維
    • トリプトファン

特にカリウムの含有量はピカイチで、高血圧やむくみなどを防ぎます。また、トリプトファンは他の果物にはほとんど含まれていません。

免疫力アップが期待できる

バナナは熟すと茶色い斑点ができますが、追熟したバナナには免疫力を高めることが期待されています。マウスを使った実験では、追熟したバナナを与えたところ免疫活性の効果があるIL-12という物質が血中に増えると研究結果が発表されました。IL-12はガンを抑制するNK(ナチュラルキラー)細胞やTH(ヘルパーT)細胞などを刺激・誘導する作用があります。

免疫力がアップすれば唾液や歯ぐきの免疫力も向上し、虫歯や歯周病にもなりにくくなります。

食物繊維が腸内環境を良くする

バナナには豊富な食物繊維が含まれています。食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、それぞれ異なる働きがあります。水溶性は便を柔らかくする働き余分な脂質を吸着して便と一緒に排出させる働き、不溶性は水分を吸収して便をかさ増しして腸を刺激し、便を出しやすくする働きです。

バナナの食物繊維は、水溶性と不溶性のどちらもバランスよく含まれているため、腸内を整えて体全体の健康を保つ作用があります。腸内環境が悪いと口臭の原因ともなるため、腸内環境を良くすることは口臭予防にもつながります。

抗酸化作用で老化防止

バナナにはビタミン類やポリフェノールが含まれているため、抗酸化作用があります。抗酸化作用というとエイジングケアや美を保つという美容方面を思い浮かべますが、抗酸化作用は血管をきれいに保つので、歯ぐきの健康にも役立ちます。

歯ぐきは歯を支える大切な器官です。歯ぐきは加齢とともに痩せて減退し、歯を支えにくくするほか歯周病などにもなりやすくなります。バナナを食べる習慣をつけると、体だけでなく口内の老化防止にも役立ちます。

低カロリー高エネルギー

バナナに含まれるカロリーは1本(100g)でたったの86kcal。同じくらいの量のごはん(1杯150g、252kcal)や食パン(1枚80g、211kcal)など比べると断然低いことが分かります。また、バナナに含まれる果糖は吸収が穏やかなので、急激に血糖値が上がることがありません。そのため糖尿病や高血圧の人にもおすすめの食物です。

脳へのエネルギー源として最適

バナナには果糖・ブドウ糖・ショ糖と性質の異なる糖質が入っていて、それぞれ吸収される速度が異なります。そのため朝に食べればブドウ糖の働きによって脳の活動のスイッチが入る他、自然な時間差によって脳へのエネルギーを補給し続けられ集中力の向上も期待できます。

また、バナナに含まれるトリプトファンビタミンB6は、セロトニンを作る原料となる成分です。セロトニンは睡眠の促進やリラックス効果があります。

バナナを食べた後は歯磨きで虫歯予防

バナナは水分が少なく歯にくっつきやすいですが、含まれる糖分は虫歯になりにくいため朝食やおやつとして安心して食べられます。また、栄養素も豊富なうえにリラックス効果などもあるため、積極的に食べたい果物です。

ただし、虫歯になりにくいとはいえ、虫歯になる可能性はゼロではありません。バナナに限らず食物のカスが歯にいつまでも付着していると、虫歯になります。食べた後は必ず歯磨きをするよう心がけましょう。