咬合再構成|口腔全体を根本から治すオーラルリハビリテーションとは?

「咬合再構成って何?」
「咬合再構築ってどんなことをするの?」
歯医者で矯正治療や審美治療の相談をしたら、咬合再構成や咬合再構築を勧められる場合があります。ただし、あまり聞き慣れない言葉なので、「それは何?」と戸惑ってしまう方も多いでしょう。
咬合再構成も咬合再構築も同じ意味を示す言葉で、口腔全体を包括的に考えて行う歯科治療のことです。
そこで、ここでは咬合再構成について詳しくご紹介します。
- 咬合再構成は一般歯科と何が違うのか知りたい
- 咬合再構成はどんなことをするのか知りたい
- 咬合再構成はどこで受けられるのか知りたい
1. 咬合再構成とは

咬合再構成は、冒頭でも触れたように口腔全体を包括的に治療することです。
といってもよく分かりませんね。1章では、咬合再構成はどんな考え方で、何をゴールとして行うのかを詳しく説明します。
1-1. 咬合再構成は口腔全体を1単位と考える
歯の治療は通常、虫歯ができれば虫歯治療、歯並びが悪ければ矯正治療というように、個別に対応するのが一般的です。
しかし、それでは弊害が起こる場合があります。例えば以下のような例があります。
- 虫歯は治ったけれど全体の歯並びは悪いまま
- 虫歯は治ったけれど顎が痛い
- 矯正治療が終わって数年後に咬み合わせが悪くなった
ほとんどの歯医者の場合、将来を見越して治療をしますが、中にはその症状だけを改善するような治療をする歯医者もいます。すると、例に挙げたようなトラブルが発生してしまうのです。
咬合再構成は口腔全体を1単位として考えるので、機能面と審美面の両方が最終的に理想の状態になるように様々な治療をしていきます。

理想の状態ってどんな状態のことですか?

虫歯や歯周病などが改善されて、咬み合わせと歯並びもきれいに整った状態ですよ。

普通の矯正と病気の治療というのではなく、トータルで考えるってことですか?

そのとおり!
1-2. 咬合再構成(オーラルリハビリテーション)の目的は咬み合わせを改善すること
咬合再構成はオーラルリハビリテーションとも呼ばれています。といっても、怪我や病気をした後のリハビリテーションとは少し異なります。
咬合再構成(オーラルリハビリテーション)の最終目的は、咬み合わせを改善することです。
咬み合わせは全身に強く影響します。
咬み合わせが悪いと左右の顎骨のバランスが崩れます。その影響で背骨が歪むと、肩こりや頭痛、腰痛などを引き起こします。咬合再構成で上下の咬み合わせのバランスを整えることで、長期的に歯や体全体の健康が保てるようになるのです。
そのため、咬合再構成はオーラルリハビリテーション(全体的な改善)と考えられています。

リハビリテーションとは再びできるようになる、再び自分らしく生きるという意味です。

つまり、歯の治療を通して再び自分らしく生きられるにするのがオーラルリハビリテーションってことですね!

そのとおり。
2. 咬合再構成(オーラルリハビリテーション)で行う治療とは?
咬合再構成は歯周病や根管治療、矯正、補綴、義歯などあらゆる分野の歯科治療を組み合わせて行います。
必要な治療は人によって異なりますが、まずは虫歯や歯周病などを調べ、必要な治療をトータル的に考えて、大きく以下の順番で行います。
- 歯周病治療
- 虫歯治療
- 矯正治療
- インプラント治療
- 補綴治療
なぜこの順番でするのかというと、効率よく口腔全体を整えて最終的な咬み合わせにできるからです。
咬合再構成(オーラルリハビリテーション)は、よく家のリフォームに例えられます。ここでも、家のリフォームになぞらえて説明していきますね。
2-1. 歯周病治療

家をリフォームするためには、家の中を片付けて環境整備をしなければなりません。まずは家具家財をどけて掃除し、リフォームのための環境を整えます。
口の中の場合は、歯周病があれば最初に歯周病を治療します。歯周病は歯や骨を溶かしてしまうため、歯周病菌が口の中に存在するとほかを工事する先から崩れていってしまうからです。
家の中に不要なものがあるとリフォームがうまく進まないように、口の中に歯周病があると次の段階の治療がでかないので、まずは歯周病から治療していきます。

通常の矯正やインプラントなどの治療でも、歯周病がある場合は先に歯周病を改善します。

どうしてですか?

