【歯科医監修】インプラントで歯や歯ぐきが変色することはある?

【歯科医監修】インプラントで歯や歯ぐきが変色することはある?

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柿木辰美先生
柿木 辰美 先生
専門:一般歯科
2013年 明海大学歯学部卒業。卒後は東京都内の歯科医院に常勤歯科医師として勤務。 現在は複数の歯科医院で非常勤歯科医師として、インプラントや歯内療法を軸に一般歯科診療を日々行なっている。

歯や歯ぐきの変色は、食べ物による色素沈着と、被せものの銀歯に使われる金属が溶け出すことが主な原因です。また、喫煙などで歯ぐきの血流が悪くなり、歯茎の色が悪くなることも多いですが、インプラントでも歯や歯ぐきが変色することはあるのだろうかと心配する人もいるようです。

ここでは、インプラント治療をすることによって、歯や歯ぐき変色することはあるのかという疑問にお答えします。

インプラントで変色したと感じる原因

インプラントが変色したと感じるのは、以下のようなケースです。

プラスチックの人工歯が変色するケース

インプラントで用いる人工歯には、ほとんどの場合セラミックが使用されますが、中にはプラスチックを選択される場合があります。プラスチックは使っているうちに食べ物や飲み物などの着色汚れが生じることから、変色したと感じることがあります。

インプラントで歯ぐきが黒ずんで見えるケース

インプラントを入れている部分の歯ぐきが黒ずんでいると感じるのは、歯ぐきが薄くなって中の金属のボルト(インプラント体)が透けて見えてしまうからです。

歯ぐきが薄くなる原因の多くは、インプラント周囲炎です。インプラント周囲炎とはインプラントの歯周炎のようなもので、かかると歯ぐきが痩せて、後退していってしまいます。また、喫煙者はインプラントに向きませんが、その理由は2つあります。1つはインプラントの周辺組織の血行が悪くなって、骨との結合に支障をきたすということです。もう1つは、間接的にインプラント周囲炎にかかりやすくなるためです。

タバコに含まれるニコチンは、歯茎の血行を悪くし歯周病を引き起こしやすくします。口内に歯周病があると、インプラントの周辺組織にも細菌感染を起こし、インプラント周囲炎になりやすくなります。タバコは既存の歯にとっても、インプラントにとっても大敵なのです。

セラミックは経年変色しない

人工歯の表面には、ほとんどの場合セラミックが使用されるのは前述したとおりです。これは、セラミックが天然の歯に近い色を出せることと耐久性に優れていること、経年でも変色しないことが理由です。

差し歯などを保険適応内で治療する場合、被せものにはプラスチックが使用されます。プラスチックは経年によって変色するので、年数が経って気になるので作り変えるという人も多いです。しかし、自由診療のインプラントでは、審美性や耐久性を考慮して、セラミックが用いられます。セラミックは年数が経っても変色することがないため、欠けたり割れたりしなければずっと美しいまま使用できます。

そもそもインプラントで使う素材にはどんな種類がある?

インプラントの構造は、顎骨に埋め込むインプラント体と、人工歯、そしてそれをつなぐアバットメントというパーツの3層構造です。それぞれ使われる素材について、パーツ別に説明します。

インプラント体の素材

インプラント体で使う素材は、基本的にチタンが主流です。チタンはとても硬く、他の金属のように溶けて体内に流れ込むことがありません。また、チタンは生体親和性がとても高く、骨とくっついて、まるで自分の歯の根っこのようにしっかりと固定される素材です。

チタンは金属アレルギーの可能性が低いですが、中にはチタンにアレルギーを示す人もいます。その場合は、チタンではなく非金属のジルコニア製のインプラント体を採用します。

アバットメントの素材

アバットメントの素材は、インプラント体と同じくチタン、ジルコニアなどです。アバットメントの素材も、金属アレルギーを考慮して選択されます。

人工歯の素材

人工歯は、歯ぐきの上に見える噛み合せの「歯」の部分です。人工歯に使われるのは、多くの場合セラミックです。人工歯の主な素材は、3種類です。

    • メタルボンド
    • ジルコニア
    • オールセラミック

「メタルボンド」は、軸は金属、外側はセラミックにしたもので、奥歯などの強度が必要な部位に使われます。金属を使っているといっても表面にセラミックを焼き付けているので、変色する心配はありません「ジルコニア」は、軸にジルコニアを使用して表面にセラミックを焼き付けたもの、「オールセラミック」は、軸も表面もすべてセラミックです。

