【基礎知識編】予防歯科って必要?できるだけ歯医者に行きたくない人へ

「予防歯科って最近よく聞くけど、何のこと?一般の歯医者さんと違うの?」
一般歯科は、歯が痛くなってから治療のために通いますが、予防歯科は、健康な人が歯や口の健康を維持するために通う歯科です。
将来、歯や口の病気を発症しないよう、歯のクリーニングなどのプロフェッショナルケアを受けるために定期的に通院するのです。
そうすることで、高齢になっても歯が丈夫で健康で幸福度の高い暮らし「QOL (クオリティ・オブ・ライフ)」を実現できるといわれています。 この機会に予防歯科を始めて、積極的に歯の健康を守りませんか?
この記事では、「できるだけ歯医者には行きたくない!」という人に読んでいただきたい情報をお伝えします。
- 予防歯科って最近よく耳にするけれど、一般歯科とはどう違うの?
- 歯が痛くなっても、我慢できなくなるまで歯医者に行きたくない。
- 毎日ちゃんと歯を磨いているのに、虫歯になりやすくて困っている。
- 予防歯科に通えば虫歯や歯周病にならずに済む、というのは本当?
- 予防歯科で具体的にどんなことをやるのか、通院頻度を知りたい。
予防歯科とは?歯のトラブルを防ぐために通う歯科

うーん、予防歯科って虫歯でもないのに歯医者に行くのか…。歯が痛くなってからでも気が進まないのに何のために?

パンダさんは歯医者が苦手ですか?
うーん、そうですねー。歯が痛いのは嫌だし、歯医者に行くのはあまり気が進みませんねー。

虫歯が悪化してから治療を始めると、麻酔注射を打ったり、抜歯したりという治療も視野に入ってきませんか?
そうですねー。おいらが歯医者に行くときは、だいたいそういう治療になりますねー。

予防歯科では、そんな痛い思いをしなくて済むよう、先回りして病気を防ぐための処置をしています。
ほーう?虫歯や治療の痛みを回避できると。それはいいいですねー。
定期検診・メンテナンスでは何をするの?

とにかく歯が痛くなったり、治療が痛かったりするのが嫌だから、予防歯科でどんなことをするのか気になるなー。
予防歯科では具体的に、何をするんですか?

