【基礎知識編】正しい歯磨きの仕方って?効率のよい磨き方を歯科医が伝授

虫歯や歯周病を防ぐためには、正しい歯磨きのポイントを知っておくことが大切です。
「正直、歯磨きって面倒~」「毎日磨く必要ある?」という人は、あまり歯を磨くことによる効果を実感できていないのかもしれないですね。
毎日のことですから、どうせなら効率よく効果的な歯磨きができる方法を身に着けて、楽しく歯磨きをしませんか?
後半では、歯科医おすすめの歯ブラシやアイテムの選び方を紹介しています。
今すぐ役立つ歯磨きの情報をギュッと詰め込ました。ほんの数分で簡単に読めますので、ぜひ目を通してみてくださいね。
- 歯を磨くのが面倒でたまらない。毎日磨く必要ってある?
- 毎日歯を磨いているのに虫歯ができてしまった。どうして?
- 正しい歯磨きのやり方を、よく考えたら知らないと気付いた。
- 歯磨きは、1日のうちいつ磨くのが効果的なのか知りたい。
- 使っている歯ブラシで、歯磨きの効果が出せるのか不安だ。
歯磨きの目的は「歯垢(プラーク)」の除去

歯磨きって、ものすごく面倒なんだよなあ…。毎日必ず磨かないといけないんもんかね…?

パンダさんは歯磨きが面倒なんですか?
うーん、そうなんですよねー。いちおう毎日磨いてはいるんですけどねー。

たしかに目的もなく、何となく磨いていると面倒くさくなっちゃうかもしれませんね。
んー?目的?歯磨きの目的って歯をきれいにすることじゃないんですかね?

はい。でも、それは「虫歯や歯周病を予防するため」ではないですか?
あー、いわれてみれはそうでしたねー。

でしょう?つまり歯磨きには「歯垢を取り除く」というハッキリとした目的があるんです。
ほーう?歯垢…?
なんとなく、ガシャガシャと歯を磨いていませんか?
歯磨きの目的は、歯垢の除去です。
虫歯や歯周病の予防のためには、細菌の塊ともいえる歯垢を取り除くことが必要なのです。
「歯垢を取りきる!」という目的を持って歯磨きをすると、効率よく、効果的に磨けます。
歯垢(プラーク)のつきやすいところを知ろう

ほーう、歯垢を取るために磨くと…。どうすれば歯垢が取れますかね?

特に、歯垢がつきやすい場所を知っておいて、歯垢をしっかり取り除くといいですよ。
ほほーう、歯垢がつきやすい場所があるんですね?
口内には、特に「歯垢がつきやすい場所」があります。代表的な4カ所をチェックしましょう。
歯と歯のすき間
歯間は、特に歯垢がたまりやすい場所です。歳を重ねて、食べカスが挟まりやすくなったと感じている人もいるのではないでしょうか?
食べカスに含まれた糖をエサにして歯周病菌や虫歯菌が繁殖し、歯垢(プラーク)を形成します。できたばかりの歯垢はやわらかいので適切にブラッシングすれば取り除けますが、一定の時間が経つと硬くなって歯石化します。
歯石化すると硬くてセルフケアでは取り除けなくなってしまいますので、歯科で専門機器によるプロケアで除去することになります。
歯と歯ぐきの境目
歯と歯ぐきの境い目は「歯周ポケット」と呼ばれていて、歯垢がたまりやすい場所です。歯垢が増えて歯ぐきに炎症が起こると歯周ポケットが深くなり、歯ブラシの毛先が届かなくなってしまいます。
そうなると、歯科で専門機器によるプロケアでなければ汚れを除去できません。
奥歯の噛む面
奥歯の噛み合わせの面にデコボコがありますが、そこにも歯垢がたまりやすい傾向があります。
特に、乳歯や生えたの永久歯は、デコボコが深いため、とても虫歯リスクが高いのです。
つい歯の表面ばかりを磨いてしまいがちですが、噛み合わせの面も忘れずにしっかりと磨きましょう。
歯並びがでこぼこしている所
八重歯・出っ歯・歯並びの乱れがあり、歯列にデコボコしているところがあると、歯磨きが行き届きにくくなるため、そこに歯垢がたまりやすくなります。
同様に、歯科治療を受けた跡の詰め物・被せ物の境い目も、時間の経過とともにデコボコしてくることがあるため、歯垢がつきやすくなって、そこから虫歯や歯周病に侵されるリスクがあります。
ほーう、こうして歯垢がたまりやすい場所を知ると、あまりきちんと磨けていなかったかもしれません。