歯周病をそのままにしておくと、症状が進行して歯の土台が崩れたり、治療中の傷から悪い細菌が入ったりして他の治療がうまくできないからです。

なるほど!
2-2. 虫歯治療

家の中の環境が整ったら、次は古くなった設備の修復です。傷んだ柱があると柱が倒れて家全体が倒壊する危険があるため、古くなった柱を修復します。
歯を柱に見立てると、修復が必要な柱(虫歯)はシロアリ被害や経年劣化で傷んでいる状態の歯です。虫歯がある場合は家全体(口腔全体)が倒壊しないように、修復(虫歯の治療)を行います。

虫歯は悪い部分を削ってしまえば、基本的にはそれ以上深くなることはありません。

虫歯を治して基盤を整理するんですね!
2-3. 矯正治療|傾いた柱を修復する

家の中で柱が傾いていると、全体のバランスが崩れて家をきちんと支えることができません。壁も屋根も傾いてしまいます。
歯も歯並びや上下の咬み合わせのバランスが悪いと、修復(矯正治療)が必要です。歯が前後や斜めに傾いている場合は、矯正治療を行います。

咬み合わせで問題になるのが歯並びの悪さや上下の咬み合わせのバランスの悪さです。

それがきちんとしていないと最終目的の咬み合わせにもできないってことですね!

はい。矯正は重要ですよ。
2-4. インプラント治療

家をリフォームする際に強度が足りない場合は、柱を追加して頑丈な家にします。
口内でも、歯周病や事故などで歯を失ってしまった場合は、インプラント治療を検討します。
インプラント治療とは、歯ぐきの下の骨に人工的な歯の根を直接埋め込み、その上に人工歯をつける治療のことです。

インプラントは入れ歯と違って動きません。噛む力も強いし、歯並びが悪くなるのを防いで咬み合わせのバランスを保つ役割がありますよ。

まさに強度を高くしてくれるんですね!
2-5. 補綴治療

家の構造が整ったら、最後に仕上げで内装や外装を施します。内装は快適に過ごすため、外装は雨風から家を守るために必要です。
口内の場合では、内装や外装は補綴治療にあたります。欠けている歯や被せ物が取れたままの歯があれば、補綴治療(被せ物)を行って隙間をなくします。補綴治療をすると細菌が入りにくくなって虫歯や歯周病になりにくくなる他、ブラッシングもしやすくなります。

補綴治療は仕上げってことですか?

そうですね。今後も快適に過ごすために必要なことです。
3. 咬合再構成をする際の良い歯医者の選び方

咬合再構成は、お伝えしてきたように様々な治療技術を必要とします。そのため、医師は豊富な治療経験の他、あらゆる歯の治療や骨格などの生体的知識も持ち合わせていなければなりません。
咬合再構成をしている良い歯医者を選ぶには、以下のようなポイントを抑えることが重要す。
- ホームページで咬合再構成をしていると明記している
- 咬合再構成の症例がたくさんある
- 学会や研修会などに頻繁に参加している
- 虫歯・歯周病・根管治療・矯正治療・心療歯科をしている
- 咬合再構成の目的や意味をしっかりと把握している
- 咬合器、CT機器、精密顕微鏡などの設備がある
- 料金や治療方針について詳しく説明してくれる

咬合再構成は難しい症例にも取り組むので、結論としては、オールマイティに診療できる歯医者がおすすめですよ。

分かりました!
4. 咬み合わせの悪さが引き起こす全身への悪影響

顎は身体の重心のバランスを保っています。そのため、咬み合わせが悪いと全身の骨格にも歪みが生じます。その結果、肩こりや頭痛、腰痛、膝痛などを引き起こします。
全身のバランスの崩れは、不眠やめまいなど原因不明の体調不良の原因でもあります。

咬み合わせが悪いだけで、色んなところに影響が出ちゃうんですね!

そうなんです。咬み合わせはとても大切なんですよ。
5. 咬合再構成(オーラルリハビリテーション)でお口を理想の状態に!
咬合再構成は、一部分だけでなく口腔全体をトータル的に考えて行う治療です。咬み合わせを中心とした治療を行うことで、歯の機能だけでなく審美的にも理想の状態に近づけることができ、長期的な健康も手に入れることができますよ。
- 咬合再構成は口全体を1単位として考える
- 咬合再構成は咬み合わせを治すことが目的
- 咬合再構成は病気・矯正・インプラント・補綴の順番で、必要に応じた治療を組み合わせて行う
- 咬合再構成(オーラルリハビリテーション)ができるのはオールマイティに診療できる歯医者
- 良い歯医者を選ぶにはホームページを確認するのがおすすめ