インプラントの費用に保険が適用される場合があるって本当?

インプラントの費用に保険が適用される場合があるって本当?

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柿木辰美先生
柿木 辰美 先生
専門:一般歯科
2013年 明海大学歯学部卒業。卒後は東京都内の歯科医院に常勤歯科医師として勤務。 現在は複数の歯科医院で非常勤歯科医師として、インプラントや歯内療法を軸に一般歯科診療を日々行なっている。
インプラントを入れると生活が快適になるといいますが、治療費が1本数十万円かかります。
インプラント治療は健康保険の適用範囲外なので、治療費はすべて患者さんの負担になります。自分の歯が蘇ったかのような使い心地を得るために、高額な治療費が必要になるわけです。
「歯科治療なのに、健康保険は使えないの?」と疑問に思うかもしれませんね。

実は、インプラントの治療には、健康保険が適用するケースもあるのです。国から定められたケースに該当する患者さんは、健康保険の適用内でインプラントの治療が受けられます。

ここでは、インプラントの保険適用にはどんな条件があるのか、どこでそんな治療が受けられるのかなど、インプラントと健康保険についての疑問について解説していきます。

保険診療とは、どんな治療?

保険診療は、歯が何らかの理由で悪くなった時に、噛める状態に改善する治療です。見た目をきれい整える目的や、快適な噛み心地を追求するための治療の場合は、保険の適用外になります。
健康保険に加入していれば、保険診療に当たる治療については、患者さんは診療費の一部負担のみの支払いになります。
インプラントの治療は、基本的に保険適用外の自費診療に当たります。

インプラント治療の一部は、保険適用です

ところが、インプラントの治療については、2012年4月から一部健康保険の適用範囲内になりました。
保険診療で受けられるインプラント治療もあるのです。
しかしながら、それには国が定めた条件を満たしていなければなりません。

インプラントに健康保険が適用されるケースとは?

一部が健康保険の適用範囲内になったといっても、ほとんどが適用対象外といえます。
健康保険の対象となるのは、病気や事故を要因としてインプラントの治療が必要となった次のようなケースです。

口腔がんなどの病気・事故の外傷・先天性疾患等に限られます

    • 口腔がん・骨髄炎などの病気で、インプラントの治療が必要となった場合。
    • 第三者に要因がある事故によって、顎の骨が広く欠損してしまった場合。
    • 生まれつき顎の骨の広範囲にわたる欠損や形成不全が認められる場合。
このようなケースは自費診療になります
    • 虫歯や歯周病で歯を失ってしまった場合。
    • 歯が割れたり折れたり破損してしまった場合。
    • 加齢で歯が弱くなって最終的に失ってしまった場合。
つまり、生まれつきの形成不全や不慮の事故や病気で大幅に顎の骨ごと失った場合に限り、インプラントの治療が保険診療になるのです。
ほとんどのケースでは、保険はつかえない自費診療に該当するということになります。

歯科大学病院での治療限定に等しいといえます

インプラント治療が保険診療に該当するケースでも、どこの病院でも治療できるわけではないので注意が必要です。治療を行える医療機関が限られています。下記のように、条件が限られた施設でのみの治療となります。現実的には、これほど施設が整っているのは歯科大学の付属病院くらいです。
保険診療のインプラント治療が行える歯科医院の条件
    • 入院用ベッドが20床以上ある歯科・口腔外科。
    • 2名以上の歯科医師が常勤で、下記どちらかが該当すること。
    • (5年以上の実績がある歯科・口腔外科である)
    • (3年以上のインプラント治療の経験がある医師が2名常勤)
    • 医療機器、医薬品に関して安全管理が徹底されていること。

保険適用になる「インプラント義歯」とは?

条件を満たした上で保険診療として扱われるのは、インプラント義歯という治療です。
これは以前、厚生労働大臣が認める先進医療として、保険適用内で治療できていたものでした。
今は、必要性が認められたケースのみとなりましたが、正式名称を広範囲型顎骨支持型装置および広範囲顎骨支持型補綴に改定され、一部保険診療が認められることになりました。

このインプラント義歯は、通常のインプラントのように1本ずつ独立して治療を進めるものではなく、顎の骨に2本~4本のインプラントを埋め込みます。それを土台として、総入れ歯を支えるような仕組みです。
普通の総入れ歯と異なるのは、支えがインプラントのため、固定される力が強く、しっかりと噛めるところです。また、患者さんが自分で取り外しができるので、お手入れがしやすいのも魅力です。

インプラントは、どうして高額なの?

ここまで確認してみて、結局インプラントの治療費は保険診療にはならないこと、患者さんが治療費の全額を負担することがわかりました。
なぜインプラントはこんなにも高額なのでしょうか?

インプラント治療は難易度の高い外科施術です

インプラントの治療費が高額なのは、一般的な歯科治療とは一線を画す外科手術を伴う治療だからです。
一般的な歯科治療よりも専門性の高い治療なので、各学会などの組織からインプラント専門医・認定医、さらには指導医の認定資格を付与された歯科医師がいるほどです。
インプラント専門医などの資格を認定している組織はさまざまなので、資格の名称そのものよりも、信頼のおける機関による認定資格であるかどうかを確認することも大切です。

また、歯科治療でも特に先進的な医療であるインプラントは、治療技術や症例など、めまぐるしく進化を遂げています。
専門性に長けた歯科医院の場合は、最新設備の導入に抜かりなく、歯科医師や歯科衛生士は忙しい毎日の業務の中でも、新しい情報をどんどん吸収し、技術に磨きをかけることを大切にしています。

インプラントの手術は、どんな内容?

インプラント治療は外科手術を伴います。手術では、人工の歯根の代用となるインプラントの本体を、歯を支えている顎の骨に埋め込みます。そこに上部構造を被せれば、人工の歯であるインプラントの完成です。

手術は、感染予防に余念のない歯科医院の場合、滅菌されたオペ室で行います。オペ室がない歯科医院の場合は、手術が入っている時間帯は他の患者さんの予約をとらないで完全貸切にするなどの配慮をして、治療中の飛沫感染などを防止しています。
なかには、一般的な外科手術と同様に麻酔科医の立ち合いのもと、心電図や血圧計で患者さんの全身の安全を管理しながら治療を進める歯科医院もあります。

生命保険なら、インプラント治療が保険適用になるって本当?

健康保険以外に、個人で生命保険に入っている人もいると思います。
個人の生命保険には、先進医療保険というものがあります。厚生労働大臣が認めた先進的な医療で、いずれ保険診療の対象になる予定である医療に適用する保険です。

かつて、先進医療保険にインプラント治療が適用していた時期がありました。2012年3月までに行われたインプラント治療です。
残念ながら、2012年4以降のインプラント治療は、前出の特別なケースを除いて、基本的にインプラント治療は適用しません
先進医療に当たるのがどんな医療なのかは、随時見直しが行われています。しかしながら現在は、インプラント治療に関しては適用外です。

インプラント治療は、現在、基本的に自費診療のため治療費は患者さんが全額負担するものと心得ておく必要があります。
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ナチュラル・ハーモニー
ナチュラル・ハーモニー
大手出版社出身、ディレクター・ライター歴15年以上。歯科ライティング実績は500件以上。都道府県主催テレワーク講座にも登壇。趣味は観劇と史跡巡り。柴犬好き。