更年期と口臭との関係|50代からの口臭ケアと予防法

更年期と口臭との関係|50代からの口臭ケアと予防法

この記事の監修医師一覧

杉田大先生
杉田 大 先生
所属:杉田歯科医院(千葉県船橋市)
専門:保存修復
2013年 東京歯科大学卒業。現在は杉田歯科医院での臨床のほか、株式会社DoctorbookでDental事業部のマネージャーを務める。

ふとした時にお口の臭いが気になって、笑う時につい気兼ねしてしまう、人と話す時に相手を不快にしていないか心配で会話に集中できない…そんなお悩みを持つ40代50代の女性が多くいます。歯磨きは人一倍丁寧にしているのにどうして? と思っている人も多いでしょう。

しかし、口臭は本人の心がけとは関係なく、更年期という時期によって左右されている場合が多いのです。ここでは、更年期と口臭の関係や、口臭予防の方法をご紹介します。

更年期に口臭が強くなる理由

更年期とは、閉経を挟んだ前後約10年間のことで、更年期には女性ホルモンが大きく関係しています。

また、唾液にはお口の中の食べ物のカスを流し、殺菌・抗菌をする成分が備わっています。口臭は唾液量が少なくなると強くなりますが、唾液量は女性ホルモンと深い関係があるのです。

女性ホルモンと口臭の関係

女性には、人生の中でいくつかのライフステージがあります。思春期、成熟期、更年期、高齢期ですが、それぞれのタイミングに起こるのが女性ホルモンの急激な変化です。

女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンの2つがあり、普段はこの2つがバランスを保っています。エストロゲンは子どもを生みやすくするために必要な女性ホルモンで、ほかにもお肌や骨を丈夫に保つなどの役割を持っていますが、体内の潤いを保つというのもその1つです。しかし、年齢を減るにつれてエストロゲンは減少し、それに従いホルモンバランスが乱れます。エストロゲンが減ると潤いを保つ力も低下し、口内の水分である唾液も減少するので、口臭が発生するのです。

緊張すると口臭が強くなる

家族などから口臭を指摘されたりすると、人と話す時に無意識に気にして、緊張してしまいがちです。緊張すると体が縮こまり、唾液量も少なくなります。

大勢の人前で発表する場面や、好きな人あるいは苦手な人と面と向かった時に緊張したことはありませんか? そういう場面では、喉がカラカラになっていたと思います。緊張すると体がこわばり、唾液の量も低減するのです。

また、更年期には代謝が落ちて血流が悪くなり、以前より肩こりや首のこりを感じる人もいます。肩や首のこりも、緊張している時と似た状態になります。唾液量を司るのは自律神経ですが、自律神経の出入り口は首に集まっています。そのため、肩や首がこると唾液量も少なくなるというわけです。

更年期のメンタルと口臭

更年期にはホルモンバランスの乱れにより体が急激に変化するため、今まで当然のようにできていた動作ができなくなったり、体調を崩しやすくなったりして、体の衰えを感じる人も多いでしょう。また、子どもの独立や親の介護、老後の生活の不安など、更年期には様々な課題が降り注いできます。これらのことから、更年期はストレスを感じることが多い時期です。

口臭は、ストレスや疲労が溜まることでも発生することが分かっており、更年期の人に口臭が多いのはストレスも一因と考えられます。

また、女性ホルモンは心にも密接につながっているため、女性ホルモンが乱れると、精神的にも不安定になる傾向にあります。憂鬱になったり、イライラしがちになったりするのも、決して無関係ではありません。心が不安定になるとストレスが多くなり、口臭もきつくなりやすいのです。

口臭の大半は歯周病が原因

一般的に、口臭の原因の多くは歯周病といわれています。歯周病にかかる人は35歳頃から急激に増えることが分かっており、50歳代では2人に1人が歯周病というデータもあるほどです。

歯周病の臭いはかなり強烈なのにもかかわらず、歯周病にかかっていることを自覚している人が少ないのが現状です。なぜなら、歯周病は虫歯と違って、初期症状では痛みを感じないからです。

歯周病の初期症状
    • 歯磨きした時に出血したことがある
    • 歯ぐきが浮くような感覚がある
    • 歯ぐきがムズムズする
    • 昔よりも歯が大きく見える

上記に1つでも心当たりがある場合は、歯周病にかかっている可能性が高いです。歯周病は症状が重くなればなるほど口臭もきつくなり、治療費や時間もかかるため、早期に治療することをおすすめします。

更年期の口臭予防法

更年期の口臭予防は、今までの一時的な方法ではカバーしきれません。以下の方法をぜひ試してみてください。

1.正しい歯みがきをする

歯みがきはしっかりやっていると自負する人でも、歯医者さんでチェックすると磨き残しや歯石が見つかることがあります。

正しい歯みがき法
    • 歯ブラシは柔らかいものを選ぶ
    • 歯ブラシは軽く持つ
    • 歯の表面は、歯ブラシを直角に当てる
    • 歯と歯ぐきの境目は、歯ブラシを45度に当てる
    • 歯ブラシは小刻みに動かす
    • すすぎは1〜2回

