【基礎知識編】歯周病とは?セルフチェックの方法・治療の流れを解説


歯周病は、自覚症状が出た時にはかなり悪化しているリスクがある病気です。初期段階では痛みなどもないので、なかなか気付くことができません。
しかも、虫歯のように歯を削ったりして治療しても簡単に治せないため、色々とやっかいなイメージがあります。
そこで今回は、「基礎知識編」として「歯周病とはどんな病気なのか、治療の流れはどうなっているのか」などを解説します。
歯周病をこじらせて歯を失ってしまうことがないよう、この機会に歯周病の基本情報をチェックしておきませんか?
- 歯周病って聞くけれど、実はどんな病気なのかよくわからない。
- 歯周病は特に痛みがないから、放置していてもいいと思っている。
- 歯が浮いてきた、歯ぐきから血が出る…もしかして歯周病?
- 歯周病治療の流れを知りたい。手術で治せると聞いたけど、本当?
- 歯周病かもしれない。「歯周病セルフチェック」の方法を知りたい。
歯周病セルフチェック

まずは、歯周病セルフチェック表で問題ないか確認してみましょう。
●朝起きたときに、口の中がネバネバする。「歯周疾患の自覚症状とセルフチェック | e-ヘルスネット(厚生労働省)」より引用
●歯みがきのときに出血する。
●硬いものが噛みにくい。
●口臭が気になる。
●歯肉がときどき腫れる。
●歯肉が下がって、歯と歯の間にすきまができてきた。
●歯がグラグラする。
また次のような方には、歯周病が起こりやすいことが知られています。
●45歳以上の方
●喫煙者
●妊娠中
●糖尿病にかかっている方
●歯みがきの悪い方

こういった症状がありますか?
うーん、朝は口の中がネバネバしていますねー。口臭もあると思います。

もしかすると、初期の歯周病の可能性がありますので、一度、歯科医院で検査を受けてみてください。
うーん、歯周病かもしれないのかー。歯医者に行かなきゃならんとは、嫌だなあー。
歯周病とは、どんな病気?

ところで歯周病というのは、そもそもどういう病気なんだっけ?
歯周病は、細菌によって引き起こされる感染症です。歯垢を温床として細菌が繁殖し、歯ぐきに炎症を起こして歯周組織を破壊します。悪化すると歯を支える骨が溶かされ、歯がグラグラして抜け落ちることもあります。
また血管や気管へ歯周病菌が入り込むと、命を落としかねない重篤な疾患につながります。

歯周病は細菌による感染症です。お口だけに限られたトラブルではなく、全身の健康を脅かすリスクがある病気です。
うーん、そう聞くと歯周病はしっかり治しておいた方が良さそうですねー。

歯周病治療の流れ

歯周病の治療の流れを知りたいです。虫歯の治療は経験豊富ですが、歯周病の治療は初めてなのでー…。

わかりました、では歯周病治療の流れを説明します。
歯磨き不足の部分をチェック
まずは赤く染まって歯を磨けていない部分を教えてくれる「染め出し剤」を使って、歯磨きの苦手なところをチェックします。
歯周病の改善は、毎日の歯磨きが大切なのです。
一度、歯科医院で治療を受けたとしても、その後日頃の歯磨きをサボるとすぐに再発してしまいます。
そのため歯周病の治療では、「歯磨き指導」に力を入れています。
歯科衛生士が、磨けていない部分に対し、どのように歯ブラシを動かせばしっかり磨けるかを具体的に教えてくれるので、通院しているうちに歯磨きの腕が上がります。
歯石除去
次に、歯と歯のすき間、歯と歯ぐきの境い目の歯周ポケットに溜まった歯石を、スケーラーなどの専用の道具を使って根こそぎ取り除きます。
細菌の温床となっている歯石を除去すると、歯ぐきが引き締まって歯周病の状態が大きく改善します。
歯石の蓄積量が多い場合は一度に取りきれないため、何回か通院して除去することになります。
劣化して歯石が付きやすい詰め物や被せ物があれば、新しいものに交換したり、治療をしなおしたりします。
歯周病が悪化してグラグラしている歯は、診断の結果、抜歯処置になることもあります。
歯周外科的治療
歯周病がかなり進行し、歯周ポケットが深くなっていると、スケーリングなどの手作業では歯石が取り除けなくなります。 その場合は、手術を伴う「外科的治療」を行います。
フラップ手術
局部麻酔を施し、外科手術で歯肉を切開して歯を支える骨(歯槽骨)から剥がし、歯の根っこについた歯石をごっそり取り除きます。
フラップ手術を実施する目安は、スケーリングで歯石を除去しても歯周ポケットが4mm以下の浅さに改善しないときに行います。
歯周組織再生療法
歯周病は、歯の周辺組織を溶かす病気です。
歯垢をキレイに除去できても、溶けてしまった歯周組織をそのままにしていると、歯周病の再発にもつながります。
そのため、リグロス、エムドゲインという薬剤を使い、歯ぐきの再生治療を行います。
リグロス
リグロスもエムドゲインも、歯の根本に塗布し、歯ぐきの再生を促進する薬剤です。
リグロスは、もともと皮膚の再生に使われていた薬剤と同じ成分でできています。
リグロスの方が破壊された骨の再生効率が良いと言われているのですが、2001年から使用が始まったまだまだ新しい治療薬です。治療薬としては20年に近い実績があるものの、長期的な経過報告が少ないという点が不安視されることがあります。
また、細胞を増殖させる作用があるため、これまでにかかった病気の履歴によっては使用が難しいケースも。
リグロスは健康保険が適用しますが、適用外の歯科材料を同時に使用すると、保険適用にならないという点にも注意しなければなりません。
エムドゲイン
エムドゲインは、歯周組織の再生を促進させるための薬剤としては長く使われており、安定した効果が報告されています。
保険適用外ですが、リグロスの注意点を踏まえ、敢えてエムドゲインを選択するケースもあります。
歯周形成手術
歯周病が進行すると歯周組織を破壊するため、見た目に影響を及ぼすことがあります。
見た目に支障が出た歯ぐきは、歯周形成手術を施すことがあります。
特に多いのが、フラップ手術で歯ぐきが下がってしまい、長くなった歯面の見た目を改善するための手術です。
歯周病が治らなかったのは過去の話。歯周病は治せる!

ほーう、歯周病は手術で治すこともできるんですねー。知らなかったなー。

そうなんですよ。昔は歯周病になったら治らないと言われていましたが、今では外科的治療法をはじめとする治療が可能になりました。
ほほーう、それは心強いですね。

ただし、歯周病は再発リスクが高い病気です。お口の中の歯周病菌を、完全にゼロにすることができないからです。治療後は正しい歯磨きの継続と、メンテナンスのために定期的に通院してくださいね。
- 歯周病は細菌による感染症。毎日の歯磨きが予防・改善の鍵。
- 歯周病の治療では、主に歯に付着した歯石の徹底除去を行う。
- 歯周ポケットの深さが改善しなければ外科手術が必要になる。
- 薬剤を塗布して歯ぐきの再生を促進する歯周組織再生療法も。
- 歯周病セルフチェックで気になった点があれば、歯科検診を!
