【基礎知識編】歯の矯正って何?どうやって歯並びをよくするの?


歯の矯正というと、銀色の装置を歯の表面につけるイメージを持つ人も多いと思います。子どもの頃は、お友達がしているのを見た人も多いのではないでしょうか。しかし、よく考えてみると、固い歯がどうして動くのか、どうやって歯並びを整えるのか不思議ではありませんか?この記事では、歯の矯正でどのようにして歯が動くのか、そのしくみや様々な矯正方法など、矯正について詳しくご紹介します。
- 硬い歯をどうやってきれいに整えるのが不思議に思っていた
- 大人でも矯正できるの?
- 矯正にはどんな種類があるの?
- 治療期間や費用はどれくらいかかる?
- 矯正は何歳から何歳くらいまでできるか知りたい
矯正治療で歯が動くしくみ
歯はとても固いですが、実は常に動くものです。歯自体は骨と同じ材質ですが、その下の組織は以下のようになっています。

歯の土台となる歯槽骨(しそうこつ)という部分は、強い力がかかるとなくなったり新しく作られたりします。例えば、歯の右側から力がかかると、右側の歯槽骨が薄くなり、反対の左側が新たに作られて厚みが増すといった具合です。歯は常に歯槽骨の中心にくるようにできており、歯槽骨の中心がずれれば歯も一緒に動くのです。

歯の周辺組織には、歯槽骨を溶かしたり作ったりできる細胞があるんです。
へぇ〜、すごいしくみですね〜。

その細胞がコントロールしているおかげで、いつも歯が守られているんですよ。
へぇ〜、うまく出来てるもんですね〜。

その働きを利用して、歯に圧をかけて動かすのが矯正治療です。
あっ、そうなんですね〜。
歯がきれいに並んで生えない理由

歯並びがガタガタになったり出っ歯や受け口になったりする原因は、多くの場合歯がきちんと並ぶスペースが足りないことです。スペースが不足しているために、隣り合った歯が重なり合う、ねじれる、前後に倒れるといった状態になってしまうのです。
矯正治療では、スペースを確保して歯を正しい向きや位置に並べるのが目的ですが、子どもの矯正と大人の矯正では少々違いがあります。
子どもの矯正

子どもは成長途中なので、顎の成長を利用して矯正することができます。顎が成長すれば自然に歯が並ぶスペースができるため、抜歯をしなくても矯正できる場合が多いです。

その他にも、永久歯が出るのを待って治療したりするなど、大人の歯とは違う部分が多いんです。
へぇ〜、そうなんですね〜。
大人の矯正

大人の場合はすでに成長が止まっていますので、歯並びを整えるにはスペースを確保しなければなりません。抜歯をするのはそのためです。また、骨格が問題で出っ歯や受け口になる場合もあります。骨格が問題の場合は外科手術をして骨を削るなどの対応が必要です。

子どもの場合は顎の成長を利用できますが、大人はスペースを意図的に作らなければなりません。
その原理、よく分かりました〜。
矯正の種類
歯を動かすには、昔はワイヤーを歯の表につけるブラケット矯正だけでしたが、今ではマウスピース矯正も普及し、様々な矯正装置が選べます。
ブラケット矯正

歯にブラケットというボタンをつけ、ワイヤーを通してワイヤーの力で歯を少しずつ動かす方法です。ブラケット矯正には表側に装着する表側矯正、歯の裏側につける裏側矯正(=舌側矯正、リンガルブラケット矯正)などの種類があります。

大人の出っ歯の矯正などは、前歯だけ部分的に矯正する裏側矯正などを希望する人も多いです。
それだと人に知られないで矯正できますね〜。
マウスピース矯正

透明なシリコンのマウスピースを、全歯に装着する矯正方法です。マウスピースを複数作り、交換していくことで歯を動かします。
少しずつ違うマウスピースをすることで歯が動くっていう感じですか?

