【基礎知識編】総入れ歯とは?種類や特徴をわかりやすくご紹介!

歯を失った時に、治療方法として一番よく知られているのは総入れ歯ですね。しかし、いざ自分が当事者となったとき、総入れ歯はどんなしくみで口内に収まっているのか、どんな種類があるのかなどはあまり知らない人も多いでしょう。そこで、ここでは総入れ歯の種類を取り上げながら、構造や素材などについて、詳しくご紹介します。
- 総入れ歯ってどうやって固定するのか知りたい
- 総入れ歯のメリット・デメリットを知りたい
- 総入れ歯の素材は何?
- 費用はどれくらい?
総入れ歯とは

総入れ歯とは、上または下の全歯、あるいは上下どちらも含むすべての歯を失った時に、自分の歯の代わりをしてくれる人工の義歯です。
総入れ歯の構造

総入れ歯は、歯茎部分(床)と人工歯からなります。前歯は見た目を重視し、奥歯はしっかり噛めることを考慮して作られています。
歯茎のこと、床っていうんですね。

口の中を家に例えると、家の内側が口内、人が立つ床が歯が生える歯茎ということになります。
あ〜、なるほど。
総入れ歯の素材
総入れ歯に使われる素材は、床部分と人工歯部分で異なります。
歯の部分

保険適用内で使われる歯の部分は硬質レジンと呼ばれるプラスチックです。その他自費診療で使われるセラミックなどもあります。人工歯は、一人ひとりの骨格や顔の形などを考慮して技工士が選びます。ただし、プラスチックの人工歯の場合は色に限りがあり、個人の歯の色とは違って見える場合もあります。

プラスチックは安価ですが、割れやすい、変色したら取れないなどのデメリットがあります。
へぇ〜、そうなんですね〜。
歯ぐき(床)部分

床部分はプラスチックやシリコン、それに一部金属で作られています。床部分のプラスチックはアクリル樹脂(メタクリル樹脂)と呼ばれるものです。
プラスチックって、歯に使われているのとは同じじゃないんですか?

プラスチックにはポリエチレンやメタクリル樹脂と呼ばれる柔らかいものなど、色々な種類があるんですよ。
へぇ〜、知りませんでした〜。
総入れ歯の種類
総入れ歯は床の種類によって様々です。詳しくご紹介しますね。
プラスチック(保険適用)

保険適用の総入れ歯で使われるのは、歯・床ともにプラスチックです。厚みがあるので違和感がでる場合があり、見た目がやや変わってしまうこともあります。
見た目がこんもりしちゃうんですか?

誰でもそうなるわけではありませんが、人によってはそうなる可能性もあります。
金属床義歯

薄い金属の床のため、プラスチックの床に比べて違和感がありません。強度があり密着性もいいです。伝熱性にも優れているので、食べ物を食べたときも熱いものや冷たいものを自然に感じることができます。
でも、金属ってことは口をあいたら金属が丸見えってことですよね…。

それが唯一のデメリットといえますが、口の中が広く感じて発音がしやすいというメリットもあるんですよ。
へぇ〜、入れ歯の種類によってもそういうことの違いがあるんですね〜。
シリコン義歯

生体用シリコンを使った柔らかい床です。シリコンは弾力性に優れているので高い吸着力があり、フィット感がよく入れ歯がズレにくいといったメリットがあります。

クッションの役目も兼ねるので、噛んだときの痛みや歯茎への負担も軽くしてくれます。
見た目も自然ですね。

そうですね。
マグネット義歯

歯茎の中と床の両方に磁石式のボタン(アタッチメント)をつけ、磁石でくっつけるタイプの入れ歯です。強力な磁石が入れ歯の浮き上がりを抑え、食事中や会話中に外れる、ズレるといった心配をなくします。
そういえば、入れ歯って浮き上がるって聞いたことがあります。

合わない入れ歯は浮き上がってズレたり外れてしまうことがあるんです。作った時は合っていても、お口の状態の変化などで段々合わなくなってくることがあります。
へぇ〜、そういうことがあるんですね。
インプラント義歯(オーバーデンチャー)

顎骨に2〜4つの穴をあけて人工歯根(インプラント)を埋め込み、それを支えにして入れ歯を装着する治療法です。他の総入れ歯より噛む力が強く、安定性もあります。

噛む力とか安定性があるのは、骨を土台にしているからです。
へぇ〜。インプラントと入れ歯はどうやってくっついてるんですか?

ホック式やマグネット式の種類がありますよ。
総入れ歯のメリット・デメリット
総入れ歯はなんとなく抵抗感がある、またはどんなデメリットがあるのか知りたいという人もいるでしょう。ここでは総入れ歯のメリットとデメリットをご紹介します。
総入れ歯のメリット

- 発音がよくなる
- ものが噛めるようになる
- 飲み込みやすくなる
- 顔貌を損なわない
歯がないとすごく老けて見えちゃいますよね…。

歯を失って、見た目を気にされる人もとても多いですよね。でも、食べ物を飲み込む力もすごく重要です。
総入れ歯って、そういうことを解決してくれるんですね。
総入れ歯のデメリット

- 合っていないとサ行やタ行の発音がしにくい
- 入れ歯についた汚れが口臭の原因になることがある
- 毎日のお手入れが面倒
- 理想の入れ歯を作る場合、高額になる
- 合わない・ズレるなどで痛みが生じることがある
- 何年かに一度作り直しが必要
何年かに一度って、具体的にはどのくらいですか?

入れ歯の寿命は4〜5年とされています。また、入れ歯が壊れていなくてもお口の状態が変化して合わなくなることもあります。
総入れ歯の費用

総入れ歯の費用は、使う材料によって異なります。
保険適用内の場合
保険適用の場合に使う材料はプラスチックです。3割負担の場合、上下で2万円程度、1割負担なら1万円以内に収まるでしょう。

令和3年現在で、69歳までが3割負担、70〜74際が2割負担、75歳以上は1割負担です。
さすが先生〜。
自費診療の場合
自費診療で作る総入れ歯の費用は本当に色々です。ただし、色や噛み心地、吸着力などすべてオーダーメイドで作ることができるので、こだわりの総入れ歯ができます。

自費診療の場合は材料や治療法に制限がないので、患者さんの要望を聞きながら作ります。
へぇ〜、私も将来作るとしたら、見た目がよくて痛くないのが作りたいです。
総入れ歯のまとめ
すべての歯を失った場合、見た目が急激に老け込んでしまったり、発音しにくくなって相手に伝わりづらくなり、しゃべるのが億劫になったりする問題があります。それだけでなく、噛む力・飲み込む力にも影響を及ぼし、健康を維持するのが難しくなります。自分に合った総入れ歯は、しっかりと噛めて会話も楽しめます。総入れ歯は、今まで通りの笑顔でイキイキと暮らせる治療法なのです。
- 総入れ歯は歯茎部分にあたる”床”と人工歯で構成されている
- 床と人工歯には色々な素材の種類がある
- 保険適用内では床・人工歯ともにプラスチックが使われる
- マグネット式やインプラントを使った総入れ歯はフィット感に優れる
- 総入れ歯は生活を豊かにし健康も維持できる
- 合わないと痛みやズレなどを生じる
- 保険適用で作った場合、1万円〜3万円程度
- 自費診療の場合上限なし