【基礎知識編】今さら聞けない虫歯の治療法や話題の3Mix-MP法とは?

歯医者さんで虫歯を治療するといっても、その具体的な内容まで知っている人はあまりいないかもしれません。最近メディアなどで注目されている3Mix-MP法などにも触れながら、虫歯の治療はそもそもどのように行われるのかについてご紹介します。お子さんの虫歯治療を検討している人や、ご自身の虫歯治療をする人は、ぜひチェックしてみてください。
- 虫歯の治療ってどういうふうに行うの?
- 虫歯はどの段階で治療すればいい?
- 神経を抜くのってどんな時?
- 虫歯の治療を早く終わらせるには?
- 昔治療した跡が痛むのはなぜ?
- 今話題の3Mix-MP法を受けてみたい
虫歯の治療は症状の段階によって違う
虫歯は専門用語でカリエスといいますが、虫歯の症状はカリエスの頭文字Cに数字をつけて、C0〜C4の5段階で表されています。段階別の症状と治療法は以下のとおりです。
C0|初期虫歯

脱灰の段階で、まだ歯の表面が溶けただけの状態です。唾液、歯みがきに含まれるフッ素で再石灰化できます。

脱灰は飲食するとふつうに起こる現象で、唾液の作用によって元通りになります。脱灰と再石灰化は、日常的に起こっていることです。
ってことは、これはまだ虫歯じゃないんですか?

初期虫歯ですが、この段階では歯医者さんでの治療は必要ありません。
あっそうなんだ〜。
C1|軽度な虫歯

歯の表面(エナメル質)に穴があいた状態です。まだ痛みはありませんが、そのままでは症状が進んでしまうので、虫歯部分を削って詰め物をします。

見た目は歯の表面がくすんだり、うっすら黒ずんだりする程度です。
この状態で治せればベストですね!
C2|冷たいものがしみる虫歯

エナメル質の下の象牙質まで症状が進んだ状態です。冷たいものや甘いものがしみることがあります。虫歯を削り、型をとって被せ物をします。

この段階になると麻酔は必須です。3Mix-MP法を使うこともありますが、これについては後で詳しく説明しますね。
はーい。
C3|重度の虫歯

虫歯がさらに進行し、象牙質の下の歯髄にまで達した状態です。歯の根周辺に炎症が起こり、何をしていない時も激痛が走ることがあります。麻酔をして大きく歯を削り、神経を取って根管治療をした後、被せものをします。
神経を取るのはこの時だったんですね〜。

はい。もう重度の虫歯です。痛みも我慢できないくらいの痛みですよ。
C4|神経が死んでしまう虫歯

虫歯が歯の根にまで到達し、神経が死んでしまった状態です。神経が死んでしまうので痛みはなくなりますが、虫歯の原因菌が血管から侵入し、心臓病や腎臓病を引き起こすリスクがあります。多くの場合抜歯を行い、入れ歯やブリッジ、インプラント治療となります。
最初に痛みがあって、その後痛みがなくなるのが一番怖いんですね!

栄養も行き渡らなくなるので、色もだんだん茶色っぽくなってしまいます。
神経まで達した虫歯の3つの治療法

神経まで達した虫歯の治療法には、3つの方法があります。歯の状態などに応じて方法が選択されます。
神経を抜く
C3以上では、痛みを鎮めるために神経をすべて抜くことが多いです。

神経を抜いて被せものをしますが、何年もすると被せものの下に虫歯ができることも多いです。
でも、神経がないってことは痛みを感じないから、虫歯になったこともわからないんじゃ…。

そのとおり。膿が出て初めて発覚することも多いんです。
怖いですね…。
抜歯
神経にまで到達してしまった場合は、抜歯が選択されることが多いです。
抜歯をした後はどうなるんですか?

そのままにしておくと歯並びが悪くなるので、ブリッジや入れ歯、インプラントなどの治療をします。
根管治療
根管治療とは、虫歯に汚染された神経を取り除き、歯の根の内部を洗浄・消毒して薬剤を詰める方法です。神経まで達した虫歯は、多くの場合抜歯しますが、根管治療で歯を残せるケースもあります。

根管治療はとてもむずかしい治療で、卓越した技術が必要です。
じゃあ、虫歯がひどくなったら根管治療が上手な歯医者さんを選んだほうがいいってことですね?

