インプラントは何でできているの?各材質のメリットデメリットと費用

インプラントは何でできているの?各材質のメリットデメリットと費用

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櫻井祐弥先生
櫻井 祐弥 先生
所属:エムズ歯科クリニック下落合
専門:デジタル
東京都出身。東京医科歯科大学を卒業し、インプラント専門医の下で臨床研修を行った後に医療法人社団翔舞会エムズ歯科クリニックに入社。現在、エムズ歯科クリニック下落合院長として診療をする傍ら、子育てと趣味の読書と最近習い始めたゴルフに奮闘している。

「歯を失って歯医者さんに行ったらインプラントを勧められたけれど、骨に直接埋め込むと聞いて、どんな材質のものが使われるのか不安」という人は多いのではないでしょうか。この先何十年も体の中に入れたままにするので、体に影響はないか、どれくらい丈夫なのかなど様々な疑問があるでしょう。

ここでは、インプラントの材質について詳しく説明していきます。材質の特徴を把握し、医師と相談して決める際の材料にしてください。

インプラント本体の材質の種類と特徴

インプラントは骨に埋める本体部分、その上の取り外しができるアパットメント、そして人工歯の3つの構造から成り立ちます。ほとんどは本体とアパットメントが同一素材を使うため、ここでは本体とアパットメントは「本体」と大きく括って説明します。

チタン

本体部分でもっとも使われているのが「チタン」です。チタンは金属の仲間です。

チタンのメリット

    • 骨と結合しやすい
    • 軽い
    • 強い
    • 錆びにくい

チタンは骨と結合しやすく金属アレルギーを起こしやすいため、現在では主流となっている材質です。アレルギー対応のアクセサリーにはチタンがよく使われています。

チタンは鉄に比べると2/3ほどの重さです。また、溶ける温度も金属の中で高いので溶けにくく、塩分や酸などによる腐食にも強く、錆びにくいという性質を持っています。

チタンのデメリット

金属は磁力の働きが人体に影響するのではないか、という疑問をもつ人もいます。確かに、金属が持つ磁力は金属アレルギーの一因となります。しかし、チタンが持つ磁力はごく微弱なため、今のところそのような報告はありません。

また、メリットでも述べたようにチタンは溶けにくいため、経年劣化もしにくいのが特徴です。ただし、完全というわけではなく、場合によっては経年のうちに溶け出して歯ぐきを黒くすることがあります。

ジルコニア

ジルコニアはジルコニウムという金属が酸化してできた、白い粉末状のものです。セラミックの種類で宝飾品にも使われており、人工ダイヤモンドとも呼ばれています。

ジルコニアのメリット

    • 頑丈
    • 審美的に優れている
    • 金属アレルギーの心配がない

ジルコニアのメリットは、人工ダイヤモンドと呼ばれるように頑丈だということです。加えて白色なので審美的にも優れています。近年ではジルコニアのインプラントを選択する人も多くなってきました。

ジルコニアのデメリット

ジルコニアもやはり金属が原料なので、不安に思う人もいるかも知れません。しかし、酸化ジルコニウムは白色顔料などにも使われるほど安全な素材です。強度はセラミックよりも優れているため、特にデメリットはありません。

ハイドロキシアパタイト

ハイドロキシアパタイトとは、主成分がリン酸カルシウムで、骨の主成分と同じです。ハイドロキシアパタイトは人工でも作ることができ、歯科で用いられるのは人工のハイドロキシアパタイトになります。

ハイドロキシアパタイトのメリット

    • 骨とより結合しやすい
    • 強い
    • 審美的に優れている
    • 天然歯に近い

ハイドロキシアパタイトのメリットは、なんといっても生体親和性が高いということです。チタンよりも骨に馴染みやすいので治療しやすく、噛んだ感じも天然歯と変わりありません。強度も優れています。チタンの上にハイドロキシアパタイトをコーティングした素材を使っている医院もあります。

ハイドロキシアパタイトのデメリット

ハイドロキシアパタイトは成分が天然歯により近いため、歯周炎に感染するというリスクがあります。

被せもの(人工歯)の材質とその特徴

被せものとは、私たちが「歯」と呼んでいる人工歯の部分です。人工歯に使われている素材は、主に以下のような種類があります。

オールセラミック

セラミックとは、を加熱処理して焼き固めた素材の総称で、陶器や磁器に近いものというとイメージしやすいでしょう。オールセラミックはセラミックだけでできた人工歯です。

オールセラミックのメリット

    • 強い
    • 審美的に優れている
    • 個人の天然歯に近づけて作れる
    • 金属アレルギーの心配がない

強度に優れ、見た目が透明感のある白色で天然歯に近いことが、セラミックの最大のメリットです。長年使ってもすり減らず、金属のように変色しません。また、個人の状態に合わせて自然な見た目に寄せて作ることができます。アレルギーの心配も不要です。

