【歯科医監修】インプラントを入れている人はMRI検査ができないの?

【歯科医監修】インプラントを入れている人はMRI検査ができないの?

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鈴木志帆美先生
鈴木 志帆美 先生
専門:小児歯科・歯内療法
2015年 神奈川歯科大学卒業

人間ドッグなどを受ける時「インプラントをしている人はMRI検査やCT検査はできません」という張り紙を見て、不安になったという話を聞きました。インプラントをしている人は、MRI検査を受ける前にインプラントを抜かなければならないのかと思う人もいるようです。ここでは、そんな疑問にお答えするために、インプラントとMRI検査の関係について詳しくご説明します。

結論!現在のインプラントはMRIに問題なし

結論から言いますと、インプラントを入れている人でも、MRI検査は受けられます。インプラントを入れている人すべてが、MRI検査を受けられないということはありません。医療機関がインプラントの人はMRIが受けられないと思い込んでいるのは、インプラントの金属が関係しています。

MRIでインプラントがNGと誤解される原因

インプラントがMRIに影響されると誤解されるのは、インプラントに金属が使われていて、自分では取り外しができないという理由からです。MRIは大きな磁石そのもので、強力な磁場と電波を使って撮影を行います。そのため、金属を身に着けていると画像が不鮮明になったり、身につけている金属が磁力で引き寄せられて壊れてしまったりといった不都合が生じるのです。

インプラントで使われる素材

インプラントで使われる金属は、主にチタンです。チタンは磁石に引き寄せられる力が非常に弱い「常磁性体」です。常磁性体というと、常に磁力を持つようなイメージがありますね。しかし、常磁性体は外から磁気を加えなければ磁気はゼロで、外から磁気を加えてもごく弱い磁力しか発生しないものを指します。チタンは常磁性体なので、MRIの画像が不鮮明になる可能性は極めて低いです。また、インプラント本体は骨にしっかりと固定されているため、MRIによって抜けたり外れたりするようなことはなく、MRIを破壊することもありません。

最近ではチタンよりもっと頑強で人体との親和性が高いジルコニアもよく使われています。ジルコニアは金属ではないため、MRIに影響を及ぼしません。

インプラントのタイプによっては事前の取外しが必要

上記ではインプラントが入っていてもMRI撮影ができるとお伝えしましたが、インプラントのタイプによってはそのまま撮影できない場合があります。それが、磁石で接着するタイプのインプラントです。

磁石タイプのインプラントは外れる可能性がある

インプラントにはネジ式マグネット式があり、マグネット式の場合にはMRIの強い磁気に反応して外れてしまう可能性があります。

マグネットでくっつくタイプのインプラントは、インプラント本体の上部の磁石と、人工歯に取り付けられた磁石が引き合うことで接着するという構造です。磁石を使った着脱可能なインプラントを使っている場合には、MRIの強力な磁場や電磁波により、人工歯側のパーツが外れたり、発熱したりする恐れがあります。

磁石タイプのインプラントはMRI画像が乱れることがある

もう一つの懸念として、マグネットタイプのインプラントはMRI画像に乱れが生じるということがあります。人体に影響がなくてもMRI画像が乱れれば、病気の発見などがしにくくなります。

MRIへの影響の有無は、様々な要因によって変わります。例えば脳のMRI撮影の場合は、インプラントが入っている部位やMRI機器の磁場強度、撮影法の違いなどによって異なり、スピンエコー法では半径4〜8cm範囲という報告があります。

磁石タイプのインプラントも事前に取外せば撮影OK!

もし、キーパーが使われているインプラントや、インプラントと併用するオーバーデンチャーという入れ歯を使用している場合は、事前に歯科で取り外す必要があります。

マグネット式が用いられている可能性のあるインプラントは、オーバーデンチャーオールオンフォーなどです。ただし、オーバーデンチャーやオールオンフォーでもマグネット式でないものもあるため、歯科医に確認することが重要です。また、万が一のことを考えて、装着具合をチェックしてもらったり、予め外してもらったりしておくと安心です。自分で取り外しできる場合は、事前に外しておきましょう。

歯科インプラント以外でMRI撮影ができない人

口腔内に関することで、インプラント以外でMRI撮影ができないのは、以下のような場合です。

    • 義歯にニッケルや磁性ステンレスが使われている
    • 義歯にコバルトクロムが使われている
    • 矯正装置をつけている
    • バネのある入れ歯をつけている
    • 植え込み式ペースメーカーや脳動脈クリップを使用している
    • 妊娠または妊娠している可能性がある

金属の被せものがある人はMRI撮影をしても大丈夫?

口内に銀歯金歯などがあると、MRI撮影ができないのではないかと疑問をもつ人もいると思います。しかし、歯科で使用する金属は、チタン、チタン合金、金、白金加金、金銀パラジウム合金(いわゆる銀歯)などで、いずれもMRIの画像撮影に影響を及ぼす心配はほとんどありません

MRI撮影に不具合を生じさせるのは、上記で説明したとおり磁性金属のみです。

インプラントの人はCT検査をしても大丈夫?

MRIは磁気と電波を使用して撮影するのに対し、CTはレントゲンと同じX線を使って撮影します。昔はインプラントがMRIやCTに影響するということもありました。しかし、現在の機器ではインプラントを入れている人でも、MRIと同様CT検査ができます。インプラントに使われるチタンは、最新のCT機器には影響を及ぼさないことが分かっているからです。

病院で脳のMRI撮影ができないと言われたら

取り外しできるインプラントを取り外したにも関わらず、医療機関からMRI撮影を拒否される場合には、歯科医へ相談したり、直接病院と歯科医とで連絡を取り合ってもらうことが必要です。ただ、知識不足で誤解する医療機関は、その時点で別の医療機関に変えたほうが精神的には安心かもしれません。

インプラントとMRIのまとめ

インプラント治療の経験者でも、MRIができるかどうかという不安は無用です。ただし、マグネット式のインプラント入れ歯を使用している人は、パーツが外れたり発熱したりする恐れがあるため、事前に歯科に取り外してもらう必要があります。

また、MRIを撮影する場所によっては、磁石が入っていると画像が乱れる可能性もあるため、MRI検査をする前にはインプラント治療をした医療機関に相談することをおすすめします。