そうですね。根管治療が得意な歯医者さんを探すのがおすすめです。
話題の「3Mix-MP法」とは?

3Mix-MP法とは、抗菌剤を使って病巣を無菌化し、自然治癒を促すという考え方の治療法です。虫歯治療だけでなく、口全体の様々な病気に対応できます。
今までの治療となにが違うんですか?

今までは虫歯部分を削って取り除くという考え方なんですが、3Mix-MP法は殺菌して病巣の菌をなくすという概念です。麻酔も必要ありません。
へぇ〜。お薬で治していくっていう発想なんですね。

そのとおり。
3Mix-MP法が可能な人
3Mix-MP 法ができる人の特徴は以下のとおりです。
- 歯がぐらぐらしていない人
- 使う薬剤にアレルギーがない人
- 子どもからお年寄りまで
- 健康でも重度の病気を持っている人でも
へぇ〜、年とか体調は関係なくできるんですね〜。

そうですね。ただし、強い抗菌剤を使うので、従来の治療法でも治せる場合はそちらを優先するとされています。
将来虫歯の治療が全部3Mix-MP 法になるとかそういう話じゃないんですね。

現状ではまだそこまで行っていないと思います。
3Mix-MP法を行う歯科医院はまだ少ない
3Mix-MP 法は画期的な治療法ですが、どの歯科医院でもできるわけではありません。CDRG友の会に加盟し、技術をマスターして審査を通過することが必要です。現在日本ではまだ10人程度しかいないのが現状です。

習得や審査などなかなか厳しいですが、今後は普及していきそうです。
へぇ〜、じゃあ将来は虫歯治療の選択肢が増えるかもってことですね。
虫歯を放置すると大変なことに

虫歯を放置したり、治療の途中で投げ出したりすると、大変なことになります。虫歯は症状が進行するにつれて徐々に内部に侵食していき、最終的に血管に入り込むと心臓病や腎臓病の原因になります。
また、治療途中で放置すると、歯並びが悪くなるリスクや、症状が悪化してさらに治療が必要になる可能性があります。

例えば被せものをする前の段階で時間をあけてしまうと、仮の詰め物が取れて虫歯が深くなってしまうこともあります。
仮の詰め物ってあくまで「仮」ですもんね〜。

そうなんですが、それでもなかには放ってしまう人もいるんですよ。
治療した跡も虫歯になる可能性がある
大人の場合、昔の治療跡の下で虫歯になるケースも多いです。特に神経を抜いて治療していた場合、虫歯になっても痛みを感じないので発見が遅れ、ある日突然ポロッと歯が抜ける、膿がたまって口臭の原因となるというリスクもあります。

実は大人の虫歯の方が厄介なんです。
治療したからって油断は禁物ですね〜。
歯が痛む時の応急処置

虫歯で歯が痛む時は、できるだけ早く歯医者さんに行くのがベストですが、休診日や連休中などで歯医者さんがやっていない場合、以下のような応急処置がおすすめです。
- 歯ブラシや歯間ブラシなどで痛む部分の汚れを落とす
- 冷やしたタオルや冷却シートなどで、頬の上から冷やす
- 鎮痛剤や解熱剤を飲む
- なるべく身体を温めない(湯船やこたつに入ると痛みが増す)

上記を試しても効かない時は、歯の問題だけではない可能性もあるので、救急病院に相談してみてください。
虫歯は早めに治療して全身を守ろう
虫歯の痛みは、大きくなれば生活に支障をきたすほどです。虫歯自体も、放置しておくと全身に悪影響を及ぼすので、決して軽視できません。虫歯はできるだけ早期治療をおすすめします。また、日頃から歯みがきをしっかり行っていれば、軽度な虫歯なら自然治癒力によってなくなります。日頃の歯みがきは習慣化し、虫歯かなと思ったら早めに歯医者さんを受診しましょう。
- 虫歯は症状の段階によって治療方法が異なる
- 神経まで達したら抜歯や神経を抜くことも
- 根管治療は得意な歯医者さんで受けるのがおすすめ
- 3Mix-MP法は、抗菌剤で病巣を無菌状態にする治療
- 3Mix-MP法を行う歯医者はまだ少ない
- 痛む時は応急処置を