オールセラミックのデメリット

セラミックは確かに硬度という意味では強いのですが、割れやすいというデメリットがあります。陶器の食器を思い浮かべてみてください。陶器の食器は手で力いっぱい圧力を加えても歪んだりしませんが、床に思い切り叩きつけると割れてしまいます。セラミックもこれと同じで、歯ぎしりや食いしばりなどの強い力が加わると、割れてしまうことがあるのです。

ちなみに、歯ぎしりや食いしばりで歯にかかる力は、100kg以上と言われています。

ジルコニア

ジルコニアはインプラント本体でも紹介しましたが、人工歯としても使われます。

ジルコニアのメリット

    • 軽い
    • セラミックより強い
    • 加工しやすい
    • 審美的に優れている
    • 金属アレルギーの心配がない

ジルコニアは金属アレルギーの人がよく選択する人工歯のひとつです。広義の意味ではセラミックの一種で、陶器のような美しさ金属と同等の強度を持っているため、近年ではセラミックに代わるものとして使用されることも多いです。

メタルボンド

メタルボンドとは、メタルフレームという金属の土台の上に、セラミックを焼き付けた被せものです。

メタルボンドのメリット

    • 強度が高い
    • 天然歯に比べて着色しにくい
    • 天然歯に比べてプラークがつきにくい

メタルボンドは金属が土台になっている分、オールセラミックよりも強度が高いです。また、天然歯に比べると着色汚れがしにくく、プラークがつきにくいというメリットがあります。

メタルボンドのデメリット

金属を使っている分、経年劣化により金属が溶け出して、歯ぐきを黒ずませることがあります。また、セラミックよりどうしても透明度が低くなります。また、金属に焼き付けているセラミックは普通のセラミックに比べると強度が落ちるので、欠けやすい(チッピング)という特徴があります。

銀歯

昔は被せものというと銀歯でした。銀歯は価格が安価ですが、奥歯などに使用した時笑うと銀色の歯が見えるため、最近はあまり好まれません。

また、金属アレルギー歯ぐきの黒ずみの元となるので、治療したはずなのにかえって見た目が悪くなる可能性があります。そのため現在はインプラントで使用することはあまりありません。

インプラントの費用

あくまでも参考ですが、インプラントの費用相場は次のとおりです。

    • インプラント本体:20〜30万円
    • アバットメント:3〜5万円
    • 被せもの(人工歯):6〜12万円

インプラントは保険適用外

インプラントは保険適用外なので、自由診療です。大体の相場はありますが、各医療機関によって、設定する価格が異なります。

また、インプラントの費用は、インプラント本体・アパットメント・人工歯のほかに、手術費用やメンテナンス費用(1回3千〜5千円程度)などがかかります。中にはメンテナンス費用を治療費に含んでいる医院もあるため、契約時に総額でいくらになるのかをしっかりと確かめることが重要です。

また、もしトラブルがあった場合に、保証が効くかどうかも押さえておきましょう。

インプラントの保証年数の違いは?保証基準や条件、返金などについて

取扱メーカーによって費用が異なる

インプラントは医療機関によって取り扱うメーカーが異なります。そのため、上記で紹介した素材による価格も、歯科によって異なります。また、同じ素材を使っていても、メーカーによって多少異なります。

地域によって費用が異なる

インプラントに限りませんが、東京都心などの物価が高い地域では、治療費も高くなります。ただし、治療費が安く済むからと郊外の病院で手術したとしても、手術後は定期的にメンテナンスに通うことになります。そのため、毎回の交通費往復にかかる時間なども考慮に入れることが重要です。

安いインプラントに要注意

インプラント治療は高額なので、できるだけ安く押さえたいというのは人情です。しかし、安いインプラントは品質が悪い材質を使っている場合があります。悪い材料で作られたインプラントは、途中でトラブルが起きないとも限りません。そうなると、再治療や修理などで余計に費用がかかる可能性があります。特にインプラントは何十年にもわたって使い続けるものですので、よく考えることをおすすめします。

また、総合的な費用を提示していない場合などがあり、後から追加料金などを請求されてトラブルに成ることがあるため、注意が必要です。

インプラントの材質のまとめ

インプラントは本体と人工歯でそれぞれたくさんの素材の種類があります。今回は代表的な素材をご紹介しました。

インプラント本体の主な素材
    • チタン
    • ジルコニア
    • ハイドロキシアパタイト
人工歯の主な素材
    • オールセラミック
    • ジルコニア
    • メタルボンド
    • 銀歯

それぞれにメリット・デメリットがあるため、よく考え、医師と相談しながら決めましょう。