虫歯を予防する食事法|歯に良い5つの食材と食品の見分け方・食べ方

虫歯を予防する食事法|歯に良い5つの食材と食品の見分け方・食べ方

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柿木辰美先生
柿木 辰美 先生
専門:一般歯科
2013年 明海大学歯学部卒業。卒後は東京都内の歯科医院に常勤歯科医師として勤務。 現在は複数の歯科医院で非常勤歯科医師として、インプラントや歯内療法を軸に一般歯科診療を日々行なっている。

もし、美味しく食べるだけで虫歯を予防できるなら、そんな嬉しいことはありません。しかし、私たちが日頃食べているものの中には、たしかに歯を強くする食べものや、口の中を掃除して虫歯を作りにくくする食べものがあります。

ここでご紹介する食材や食品は直接虫歯に効果があるというわけではありませんが、結果的に虫歯を予防できるので、日頃から歯のケアを気にしている人や虫歯になりやすい人にはおすすめです。成長期の子どもにも積極的に食べさせたいですね。

今回は、そんな虫歯を予防できる「歯に良い食材」や食べ方などを詳しくご紹介します。私たちの身の回りにある普通の食材ばかりなので、今日からでもすぐに試すことができますよ。

虫歯予防になる食事法とは

ここで挙げる“虫歯予防になる食事法”とは、以下の3つです。

    • 歯に必要な栄養素を含む食材を食べる
    • 食べながら歯の表面を掃除できる食品を食べる
    • 歯に良い調理の仕方をする

体は食べるものからできています。歯は、食べ物を体に入れるための大事な器官です。歯は食べ物をすり潰して細かくし、栄養を吸収できる形にして体内に送り込む働きを持っています。

その歯が十分に機能しないと、消化しきれずに消化不良になって必要な栄養素を吸収できなくなるうえに、便秘や下痢を引き起こす元になります。それだけでなく、口の中の菌は内臓疾患を引き起こしたり、口臭の原因になったりもするのです。

ただなんとなく食べるのではなく、歯に良い食べものを良い調理法で積極的に摂れば、自然と歯が強くなり虫歯予防体全体の健康につながります。

歯に必要な5つの栄養素

歯を丈夫にするのに必要な栄養素は、カルシウム、ビタミンA、C、D、そしてフッ素です。フッ素は歯磨き粉などに配合されていますが、実は天然素材なので食材の中にも含まれています。

それぞれの栄養素の働き
    • カルシウム:歯の材料となる骨を丈夫にする
    • ビタミンA:歯のエナメル質を強化する
    • ビタミンC:象牙質を強化する
    • ビタミンD:カルシウムの吸収を助ける
    • フッ素:虫歯菌の働きを弱め歯の再石灰化を促す

上記の5つの栄養素は、歯だけをみた時に特に必要な栄養素ですが、そもそも栄養素はそれぞれを補って働く性質があるため、基本的にはバランスの良い食事を心がけることが大切です。そのうえで、歯に良い5つの栄養素も意識して摂ることをおすすめします。

カルシウムを多く含む食材

カルシウムといえば乳製品や小魚ですが、その他にもカルシウムを含む食材があります。

■カルシウムを多く含む野菜
小松菜、モロヘイヤ、いりごま、菜の花

■カルシウムを多く含む魚介類
わかさぎ、干しエビ、オイルサーディン、イワシの丸干、鮎、ししゃも、うなぎの蒲焼、鮭やサバの水煮缶、ひじき

■カルシウムを多く含む大豆製品
焼き豆腐、厚揚げ(生揚げ)、がんもどき、木綿豆腐、高野豆腐

■カルシウムを多く含む乳製品
牛乳、スキムミルク、アイスクリーム、チーズ、ヨーグルト

カルシウムはこれだけたくさんの食材や食品に含まれているので、毎日の料理やおつまみなどに取り入れることが可能です。小松菜や菜の花、モロヘイヤは炒め物やおひたしやスープに、オイルサーディンはチーズと一緒にパンに乗せて、魚の水煮缶は味噌汁やカレーに入れても美味しいですよ。