インプラントのメリット・デメリット

では、インプラントのメリットとデメリットを見てみましょう。

インプラントのメリット

インプラントのメリットをまとめると、以下のようなものです。

    • 元の歯と遜色のない見た目
    • 元の歯と遜色のない噛み心地
    • 他の歯の寿命を縮ませない
    • 取り外してケアする手間がない

インプラントを入れると、今までとほぼ同じように食生活が送れます。他の歯に影響を与えないのは、一番のメリットと言えるでしょう。また、入れ歯のように取り外して洗浄したりする手間がありません

インプラントのデメリット

反対に、インプラントのデメリットは、以下のようなものです。

    • インプラント周囲炎にかかりやすい
    • 定期メンテナンスに通う必要がある
    • 費用が高い

インプラントはインプラント周囲炎にかかりやすいという特徴があります。一度インプラント周囲炎にかかると、最悪の場合インプラントが抜け落ちてしまう恐れがあります。そのため、常に口内を清潔に保つために、毎日の丁寧な歯磨きは必須です。また、数ヶ月に一度の間隔で定期メンテナンスに通う必要があります。

インプラントは他の歯科治療と違って自由診療のため、治療費の相場は1本10万円前後からと高めです。ただ、歯科治療で審美性や耐久性を重視して好きな素材を選ぶと、やはり同じくらいの価格になることもあります。また、入れ歯やブリッジなどは、口内の状況の変化に応じて何度も作り変える必要があり、既存歯も場合によっては治療しなければならないことを考えると、インプラントはさほど高いとは言えないでしょう。

インプラントの治療法

インプラント治療について、もう少し詳しく説明していきます。

1回法と2回法

インプラントには、1回法と2回法があります。1回法は、インプラント体を埋入した同じ日に、アバットメントまで入れてしまう方法です。歯肉の粘膜が治癒したら、人工歯を装着します。2回法は、1度目の手術でインプラント体を埋入して縫合し、固定するまで仮歯を入れて待ちます。2度目の手術で仮歯を外し、再び歯ぐきを切開してアバットメントと人工歯を装着します。

メリットデメリット
1回法外科手術が1回で済むインプラントと骨が結合するまでに力が加わるため、結合に悪影響を及ぼす可能性がある。結合するまでに細菌感染する可能性がある
2回法歯ぐきの中に完全にインプラント体を埋め込むので固定するまで余計な力が加わらない。感染の心配がない外科手術が2回必要

治療の流れ

インプラント治療の大まかな流れを、2回法の場合で説明します。

    • 初診・カウンセリング
    • 検査・分析
    • 診断・説明
    • 1回目手術、インプラント体埋入
    • 固定及び治癒期間(仮歯)
    • 2回目手術、アバットメント・人工歯装着

固定及び治癒期間には個人差がありますが、一般的には3ヶ月程度です。

負担が少ないフラップレスインプラント

インプラントの手術は、歯ぐきを切開して骨と剥離し、をむき出しにしてドリルで穴を開けてインプラント体を埋入します。これを聞くととても大掛かりな手術に思えて、怖くなってしまう人も少なからずいるでしょう。

そこでおすすめしたいのが、最近では採用する歯科医院も増えた「フラップレス・インプラント」です。フラップレスは、検査時に立体的で綿密な調査・シミュレーションをすることで、メスを使わずにより正確でより痛みが少なく手術できる方法です。フラップレス・インプラントについては、以下の記事で詳しく説明していますので、よろしければ併せてお読みください。

【医師監修】フラップレスインプラントのメリットとデメリットとは?

定期メンテナンスは重要

インプラント治療のあとは、定期メンテナンスに通います。定期メンテナンスでは、セルフケアでは難しい専門的なクリーニングや、インプラント周囲炎になっていないか、他の歯の状態はどうかなどを確認します。口内に歯周病があると、インプラント周辺の組織に細菌感染して、インプラント周囲炎になってしまうからです。

インプラントにすると変色しない美しい歯が手に入る!

インプラントで一番変色に関係があるのは、人工歯です。人工歯で使われる素材は、自分の歯と変わらないような色合いで、しかも年月が経っても変色しないセラミックがほぼ使われるため、変色の心配がありません

また、インプラントで歯ぐきの変色が心配なのは、インプラント周囲炎になって歯ぐきが下がり、インプラント体が透けて見えてしまうことにあります。天然の歯でも、歯磨きを習慣づけて色素沈着や虫歯・歯周病から守るように、インプラントを美しく保つためには、毎日の歯磨き定期メンテナンスが必要です。