特に歯垢がたまりやすい場所を意識して「歯垢を取り除く」と意識しながら磨くと、効率的に磨けますよ。
正しい歯ブラシの持ち方・動かし方


歯ブラシの使い方を意識するだけでも、効果的に磨けるようになりますよ。
うーん、歯ブラシの持ち方なんて、考えたこともなかったですよ。

ふだんはどんな風に磨いていますか?
うーん、こう握ってガシガシ磨いちゃってますよ。

それは歯や歯ぐきを傷めてしまう恐れがありますね。歯ブラシは軽く支えるだけでいいんですよ。
ほほーう、なんだか意外ですね。
鉛筆の持ち方で優しく持つ
「歯磨き」に「磨く」とあるので、歯ブラシを握りしめてゴシゴシ擦ってしまいがちですが、実は鉛筆を持つくらいの軽い力で十分です。
「強く磨かないと歯磨きをした気がしない」という人もいるかもしれませんが、毎日強い力で歯を磨いていると歯根がむき出しになったり、歯肉が後退したりするトラブルにつながりますので、気を付けてください。
毛先を歯面に当てる
歯ブラシの毛先が、磨きたい部分に対してまっすぐ当たるように意識して磨きます。
例えば歯の表面を磨きたい時は、歯面に対して直角になるように歯ブラシを当てます。
歯と歯ぐきの境い目を磨きたい時は、歯ブラシを斜め45度にし、毛先が歯周ポケットの入口に当たるように意識しながら磨きます。
軽い力で小刻みに動かす
歯ブラシは、5~10mmくらいの幅を小刻みに揺らすようにしながら磨いていきます。
背が低い歯、デコボコしている歯には、歯ブラシを入れる方向を変えながら、まっすぐ当たるようにして小刻みに磨いてください。
軽い力というと、どれくらいですかね?

歯の表面に当てた時、歯ブラシの毛先が広がらない程度の力がいいですね。
歯を磨くタイミング

先生、おいらずっと気になっていることがあるんですが。

パンダさん、だんだん歯磨きに積極的になってきましたね。
ええまあね、面倒でも毎日やらなきゃいけないなと思ってはいるんです。

いいことですね。
歯磨きって、いつ磨くのがおすすめですか?やっぱり食後ですか?1日に晩飯のあと1回だけでもいいですかね?

そうですね。食後はもちろんですが、一番大事にしていただきたいのは寝る前の歯磨きです。
ほほーう?寝る前の歯磨きですと…?
歯磨きは、最低でも1日2回以上、磨くようにしましょう。
食後の歯磨きはもちろんですが、実は最も重視したいのは就寝前の歯磨きです。その理由をチェックしてみましょう。
食後すぐ
1日3回の食事はもちろん、おやつ・間食など、飲食をしたらすぐ歯磨きをするのが理想です。
最低でも1日2回以上、歯を磨きましょう。
飲食を始めてから数分後、歯の表面のカルシウムやリンなどのミネラルが溶け出す「脱灰」が始まります。細菌が飲食物を分解するために出す酸によって、歯の表面が溶かされるからです。
口内が元の中性の状態に戻るまでに約40分、溶け出しやすい状態が続きますので、食べ終わったらすぐ、少なくても30分以内には歯を磨くとよいでしょう。
就寝の前
なぜ、寝る前の歯磨きが重要なのかというと、就寝中は1日のうちで、もっとも口内細菌が活発化する時間帯だからです。
就寝中は口内が乾燥しますので、虫歯菌や歯周病菌が症状を大きく進行させます。
それを防止するためにも、寝る前にはしっかりと歯を磨き、細菌量をできるだけ減らしておきましょう。
一回歯磨きをすれば、口内の細菌の状態が元通りになるまでに48時間かかるといわれています。
歯磨き習慣を続けていけば、毎日少しずつ細菌を減らしていくことができますので、ぜひ実践してください。
ほほーう、寝る前の歯磨きが大事とは知らなかったなー。晩酌して、そのまま寝てしまわないように気を付けなければー。
歯を磨くアイテム