そのとおり。ブラケット矯正より痛みが少なく目立たないので、こちらも人気です。
口腔筋機能療法(幼児の矯正)

入学前の幼児の場合、舌や口まわりの筋肉の正しい使い方をトレーニングをすることで、歯並びが悪くなるのを防ぐという矯正方法があります。口腔筋機能療法(MFT)と呼ばれるもので、ワイヤーを使わないので痛みなどもありません。夜寝る時だけ装着し、自分で着脱が可能なので幼い子どもでもやりやすい方法です。
へぇ〜、そんな方法があるなら子どもの時やりたかったです〜。

MFTは比較的新しい方法で、取り入れている歯医者さんが多くなったのはごく最近なんですよ。
残念〜。でも自分の子どもができたらやらせてあげたいです!

矯正治療にかかる期間

矯正治療にかかる期間は、歯の動き方の速度や歯の傾き、傾きを治す度合い、原因がどこにあるかなど、個人の状態によって異なります。しかし、大体の目安は1〜3年程度です。
骨を削る手術をする人と、前歯1本だけ治療する人ではかなりの差がありますよね。

そうですね。本当にそれぞれなので、こればかりは担当の歯医者さんによく聞いてください。
矯正治療の費用

矯正治療は基本的に医療保険が使えず、全額自己負担になります。その理由は、歯並びが悪いだけでは虫歯や歯周病の直接原因にはならないからです。相場は10万円〜150万円。金額がこれほど幅広いのは、矯正する本数や症状、使う矯正装置などによるからです。
一番安いのはどの装置ですか?

ブラケット矯正で銀色のメタルブラケットです。ただ、これだと安価ではありますがかなり目立つので、透明や白色のブラケットを希望する人が多いです。
実はあまり知らない矯正あれこれ
はじめて矯正治療をする人にとっては、あまり聞かないような内容もあります。ここでは矯正に付随する豆知識をご紹介します。
ゴムかけ

ゴムかけとは、矯正装置の上下に医療用のゴムをかけて、さらに細かな矯正をすることです。ゴムかけの期間は2〜3ヶ月程度です。
ゴムかけも必ずやるものなんですか?

いいえ、やらない人もいますよ。担当医が必要があると判断すればやるものです。
保定期間

矯正装置が外れた後も、保定装置(リテーナー)をつける必要があります。装着する期間は矯正期間と同じくらいで、矯正治療が1年なら保定装置も1年つけ続けます。
保定装置が必要なのは、矯正した歯並びや咬み合わせを歯槽骨に記憶させて後戻りさせないためです。保定をうっかりさぼってしまうと、せっかく矯正した歯が元に戻ってしまいます。
へぇ〜、矯正が終わったらそれで終わりじゃないんですね。

ただ、保定装置は矯正ほど複雑じゃないので痛みなどはありませんし、通院期間もだんだん少なくなります。
※人によっては、保定装置を寝る時のみずっとつけ続けることを勧められる場合もあります。医師の指示に従いましょう。
外科手術を伴うことも

歯並びを改善するには、上顎の骨を削る、歯茎を切除するなどの外科手術を伴うこともあります。顎が過剰に成長して歯並びに影響しているような場合です。

例えば鼻の下が成長しすぎて出っ歯になってしまっているような場合は、上顎の骨を切除してから歯の矯正をします。
そんな大がかりになることもあるんですね〜。

矯正専門医でないと判断が難しいこともあるので、矯正をするなら矯正歯科を選ぶといいですよ。
分かりましたー。
矯正治療の目的は歯並びだけじゃありません
歯の矯正は、歯並びを美しくするだけではありません。咬み合わせも良くすることで、全身の健康を維持することができます。見た目がきれいになっても咬み合わせが合っていないと、後々骨格に歪みが出てしまうなどのトラブルも考えられますので、矯正をする場合は「矯正専門歯科」で治療をするのがおすすめです。
- 歯は常に動いている
- 歯槽骨が溶けたり作られたりする原理を利用したのが矯正治療
- 歯がきれいに生えないのはスペースが足りないから
- 子どもは顎の成長を利用して矯正することが可能
- 大人はスペースを作るために抜歯をすることがある
- ブラケット矯正はブラケットとワイヤーを使った方法
- マウスピースは透明なマウスピースを交換して歯を動かす
- 骨に原因がある場合は外科手術が必要になることがある
- 矯正装置を外しても保定期間が同じくらいある
