【基礎知識編】知覚過敏とは?原因や虫歯との見分け方、治療方法


アイスを食べている時や歯みがきをしている時に、歯にしみることを知覚過敏と言います。ただ、虫歯になっても同じ症状が出るので、知覚過敏なのか虫歯になってしまったのか悩むことがありますよね。ここでは知覚過敏のメカニズムや虫歯との見分け方、知覚過敏の治療方法などについて詳しくご紹介します。
- どうして知覚過敏になるの?
- 知覚過敏の原因はなに?
- 知覚過敏は治せるの?
- 知覚過敏と虫歯の見分け方は?
知覚過敏とは

知覚過敏とは、歯の内部にある象牙質が刺激を受けた時に起きるものです。歯の構造は、表面に硬いエナメル質、内側に柔らかい象牙質がありますが、通常はエナメル質が象牙質を覆っているので痛みを感じません。
エナメル質は少しくらい削られても痛みを感じませんが、大きく削られたり溶けて薄くなったりした場合、刺激が強く伝わります。象牙質の構造は管状になっていて、刺激が神経に伝わりやすくなっています。何らかの原因で象牙質に刺激が伝わると、神経にも伝達して痛みを感じるのです。

象牙質は加齢によって管が塞がってくることもあるので、象牙質が刺激を受けても必ずしも知覚過敏が起こるというわけでもないんですよ。
象牙質って穴が空いてて、年を取ると塞がることもあるんですね。
知覚過敏と虫歯との見分け方

虫歯の歯は叩くと痛みがありますが、知覚過敏は叩いても痛くありません。また、虫歯は痛みが長く続きますが、知覚過敏は一時的なものです。
知覚過敏は、例えばこんな時に起こります。
- 冷たい食べ物や熱い食べ物、甘い食べ物などを食べた時
- 空気を吸い込んだ時
- 口を開けていて風が強く当たった時
- 虫歯治療で金属の器具が当たった時
- 歯医者さんで歯石をとった時

ただ、虫歯になり始めのときには同じような症状になるので、しみる・痛みがあるという時は早めに歯医者さんに相談してください。
やっぱり自分で判断するのは難しいんですね。
知覚過敏になる5つの原因
知覚過敏になる原因は、大きく5つのことが考えられます。
歯ぐき下がり

加齢や歯周病などにより歯茎が下がると、象牙質が露出してしまいます。特に、歯周病にかかると、歯茎の内側で歯周ポケットが深くなってしまうので注意が必要です。

歯みがきの力が強すぎて歯茎下がりになってしまうこともあるんですよ。
へぇ〜、歯みがきで!

そうなんです。歯みがきは触れる程度の力で小刻みにする方が汚れがよく落とせますよ。
歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしりや食いしばりの癖があると、すり減って象牙質が露出することがあります。歯は普通に使っていてもわずかにすり減ってしまうものですが、すり減り具合には個人差があります。歯質が柔らかい人で歯ぎしりや食いしばりの癖があると、すり減るのも早まるでしょう。

極端な例では、歯と歯が噛む部分が水平になってしまうこともあります。
それだと噛むたびに痛くなりそうですね…。
歯の破損

なにかにぶつけたりして前歯が欠けたりすると、象牙質が露出して知覚過敏になることがあります。また、欠けた部分以外でもヒビが入っていたりすると、神経部分に細菌が入って炎症を起こし、痛むこともあります。
そういえば、親戚の子で転んでアスファルトにぶつけて前歯が欠けちゃった子がいました。

乳歯の場合でも、そのままにしておくと細菌が入ったりするので、ちゃんと治療するのがおすすめです。
そうなんですか!よかったー、ちゃんと歯医者さんに行ったみたいですよ。
う蝕

酸によって歯のエナメル質が溶けることを酸蝕歯といいます。エナメル質はpHが5.5以下になると溶けはじめます(う蝕)。飲食物の多くは酸性で、特に酸が多く含まれているものを好んで摂る人は、注意が必要です。
- 炭酸水を長時間かけて飲む
- ビールや赤ワインを飲んだあと歯を磨かないで寝てしまう
- 黒酢ドリンクや梅酒を飲む習慣がある
- コーラやサイダーをよく飲む
- 柑橘類が好きでよく食べている
- 逆流性食道炎や胃炎になりやすい

たくさん摂っても、その後すぐに歯を磨けば問題ありません。
ダラダラ飲んだり食べたりするのがダメなんですね。

そのとおり。
ホワイトニング

ホワイトニング用の歯みがき粉やペーストで研磨剤が入っているものは要注意です。研磨剤がエナメル質を少しずつ削ってしまい、知覚過敏の原因になります。

研磨剤が入っていないホワイトニング剤もあるので、探してみてくださいね。
研磨剤が入っていないっていうと…。

削らずに白くする有効成分が入っていますよ。

知覚過敏の5つの治療法

知覚過敏は治療して治すことが可能です。治療法には5つの方法があります。
薬剤を塗布する
歯と同じ成分の薬剤などを塗布して、刺激を遮断します。神経に伝達する通路を埋めてしまうので、即効性があります。

使う薬剤はクリニックによって異なります。
何種類かあるんですね。
レーザーで治療する
レーザーで歯の表面に薄い膜を作り、穴を塞いで神経を保護します。

レーザーには4種類あるので、知覚過敏の治療ができるかどうか確認してください。
できないレーザーもあるんですか?

歯茎の治療だけと、歯茎と歯の両方の治療ができる種類があるんです。
分かりました!
知覚過敏用の歯みがき粉を使う
知覚過敏用の有効成分が入った市販の歯みがき粉を継続して使うことで、症状を落ち着かせることも可能です。
マウスピースで歯ぎしりを改善する
歯ぎしりが原因の場合は、薬剤治療などの他にマウスピースで歯ぎしりの治療をします。
神経を抜く
知覚過敏がひどく生活に支障をきたすような場合は、神経を抜くこともあります。

できるなら神経は抜かないほうがいいんですが、炎症などが起きている場合はやむをえません。
最終手段ってことですね!
知覚過敏は自然に治ることもある

気がついたら知覚過敏がなくなっていたというのはよくあることです。歯の神経には、一定の刺激を受け続けると、刺激を受けないように修復する力が働くのです。知覚過敏用の歯みがき粉を使い、正しく歯磨きを続けることで自然治癒をより促せるかもしれません。
自然に治るのが一番いいですよね!

そうですね。食生活などに気をつけてちょっと気をつけてみるといいですね。
知覚過敏は軽度なうちに対処しよう
知覚過敏は様々な原因によって起こりますが、軽度なうちに適切な対処をすればなくなっていきます。生活を見直したりクセを直したりすることで、ある程度対処できるでしょう。ただ、これが知覚過敏ではなく虫歯や歯周病による痛みの可能性もあります。不安なら一度歯医者さんで診てもらってはいかがでしょうか。
- 知覚過敏は象牙質が刺激を受けることで起こる
- 象牙質はエナメル質が守っている
- エナメル質は酸性の飲食物で溶ける
- 歯ぎしりや食いしばり、強い力で歯磨きしたりしても削られる
- 歯医者さんでは薬剤やレーザーなどで治療をする
- 自宅で市販の知覚過敏用の歯みがき粉で改善することも可能