うーん、こうなると歯ブラシは、今使っている普通のやつでいいのか心配になってきました。

おお、パンダさん、いいところに気がつきましたね。歯磨きはアイテム選びも大切ですよ。
ほほーう?やはりそうですか。

歯ブラシは毛先がやわらかい、毛が詰まっているものがおすすめですよ。歯科医おすすめの歯ブラシを1本紹介しますね。下記リンクをご覧ください。
デンタルフロスで歯間ケア
歯と歯のすき間など、どうしても歯ブラシの毛先が届かない場所があるので、歯ブラシ1本だけの歯磨きでは、残念ながら40%ほどの汚れが残ったままになってしまいます。
デンタルフロスをプラスすれば、歯垢の除去率が約30%高まるといわれていますので、1日1回以上はフロスや歯間ブラシを取り入れた念入りな歯磨きすると良いでしょう。
細部はワンタフトブラシで
ワンタフトブラシという、毛先が小さな丸い毛束になっている歯ブラシをご存知ですか?
歯科予防の先進国で、よく取り入れられている歯ブラシです。
デコボコの部分や、届きにくい奥歯にもブラシを入れやすくなる、おすすめのアイテムです。
デンタルリンスで殺菌を
口内の殺菌に、デンタルリンスを取り入れるのもおすすめです。
デンタルリンスには、単なる香りづけが目的のものもありますので、薬用成分や殺菌成分が含まれているものを選ぶようにしましょう。
フッ素配合の歯磨き剤で再石灰化を促進
フッ素配合の歯磨き剤は、歯の予防や強化におすすめです。市販の歯磨き粉には、ほとんどフッ素配合です。
おすすめのフッ素配合の歯磨き剤の使い方を紹介します。
(ただし、12歳以下のお子さんは、念のために止めておきましょう)
- まずは何もつけずに、または少量の歯磨き剤で念入りに歯を磨きます。
- 口をゆすぎ、口内の汚れを吐き出します。
- 歯磨き剤を2cmくらいたっぷりつけ、歯列全体に成分が行き渡るように磨きます。
- うがいは1~2回だけにして軽く済ませ、フッ素の成分が口内に残るようにします。
- 歯磨き後2時間は、飲食を避けます。
寝る前にデンタルフロスを使った丁寧な歯磨きを!
「寝る前」が歯磨きに大事なタイミングだったとは目からウロコですよ。効率よく磨けるアイテムを使ったら、歯垢をしっかり落とせそうですね。

おお、パンダさんも歯磨きの目的意識が芽生えましたね。
歯垢を落とすっていう目的や、効果が出やすいアイテムがハッキリわかっていると、歯磨きがはかどりそうな気がしますよ。これまでのような面倒さが薄れたように思います。

それはよかったです。歯磨きは感染症予防にも有効なので、ぜひ歯磨きを続けていきましょうね。一緒にがんばりましょう。
- 歯磨きは、目的をもって磨くと虫歯や歯周病の予防効果が高まる。
- 歯磨きの目的は、歯垢を除去すること。1日2回以上、磨くと良い。
- 歯と歯のすき間など、歯垢が溜まりやすい場所を知っておこう。
- デンタルフロスなどアイテムの選び方次第で、清掃率が高まる。
- 就寝中は口内細菌が活発化しやすい。寝る前の歯磨きを重視して。