定期検診とメンテナンスですね。では一般的にどんなことをするのか説明しましょう。
予防歯科で行う定期検診&メンテナンスは、3~4カ月に1回くらいのペースで通院して行います。日頃の歯磨きやセルフケアでは取り除けなかった蓄積汚れを、歯科にある専門的な道具や機器を使って除去するのが主な目的です。
歯科医院の治療方針や患者さんの口内の状況によって違いはありますが、基本的な流れは以下の通りです。
口内のチェック
歯科医師と歯科衛生士が、口内の状態をチェックします。
予防歯科に力を入れている医院では、担当制でいつも同じ歯科衛生士に施術を受けるすることが多く、患者さんの口内の様子からライフタイルまで把握しています。それによって、一人ひとりにより効果的なオーダーメイドの予防法を提供しています。
虫歯や歯周病のチェック
虫歯や歯周病のチェックを行います。数カ月に一度のタイミングで定期的なチェックをしますので、早期発見・早期治療ができるようになります。
歯は一度傷つくと再生しないものですが、定期検診でごく初期に見つかり、早期に治療できるため、悪化したり、他の歯に虫歯が広がったりする前に処置できます。
歯肉のポケットの深さをチェック
歯ぐきの状態を確認し、歯周ポケットが深くなって歯肉炎や歯周病が進んでいないか確認します。
特に初期の歯周病は自覚症状がないので気付きにくいのが特徴ですが、定期検診に通っていたために早期発見でき、完治に至ったケースもあるのです。
治療した歯があればチェック
治療後の歯があれば、経過を確認します。もしトラブルが起こっていても、悪化する前に定期検診で発見できます。
上下の歯列をクリーニング
初回のクリーニングは、これまでケアが不足していた人はたくさんの歯石を除去することになりますが、2回目以降は、毎日の歯磨きで取り残した歯石や歯垢を除去するだけ。ほとんど汚れが残っていない状態にまで改善できます。
歯と歯のすき間や歯の表面、噛み合わせの面などを、1本1本、専用の道具や機器を使って清掃します。
フッ素塗布・シーラント
お子さんにおすすめの虫歯予防の処置に「フッ素塗布」「シーラント」があります。
フッ素塗布ではフッ化物を歯の表面に塗布し、虫歯菌への抵抗力を高めます。
フッ素塗布は世界的に乳歯の虫歯予防に推奨されていますが、大人も虫歯リスクの高い人に予防のために歯根の弱い部分に施すことがあります。
一方のシーラントは、奥歯の噛み合わせの面にある溝に歯科素材のシーラントを流し込んで封鎖し、虫歯菌をシャットアウトすることで歯を守る積極的な予防法です。4年以上の継続で、約60%の虫歯予防効果が認められていることが、厚生労働省の健康情報提供ページ「e-ヘルスネット」でも紹介されています。
フッ素塗布とシーラントを併用すれば、さらに虫歯予防効果が高まります。
歯磨きの指導・アドバイス
クリーニングをすると歯の表面がツルツルになり、歯垢がつきにくい状態になります。そうなる前に、染め出し液を使って歯磨きが苦手なところをチェックします。
磨き残しがあると赤く染まるため、目に見えて磨けていない場所がわかります。
そこをどうすれば上手く磨けるのか、歯科衛生士から丁寧な歯磨き指導を受けることができます。
予防歯科に通っていると、だんだん歯磨きの達人になっていきますので、最終的には毎日の歯磨きなどのセルフケアでハイレベルな口内衛生を保てるようになります。
予防歯科で健康保険は使える?

でもですねー、たしか予防のための通院では健康保険が使えないと聞いたことがあるんですが…予防費用が高くつくのはちょっと…。

それがですね、2020年4月の改定で、これまでは予防的な治療とされていたごく初期の歯周病・虫歯に対する治療が、健康保険の適用の対象になりました。
ほーう、それは知りませんでしたー。
2020年4月の診療報酬改定で、予防的処置が保険適用の対象になったことが記載されています。
- 歯科疾患の継続管理の推進
- 歯周病重症化予防治療の新設
- 口腔疾患の重症化予防、口腔機能低下への対応の充実、生活の質に配慮した⻭科医療の推進
2020年4月の診療報酬改定で、保険適用の対象になる予防的処置の範囲が広がりました。
また、歯石取りなどをメインに行う初期の歯周病治療を目的としたクリーニングは、保険診療の適用になります。患者さんの負担額は3000円程度(3割負担の場合)です。
定期検診は3〜4カ月ごとでいいから問題なく続けられる

ほほーう、痛くなる前に予防するのは悪くなさそうですね。

そうですね。通っているうちに歯磨きの腕が上がりますので、口内環境が改善されて、虫歯や歯周病の痛みを心配することがない生活になりますよ。それが生涯続くことも、十分あり得ます。
ほほーう、それはいいですね。すぐ虫歯になってしまうのが悩みなので、憧れますね。

いえいえ、憧れではなくてすぐに実現できますよ。通院は3~4カ月に1回程度ですから、生活に支障もないですよね。
たしかにそうですねー。
うーん、驚いたなー。あんなに「歯医者は嫌だ」と思っていたのに予防歯科を始めたくなってきた!(笑)
- 予防歯科では、歯が痛くなる前に、歯や口の病気を未然に防ぐ処置を行う。
- 予防歯科とは、健康な人が歯や口の健康を維持するために通院するところ。
- 予防歯科を継続すると、歯磨きの達人になって口内の健康を維持できる。
- 予防歯科に通うと、虫歯や歯周病を早期発見・治療できて負担が少ない。
- 予防歯科に通うと、高齢になっても歯が丈夫で快適な暮らしが実現する。