ビタミンAを多く含む食材

ビタミンAはレチノールやレチノイン酸と呼ばれ、油に溶けやすいビタミンです。また、緑黄色野菜に多く含まれるβカロテンも体の中でビタミンAに変化するので、ここではそれらの野菜も記載します。

■ビタミンAを多く含む野菜、ビタミンAに変化する野菜
ニンジン、シソ、かぼちゃ、とうがらし、パセリ

■ビタミンAを多く含む魚介類
焼き海苔、岩のり、海苔の佃煮、あんこうの肝、うなぎ、鮎

■ビタミンAを多く含む肉類
豚レバー、鶏レバー、レバーソーセージ

■ビタミンAを多く含む乳製品

牛乳、バター、チーズ

ビタミンAは鶏の卵にも含まれています。意外なのは海苔やシソに多く含まれているということです。海苔やシソはご飯のお供に一緒に食べれば簡単に摂ることができますし、レバーは焼き鳥などの他、レバーペーストなどの瓶詰めを買えばパスタやパンなどで美味しく摂ることができます。

ビタミンCを多く含む食材

ビタミンCは野菜や果物に多く含まれますが、水溶性で酸化しやすいため、調理するよりはできるだけ生で食べるのがおすすめです。

■ビタミンCを多く含む野菜
赤ピーマン、パプリカ(黄色)、パセリ、芽キャベツ、ケール、からし菜、ピーマン、ゴーヤ

■ビタミンCを多く含む果物
ゆず(果皮)、アセロラ、グアバ、レモン、柿、キウイフルーツ、イチゴ

■ビタミンCを多く含む魚介類
焼き海苔、味付け海苔、明太子

この他、意外なところではロースハムやロースベーコン、フライドポテトなどがあります。また、煎茶にも多く含まれているため、日常の飲み物を煎茶に変えるだけで自然にビタミンCを摂取することが可能です。茶葉から淹れるほかにペットボトルの緑茶からも摂取できます。

ビタミンDを多く含む食材

ビタミンDはあまり聞き馴染みがないかもしれませんが、主に魚に多く含まれる栄養素です。カルシウムの吸収を助け、歯への定着をよくします。骨粗鬆症の人も積極的に食べるのがおすすめです。

■ビタミンDを多く含む魚介類
あんこうの肝、しらす(半干し)、イワシの丸干、身欠きにしん、すじこ、いくら、カワハギ、鮭、スモークサーモン、いかなご

■ビタミンDを多く含む野菜
ブラウンマッシュルーム、舞茸、ホワイトマッシュルーム、きくらげ、干し椎茸

魚介類をたくさん食べるのは難しいかもしれませんが、は様々な料理に使いやすいのでおすすめです。また、イカナゴの佃煮やしらすをご飯のお供にしたり、サラダやピザ、スープなどにマッシュルーム、中華料理にきくらげや舞茸を入れるなどの工夫ができます。

フッ素を多く含む食材

フッ素は穀物、野菜、魚介類、乳製品、卵類などあらゆる食材や食品に含まれています。

中でも特筆すべきなのは緑茶です。通常の食品に含まれるフッ素が0.1〜3ppmなのに対し、緑茶の茶葉には200〜400ppmも含まれています。ただし、茶葉をそのままポリポリと食べる人はあまりいませんよね。茶葉をお湯や水でお茶にして淹れると数値は下がりますが、それでも水より5〜20倍のフッ素濃度があります。その他、食品の中でも多いのは、以下のものです。

天然食塩20〜45ppm
メザシ、煮干し10〜40ppm
味噌3〜10ppm
干し椎茸3〜10ppm
焼き海苔、乾燥わかめ2〜10ppm
スキムミルク1〜10ppm

虫歯予防が期待できる食べ物

虫歯予防が期待できる食べ物としては、上記に挙げたような歯を強くする食品の他に、食物繊維を多く含む食品が挙げられます。食物繊維を多く含む食品は、よく噛まないと飲み込めません。よく噛むと、唾液腺を刺激して唾液が多く分泌されます。