歯周病にかかりやすい更年期におすすめの歯ブラシは、ブラシが柔らかめのものです。硬い歯ブラシは歯ぐきを傷つけやすいため、かえって歯ぐき下がりを助長してしまう恐れがあります。

歯ブラシを持つ時は、人差し指と親指で軽く持ち、歯みがき後は歯みがき粉に含まれるフッ素を残すために、すすぎを最低限にします。

2.喫煙・飲酒を控える

お酒やタバコが好きな人も多いと思いますが、お酒やタバコは歯周病の大敵です。お酒は体内の水分を排出しやすくするため、唾液量を減少させます。また、お酒には細菌の大好物である糖分が含まれています。

タバコに含まれるタールやニコチンは、歯ぐきの血流を悪くするため、歯ぐきの抵抗力が少なくなって歯周病が進行しやすくなります。

飲酒や喫煙はすぐにはやめられないと思いますが、歯周病とお酒やタバコの臭いが混ざるとさらに強烈な口臭になるため、できるだけ量を減らしたいものです。

3.食物繊維を摂る

生野菜

食物繊維が腸に良いことはご存知だと思いますが、実はお口の健康にも効果があります。食物繊維が入った食品は歯ごたえがあり、自然とよく噛んで食べますよね。唾液は咀嚼によって刺激されて出てくるため、よく噛んで食べると、より唾液量を増やしてくれます。

また、食物繊維は歯の表面についた汚れも絡め取ってくれるほか、腸内環境も整えるので、口臭も予防してくれます。腸内環境が悪いと、悪臭を持つガスが体内を巡って息に混ざって口臭となるからです。

食物繊維が多く含まれる食品は、ニンジンやレタス、セロリ、ごぼう、レンコンなどです。果物ではリンゴやパイナップル、キウイなどがおすすめです。

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4.こまめにお口を潤す

ペットボトル

唾液量が増えると口臭が和らぐのなら、意識的にお口の中を潤して唾液量を増やすのも一つの手段です。意識的にお口の中を潤せるのは、こまめに水分を摂る・ガムを噛むなどです。水分は一度に大量に摂ると過剰摂取になるため、一口ずつチョコチョコと摂るのがおすすめです。

また、水分を選ぶ際には糖分が入っていないものを選びましょう。コーヒー派の人もいると思いますが、コーヒー豆に含まれる成分は舌に残りやすいため、かえって口臭の原因になることがあります。口臭予防で水分を補給する場合には、フラボノイドなどが含まれていて口臭予防効果のある、緑茶やウーロン茶、紅茶などがおすすめです。

5.生活習慣の改善

食事

更年期には、特に生活習慣を見直すことが口臭予防の第一歩となります。規則的な生活習慣は、心身を健康にして口臭を減らします。

    • 睡眠の質と時間
    • 栄養バランスの整った食事
    • 適度な運動
    • 飲酒・喫煙を控える
    • ストレスを溜めない

また、ちょっとしたことが気になって不眠になる人もいると思います。不眠の原因の多くは、寝る前の緊張状態です。寝る前にあれこれ考えが浮かんで上手く寝付けない・夜中に起きてしまうという人は、就寝前にリラックスタイムを作るのがおすすめです。

6.歯周病ケアをする

治療

口臭をなくすなら、やはり根本的なところを改善する必要があります。歯周病は自分では治すことができません。また、症状が進むと口臭もきつくなります。

さらに、歯周病菌は活性酸素を増やして老化を早めたり、糖尿病を進めやすくしたりと、全身にも害を及ぼします。

少しでも歯周病の疑いがある場合は、早急に歯医者さんに相談しましょう。インターネットで探すと、「口臭外来」を設けている歯医者さんもありますよ。

口臭予防で更年期を爽やかに乗り切りましょう!

更年期には女性ホルモンが大きく乱れるため、唾液量が少なくなって口臭が発生しやすくなります。口臭を予防するには、以下の方法がおすすめです。

口臭予防の方法
    • 正しい歯磨きをする
    • 飲酒や喫煙を控える
    • 積極的に食物繊維を摂る
    • こまめに口内を潤す
    • 生活習慣を見直す
    • 歯周病を治す

口臭は一時しのぎではなく、根本から改善していくことで低減します。口臭を気にせず、健康で楽しい日々を送りましょう。

writer
角舘 有理
角舘 有理
セールスライター、コピーライターに師事後、フリーランスとして独立。Webライターの傍らブックライターとしても活動中。歯科関連の記事は約2年間担当した経験があり、現在も新しい予防法に興味津々。自著に「無理に学校に行かせなくていい」がある。