食べ物を食べると虫歯の原因菌が酸を作り出し、歯の表面のエナメル質を溶かしてしまいますが、唾液はエナメル質を修復する働きがあります。また、唾液に含まれる物質は虫歯菌の働きを弱めて退治する作用があるため、たくさん噛んで唾液が自然にたくさん出る食べ物は、虫歯予防に効果があるのです。

唾液を多く分泌するという考え方から、柔らかい食べ物より少し歯ごたえのある調理法にすると、虫歯予防につながるということになります。生で食べられる野菜や果物はできるだけ生で食べる、茹で野菜なら少し硬めのところで火を止める、魚なら骨ごと食べられる甘露煮などがおすすめです。メインがオムライスやカレーなど柔らかいメニューなら、生野菜のサラダをつけるなどの工夫ができます。

歯を掃除してくれる「清掃性食品」

食品には、「清掃性食品」と呼ばれるものがあります。清掃性食品は、直接清掃食品と間接清掃性食品に分けられます。

直接清掃性食品

口内を直接清掃してくれる食品です。具体的には食物繊維を多く含む食品で、噛んだ時に歯の表面の汚れを落としてくれる食べ物です。

■レタス、セロリ、ごぼう、レンコン、キャベツ、ニンジン、リンゴ、パイナップルなど

間接清掃性食品

直接歯の汚れを取るわけではありませんが、唾液を多く分泌させる食品です。唾液が多く分泌されると、酸性に傾いた口内のpH値を中和して虫歯になりにくくします。

■レモン、梅干し、酢の物、グレープフルーツなど

ただし、酸っぱい食べ物はいつまでも口に含んでいると“酸蝕”(歯が酸で溶けてしまう)の可能性があるので気をつけましょう。

虫歯予防に役立つホールフードという食べ方

食材を丸ごと食べる「ホールフード」という考え方があります。野菜や果物は基本的に皮を剥いて食べますが、のほうが実よりも栄養が豊富に含まれる食材も多いため、皮を剥かないほうが栄養を摂取できるという発想から生まれました。虫歯予防の観点からみても、皮を剥かなければ歯ごたえも増し、唾液の分泌が促せます。

■皮を剥かないで食べられる食材:ごぼう、ニンジン、大根、リンゴなど

虫歯になりやすい食べ物

虫歯になりやすい食べ物は、糖分を多く含んだ食品や歯にくっつきやすい食べ物です。糖分を多く含んだ食品はやはり甘いお菓子や飲料ですが、ここでは食事について説明します。

柔らかい食事

■柔らかい食事:カレー、シチュー、スパゲティ、うどん、蕎麦、オムライス、グラタン、ドリア、雑炊など

歯に残りやすい食品

歯に残りやすい食べ物を「停滞性食品」といいます。いわゆる「粉もの」などに多く、スパゲティやお好み焼き、パン、カレーなどです。菓子類ではクッキー、ビスケット、キャラメル、チョコレートなどがあります。

歯にくっつきやすく歯に汚れが残る時間が長いと、虫歯の原因菌が糖分を分解して虫歯になりやすくなります。

先ほど紹介述べたように、歯に残りやすいメニューには清掃性食品を使った料理を添えるのがおすすめです。また、食べた後は必ず歯磨きをしてしっかりと口の中の汚れを落としましょう。

食べ物を意識して虫歯を予防しよう

食事で虫歯を予防するには、歯に必要な栄養素を含んだ食べ物を選ぶことと歯を掃除してくれる食材や調理法を選ぶことです。

特に、歯に必要な栄養素はカルシウム、ビタミンA、C、D、フッ素の5つです。お気づきの通り、まんべんなくバランスの良い食事を心がければこれらの栄養素は自然と摂れるものばかり。栄養バランスを考えて食事をすることは、歯の健康や虫歯予防にも役立つのです。また、唾液の分泌にも気をつけて、歯ごたえのあるものを食べるようにしましょう。

writer
角舘 有理
角舘 有理
セールスライター、コピーライターに師事後、フリーランスとして独立。Webライターの傍らブックライターとしても活動中。歯科関連の記事は約2年間担当した経験があり、現在も新しい予防法に興味津々。自著に「無理に学校に行かせなくていい」がある。